先週末、イギリス中部の大都市、バーミンガム Birmingham に行きました。
月曜日がバンク・ホリデー(法定休日)の3連休週末に、例によってテルフォード Telford のホテルで開催されたチェスの国際試合に出場する夫に同行しました。
今回、夫の出番は最終日の月曜日のみ。そのほかの日は「補欠」扱いだったのですが、私と観光する予定で思い切って土曜日から二泊しました。
到着した土曜日の午後は私と一緒に電車で20分のシュルーズベリー Shrewsbery を見物(私は実に4回目!でしたが)、ゆっくりできる日曜日に電車で30分以上かかるバーミンガムまで足を延ばしました。
目的は、バーミンガム美術/博物館 Birmingham Museum & Art Gallery。
終点のバーミンガム・ニューストリート Birmingham New Street 駅についてびっくり。
新築のモダン建築、国際空港か何かと見間違うような立派さに。
外に出てまたびっくり。
一番上の写真は駅舎の広大なフット・ブリッジ(渡り廊下)から撮影したグランド・セントラルという広大なショッピング・モールです。
正面の画面にコマーシャルの映像とコンピューターグラフィックの黄金の雄牛のイメージが交互に映し出されていました。
これが有名なバーミンガム・ブル Birmingham Bull(雄牛)。
たくさんの人が記念撮影していました。
ウシ好きの私ももちろん一緒に撮ってもらいました。
あらあら、ウシだけの正面写真がありません。
実は20年以上前、バーミンガムに来たことがあるのです。
ウェールズとの国境の町に住む友人の実家を訪ねた際、乗り換え駅のバーミンガム・ニューストリートを降りてほんのちょっと町の中を見渡したのです。(当時、駅の出入りに改札はなかったので、乗り降りは自由、違法ではなかったはずです)
日本の都市や都市近郊の大き目の駅はたいてい「駅ビル」の中にあり、改札口を出たらすぐにショッピングセンター、あるいは私鉄なら系列のデパートまで直結の連絡口があるのが当たり前ですが、イギリスではそんな例はほとんどありません。
ロンドンやマンチェスターの終着駅には駅構内にチェーン店の小さな店舗ブースがいくつか並んでいることはあったものの、駅は町のちょっとはずれにあるのが普通で、駅とショッピングセンターが直結、というのはまず考えられなかったそのころ.....
バーミンガムの主要駅のホームの外がショッピングセンターの中!というのは大変な驚きでした。
「おおおぉ!まるで日本みたい!」というのがその時の強烈な印象です。
上の写真のバーミンガム・ブルを見た記憶が確かにあります!
感激の再会です!
その時の町の、コンクリートブロックの高層駐車場やすすけた外観のバスターミナルといったショボい印象の街並みとともに記憶に残っていたバーミンガム・ブル。
それがまあ、どうでしょう!この町のおしゃれな変容ぶり!
個性的でモダンな建物のショッピング・モールがいくつも!
バーミンガムはショッピング天国です!
メインの、駅が入っているショッピング・センターはその名もずばり、ブル・リング Bull Ring といいます。
この場所に有名なブル・バイティング bull biting のリング(競技場)があったからなのだそうです。
ブル・バイティングというのは食肉用の雄牛を杭につなぎたくさんの犬に死ぬまで噛みつかせるのを見物する野蛮極まりない「スポーツ」です。
19世紀の初め頃までは雄牛を苦しませ、興奮させると肉の質が良くなると信じられていたとか。
美術館を目指して、古い建物の多く残る、古くからのショッピング街であるメインストリートを5分ほど歩きました。
おしゃれで人気のあるハイ・ストリートショップ(チェーン店、ブランド店)はほとんど駅周辺のモダンなショッピングモールに吸収されちゃってますね。
それでも古くからのメインストリートで「ムージー(Muji 無印良品)」を見つけたので入って靴下を3足買いました。
19世紀に発達した新興工業都市によくある立派なビクトリア建築に混ざって、アールデコ様式(1920~30年代)の興味深い建物がいくつかありました。
映画館と隣のビル....
私が一番気に入ったのがこれ。
ホテルのようです。
一階は貸店舗でした。とても立派なつくりなのですが表面が薄汚くすすけてもの悲しさたっぷり。
道の終わりが堂々たるビクトリア建築のバーミンガム・カウンシル Birmingham Council 評議会堂(?)。
美術館/博物館はこの同じ建物の中にあります。
横手のパルテノン神殿風は市庁舎 Birmingham Town Hall です。
周りが工事中で仮塀に囲い込まれて遠くからしか見られませんでした。
スフィンクス、ですよね?
1930年代調の彫刻の謎の神話生物が4体。
ビクトリア・スクエア Victria Square を見下ろす 晩年のビクトリア女王の堂々たる銅像。
美術館入り口。横から見たところです。
続きは次回に....
うちの下の息子が愛好してやまないくだらない柄ソックス!と.....
....くだらないダジャレ入りかわいいソックス!
月曜日は息子の誕生日でした。
うちのネコ、ホレイシオからのプレゼントは、ダックスフント柄のソックス。ネコの柄のソックスがあればよかったのですが。
男性用のくだらない柄ソックスの典型的デザイン、同じモチーフの繰り返しです。
一方、ガールフレンドからのプレゼント(のごく一部)、くだらないダジャレ入りかわいいソックス(例によって女の子用!)
ダジャレ解説 1; THERE IS SO MUSHROOM IN MY ♡(heart) FOR YOU
mushroom (キノコ) は much room (余裕たっぷり)のしゃれですね。「あなたのことを思っても思ってもまだ思い足りない(意訳)」って感じでしょうか。
ダジャレ解説 2; I'm soy into you
soy (beans)というのは大豆のことです。soy source はお醤油のこと。
I am so into you あなたにこーんなに夢中 という気恥しい常套句にかけているんですね。
キッコーマンのアイコニックな卓上瓶入りのお醤油と握りずしの幸せそうなアツアツぶりのイラストを見れば状況がよくわかります。
息子は翌日お寿司のソックスをはいてカレッジに行きました。
これ、女の子好みのかわいいデザインですが、ロマンチックなメッセージがたっぷりこもって意味深です。
さて、女の子が自分で買ってはくんでしょうか。
それとも女の子が自分のボーイフレンドにプレゼントしてはかせる狙いのマーケティングなのでしょうか。
実際もらって喜んではいて歩く若い男性が(うちの息子以外)そんなにたくさんいるとも思わないのですが....
以前の、息子所有のくだらない柄ソックスとくだらないダジャレ入りかわいいソックスの記事のリンクです☟
教育の節目、統一試験の結果発表日! 刺青柄ティーシャツ購入の翌日!(イギリスの若者ファッション考察)
15歳の少年所有のキッチュ!かわいい!女の子向きの靴下に見るイギリスの少女のかわいい!感覚
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また夫のチェスの試合に付き合って週末、旅行帰宅後ちょっと体調を崩してストックポート日報、またまた、休刊してしまいました。
今日の話題は、このところそう珍しくもない日本語表示、新作発見です。
まず一番上の写真☝。
鳥居に、「夏の丘」?
デザイナーは色々なところからインスピレーションを得るようです。
場所の名前も何も書かれていませんが、青インクといい、ふちがかすれた効果といい....日本の観光名所や主に名所のある駅においてある記念スタンプのイメージじゃないかと思うのですが。
このデザインは実際どこかの名所で記念に捺してきたスタンプをそのままパクったかあるいは参考に日本のイメージの典型、鳥居を使ってデザインしたか、どちらかでしょう。
「あ、スタンプだ」と思い付いたきっかけは、明らかに朱肉色の四角で囲った「夏の丘」というハンコのつもり(?)の意味不明フレーズです。
山と水、山と水、かくれた山....「山、山」とくどいにもかかわらず、山の絵がない。
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それにしても、曼荼羅(?)、タイのパゴーダ(?)、中国の春慶節の赤い布張りちょうちん(?)と強烈に汎アジア的表現なのですがイギリス人のデザイナーはすべて日本のモチーフを見事に使いぬいた!つもりでいるはずです。
メインイメージの版画調鶴、扇子/日の出、松、山(あ、山の絵、あった)と、え?パイロン(鉄塔)?
シンプルなカンパニー・ロゴ調。
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色使いも配置もなかなかシンプルで美しい、これならだれかが「着ろ!」といって買ってくれたら着てみてもいいかもしれないデザインです。
あぁ、でも「陰陽道」って何?平安時代の呪術か何かじゃなかったでしょうか。
日本人の私が意味をよく知らずに着るのはかなり危険かもしれません。
折り鶴となにか関係があるのでしょうか?
イギリス最大手デパート、M&S (エメネス、マークス&スペンサー)の春のメンズ新作です。
M&S は創業以来自社ブランドの製品しか売らないことで知られています。
私がイギリスに来たばかりの頃は流行に左右されない(=おしゃれではない)当時のイギリスでは他社の衣料品にはあまり期待できなかった高品質の製品を比較的手ごろな価格で頑固に売り続ける良心的な小売店、という売り込みでした。
時代変わって、現在はただの流行に敏感な高級衣料/食品販売で知られる普通のデパートです。
グーグルして「陰陽道(おんみょうどう)」について調べました!!
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よくわからないことには関わらない方がよし。
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先週、「食物」と書かれた小皿をうちの近所のチャリティー・ショップで見つけました。
「すべて10ペンス箱」から掘り出しました。全部で3個ありましたが買ったのはひとつだけ。
10ペンスは今、15円足らずですね。
ディップ・ボウルだと思います。
お醤油にどっぷり浸すと何でもかんでも「和食」に様変わり。
しかも漢字で何か書いてあるディップ・ボウル!!もう正統性に疑いをさしはさむ余地なし!
イギリス人憧れの本格和風体験を約束するエキゾチックな小道具がたったの15円足らず!!!
パリから持ち帰った箸袋と相性抜群!
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あ~、パリの話はもうやめるつもりだったのに引きもどされてしまいました。
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フリガナに注目。
ポンピドー・センター Centre Pompidou がある、シャトレ Châtelet エリアにはなぜか怪しげな「日本料理屋」がいっぱい。ピンからキリまで各クラスを全部で5~6軒は見かけました。
パリに住む夫の甥はお友達(インド人らしいです)の家で食べさせてもらったスーシー(寿司)に夢中です。
パリのスーパーには瓶入りの一回使い切りの「スーシー・ソース」が売られているとか、夫の妹の家では以後 時々スーシー・ディナーをするそうです。
どうやらお酢で和えた外来米をスーシー・ライスと呼んでいる様子....
私が滞在中に一度ぐらい作って食べさせてやってもよかったのですが、慣れない外国で買い物もままならず....
憧れの日本料理を食べてみたいという甥の期待に応えるべく、ベトナム系の家族がやっているらしい、比較的庶民的な店構えの(狭苦しい)日本料理屋に入ってみることにしました。
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店構えに反して、お値段はとても高く、味の方は....びっくりするほど期待外れでした。
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マンチェスターにもけっこうたくさんある日本料理屋、多くはフィリッピン人や中国(正しくは香港)系の家族が経営しています。
自称正統日本料理屋のテッパン・ヤーキーやスーシー・レストランの無邪気な勘違いぶりはご当地流と温かく容認できる私です。
要するに地元のイギリス人が楽しんでいるのなら日本人の私があれこれ批判するべきではないはずですから。
今では私もイギリス人に混ざってうさん臭い中国人によるイギリス人のための「正統日本料理」をけっこう楽しんで食べています。
が、しかし、パリのここの料理は本当にどうかと思うものが....う~ん、フランス人はこれがおいしいと思って食べているのだろうか.....?!
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エビフライにはあまーいエビチリソースが添えられてきました。
ご飯は真ん丸な型にはめてお茶碗に硬く盛られて出てきました。
甥はエビフライにしょうゆをたっぷりかけて食べた後、全く味のしないご飯を一口食べて残しました。
以前にも詳しく書きましたが、西洋人はおかずを食べながらご飯を食べる、口の中で味を混ぜる習慣がないのです。
油で炒めたマッシュルームはキノコに目がない夫も一つ食べて残しました。
他にもいろいろ竹串にさした野菜、肉がメニューにありましたが、どれもしょうゆをつけて食べることになっているようで、タレも香辛料もかかっていないようです。
竹串にさしてお団子状にして出し、しょうゆをかければ日本流、と思われているようですね。
「かき」とへたくそなひらがなが書かれたお皿はプラスチックでした!!!
ひらがなが読めないフランス人は日本料理屋のお皿になぜトマトの絵があるのかいぶかることでしょう。
私たちが滞在した凱旋門のそばの高級住宅街にあった、持ち帰り、配達たまわり専門の寿司屋です。
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「寿司人」という屋号はなかなかシブいですね。
とても読みにくいのですが、濃紺ののれんに白抜きで正しい漢字で書かれています。
でも、あれ?ローマ字のサインは SUSHI REN 。「レン」って「人」の中国語読みじゃありませんか?
「食物」小皿はミシンをかけるとき、はずした待ち針を入れるのに重宝する大きさです。
「食物」と書かれているのに食物を入れる以外の使い方をするのは抵抗があるのですが....
パリのシブい漢字表記の続きです。
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エッフェル塔 La Tour Eiffel のふもとの縁日のような屋台通りの量り売りの乾燥フルーツ屋。覆いもケースもなく、なんだかちょっとキタナイですね。
日本語表記は何のため?
もしかして、もしかして、もーのーすーごーい数の中国人観光客のことを日本人だと勘違いしている.....なんてことは、まさか ないでしょうね?
あるいは中国語と日本語の区別がつかない、とか....?
エッフェル塔の近辺でこの日 見かけた日本人と特定できる観光客は皆無でした。
半数が中国人、残りはヨーロッパ各地、アメリカ、中近東から来たらしい人、フランス人のお上りさん風もちらほらといった割合でした。
ライオンは真鍮製のドア・ノッカーのモチーフとしておなじみですね。
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実はライオンのモチーフが豊富なイギリスではライオンのノッカーはあまり見かけません。
ライオンはイギリスの王室の紋章にも登場する、国家を象徴するマスコットなのですが。
ところで上の写真のドアノッカー、ライオンはわき役、主役は上の2頭のウマの頭のようです。
だるそうに下で引っかかるライオン、なぜかやる気がなさそうです。
ウマの図像ってなぜか横向きが多いですね。いえ、ほとんどすべてが横向きです。
ライオンの顔は正面からのほうがサマになります。
....でもこれ、下を向いていてライオンの勇壮な感じがぜーんぜんあらわされていないような...。
これは顔の正面をとらえていますが....ライオンですよね。たてがみがないので決めつける自信がなくなりました
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巻紙の真ん中を破って顔を無理やりのぞかせている不思議な表現、しかも表情もかなりバカっぽいではありませんか。
下で奥ゆかしく重ねた前足と両側に大胆に開いた後ろ足がのぞいているのもかわいらしくてここでもまた定型を破っています。
....どっちが前足か後ろ足か、そういえば判然としません。
同じく噛みつきライオン。
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周りの装飾の豪華絢爛ぶりが情けない表情を引き立てています。
アールヌーボー調の優美なビルの.....
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雄ヒツジと美しく流れる髪に花を挿した少女の装飾を見つけました。
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この組み合わせが、ちょっとよくわかりませんね。
とっておきの物件です!
ポンピドー・センター のある シャトレ Châtelet 近辺の古いビルです。
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ね?
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ネコですよ、ネコ!!
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興奮しました!
画質が落ちますが拡大します。
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このビル、なんだったんだろう?
じゃあ、というわけで、ネズミです。
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古い建物に棲む動物カテゴリーからは大きく外れます。
これ、だれかがくっつけた現代アート、というよりストリート・アートに分類できますよね?
引っ込んだ戸口の青いドアの上 横にめだたずちょんちょん、と存在しています。
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偶然上を見て歩いていて目にしました。
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アール・デコ(1910年代から1930年代の建築、装飾様式)風の建物がけっこうたくさんありました。
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丸っこい形もアール・デコの特徴です。
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上の写真の真ん中のビルのうねうねバルコニーが気に入りました。
たぶんこれもアールデコだと思うのですが....男女のペアが軒を支える大胆な装飾。
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何かの寓意か、いえ、たぶん飾りなんでしょうけど....このフラットに住んでみたいです。
窓を開けると左右に迫る裸の男女。重そうです。
これは19世紀末にパリで発生、20世紀初めごろには世界を席巻したアール・ヌーボー様式の「松ぼっくりハウス」(命名、私)
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アール・ヌーボー様式もたくさん見かけました。
こちらは「ひまわりハウス」
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泥棒め、押し入れるものなら押し入ってみろと言わんばかりの....あれれ、これ泥棒除けですよね?
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凝りすぎ。
道を通すなど、都市計画の都合で途中でちょん切られて切り口をさらしている古い建物はヨーロッパの古い都市(イギリスにも)ではよく見かけます。
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上の写真の物件はどうやら内装も変えて窓を穿ち、古典ギリシャ風(??)ファサードの模様まで刻み込んで装飾しちゃっています。
鉄細工のかわいいアップリケ、これは床の補強?違いますね。窓の位置から、床の高さとは思えません。
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イギリスには家を貫く鉄の棒が何本も通っている古い家を見ることがよくあります。
その上に何枚も床板が載っているのです。
両側の外壁には十字や星などの形の装飾的な「端どめ」がつきでています。
一瞬それかと思ったのですが、飾りですよね?
ポンピドー・センターそばの、看板によるとジュース・バーです。
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日曜日なので閉まっていました。
過去数百年の間に何層も厚く塗られたペンキを熱で中途半端に剥がして、個性的で魅力的な装飾にしています。