中島H邸の裏側から見た感じです。
腰までは杉羽目板を貼り、上は窯業系サイディングの3×10板を貼って、シーラー処理し、弾性塗装を塗ってあります。
最近は、だいたい、こんな感じで仕上げるようになりました。
準防火地域の場合、杉羽目板を貼るのに、下地に12ミリのダイライトを貼る必要があります。それを小屋裏、タルキまでも切り抜いて野地板まで貼って更に内部には石膏ボードを貼って、火災時に炎が小屋裏まで入らないように覆います。
そのため、小屋裏の通気がとても悪い状態になる。
(といっても、準防火地域の場合は羽目板でなくてもそうしなければならない・・建材屋さんの話ではダイライト12ミリでさえ出ていないとのこと・・石膏ボードで対応してるのだろうか??)
軒裏が準耐火30分をクリアするには、通常石膏ボードに鉄板を張る必要があります。または、石綿スレート板ですが、アスベスト規制のため使えない。他の防火軒天ボードを使うのが一般的。
最近は、軒を出さない方法を取るのが多いようです。
見た目スッキリしてデザイン性も良いのですが、雨仕舞いが悪く、耐久性は期待できません(軒は極力出したほうがいいです。なめてかかるとシロアリの餌食になりますから・・)
軒裏は防火ダンパーを付けて通気を取る必要があります。
この建物の場合は、小屋裏まで防火壁で覆ってあるので、軒裏の対応の必要はありませんが、石膏ボード12ミリを下貼りして、軒天ボードを貼ってあります。そして、軒裏のみの通気を取るために防火ダンパーを取り付けてある・・
小屋裏は別穴で通気を取っています。
部屋側は天井を貼って、その間を空気が流れる工夫をしています。
通気を取らないと、水分がそこに残って、結露の心配がある。
ロフトの窓も見えますが、妻飾りの一部にしています。
竪格子と同化するように小窓が設けてあるのですが・・
(見えないかもね・・それだけ同化してる。)
ロフトは屋根の向こう側にもあって、吹き抜け天井でつながり、そこでも空気が流れるようにしてあります。(風が抜けるというよりも、下からの熱気が小窓から外へ抜ける)
霧除けが妻と1、2階の中間に設けていますが、その下の窓への直射日光と雨の遮断が目的・・というのは普通の建物の場合です。
伝統構法の場合は、もう一つの大きな意味がある。
写真では分りにくいのですが、屋根の下に、構造材が突き出ているのが見えます。
梁が外側20センチくらいまで飛び出すのが、伝統構法の特徴です。
昔の「蔵」とか「古民家」を見ることがあったら、気をつけてみると、2階の床や建物の中間辺りに、梁が突き出ています。
わたりあご、打ち出しホゾ
は、長さがないと効きません。短いと割れるか折れるかしてしまうのです。
だから極力外側に突き出す。
屋根の直下ならば、雨が当たらないのですが、外壁の中間くらいだと雨にさらされてしまう。
だから、屋根鼻をせいいっぱい伸ばして、雨が当たらないように工夫していたのです。雪国の場合は、積雪により屋根が折れてしまうので、梁を建物の外側に出して(通常は3尺=90センチ)、屋根の出を少なくする「せいがい造り(又はセンガイ造り)」という手法をとっていました。
この建物の場合は、霧除によって2階床の梁を隠しています。
自分の建物のウィークポイントが分っていないと、丈夫な建物はつくれません。
その上に見切りをつけて羽目板が貼ってありますが、これは建物全体の羽目板のバランスをとるため・・
「霧除けで見切って、そこから上を窯業系サイディングにすれば効率がいい」
という意見もあるのでしょうが、それだとバランスが悪い。
見た目も大事。
ただ、この建物の裏は、ブロックで土止めをしてあり、下が見えないので、ちょっとバランスが崩れて見えるのが惜しい・・(まさかお隣に下げてくれとも言えないし・・)
将来的に、隣の土地を購入したら、地盤を下げてもらえば、絶妙バランスの状態になると思います。(まあ、裏はあんまり見ないんだけどね・・)
将来、木が痩せて栓、クサビが緩んだ場合、この霧除けの下の軒天ボードだけ取り去って、締め直せばよい。
そして、復旧すれば良いので、外壁を全て解体しなくても容易に工事が出来るようになっています。
通常の在来木軸の場合は、外側に羽子板ボルトや火打ちボルトのナット部分が外側にあるので、外壁を解体して締め直してやる必要があります。
中越地震の時、殆どの建物の金物が緩んでいました。
金物が引っ張られて伸びるのと、木にめり込むのが原因で、外壁工事が絡む場合は締め直したのですが、地震でもない限りはそこまでしない。
やっぱり外装工事のときに金物も締め直してやったほうがいいでしょう。
今はやりの、外張り外壁の場合は、締めることもしないので、そのままでいくのでしょうが・・(あれ、仕事は速いけど、雨仕舞も悪いし、値段も高い。騙されないように!)
前回も書きましたが、金物を使う場合でも工夫がいる。
「引き寄せ金物」にして内側からナットを締める方法。
もう一つは、この建物のように霧除け、下屋を多用して、後でナットを締める工夫をする方法。
在来木軸工法だって、改善の余地はたくさんあります。
絶えず、工夫をする。考えることが大事です。
ガスのメーター検針をしている友人が、我が家を裏から見て、今のハウスメーカーは頼んでも「雨なんか吹き込みません。大丈夫ですよ」と面倒なのか出来ないのか、庇を付けてはくれないのに、藤川建設はさすが丁寧な仕事をしていると関心したと言っていました。
裏は直ぐ後ろのお宅の敷地との境界で、それもあちらは高く地盛りをしているので、恥ずかしながら私は裏から眺める事をしなかったので、気付きませんでした。
社長がそこまで考え工夫して施行されていたとは!
すごいです
遅ればせながら、ありがとうございます。
そして、体を大切にしてこれからも完成までよろしくお願いしますね。
裏側からも目立ちます。この建物は・・
羽目板が珍しいからなのかも知れませんが・・
やっぱり、前から見たほうが「かっこいい」のですが・・・
サッシもゴムパッキンが何時までもつのか心配なので、極力庇を付るか屋根の直下で雨がはたかない所とかだといいのですが・・
(寿命は20年くらい?普通の家ならそれでいいかも・・)