長岡市今井町にて8帖間の和室を10帖の洋間に改装しています。
和室に隣接する押入れ、床の間を解体し、1つの大きな部屋にする工事。
先週まで、狭かったトイレを出窓で広げ、ドアを引き戸にして廊下の床と段差を無くすバリアフリー工事を終了し、今週は洋間改装にとりかかっています。
今まで、押入れに入れてあった柱を取り去らなければなりません。
そのために、柱の支えた分の補強をする必要があります。
2間分(3m64cm)のスパンを飛ばすのに、工場にあった、5寸×1尺2寸(15センチ×36センチ)の杉材を使うことにしました。
目も積んでいて、重量があります。
軽トラックには積みきれず、ユニック付のトラックで運搬。
降ろすのにも、ユニックにて吊り上げないと、重量がある。
加工、刻んだ後に、他の現場から数人応援を呼んで、4人がかりで、やっとのことではめ込みました。
おそらく100kgくらいはあったのでしょう。
「ミニ建て方」
みたいなものです。
作業が終わり、みんな疲れた様子でした・・
(ほんの10分くらいでしたが・・)
雪国は、冬場、雪が積もるので、特に梁には大きな材料が必要です。
取り付け後は、立派な梁が屋根を支える感じになります。
観ていたお客さんも、たいへん喜んでいました。
柱と梁は、伝統仕口で止めたいところでしたが、外壁も絡むので、仕方なく金物で補強。(無念・・)
通常は羽子板ボルトやプレートで止めるのでしょうが、より強固にするために「引き寄せ金物」にて止めました。
羽子板ボルトの親方みたいなもので、緩んでも締め付けられるように工夫しています。
在来軸組工法で、この方法を多用すれば、わざわざ外壁をはがさなくても内側から締め付けができ、より耐久性のある建物になるでしょう。
ボルトを外側から差して、内側でナットを締める方法です。金物が1ヶ所に2個以上必要になるので嫌がられそうですが、打ち出しホゾや鼻栓加工をするよりも楽でしょう。(全国の大工よ!そのくらい、工夫しろよ!!)
梁を魅せる演出をする場合、金物が部屋側から見えるのが難点ですが・・
伝統仕口だったら、それが味のある飾りとなる。
普通のつくりならば天井裏に隠れるようにすればよい。
金物一個取っても、工夫をしてしまう私・・
より強い方法を考えれば、おのずと知恵はでるはず。
今回、10帖の洋間に改装するのは、高齢となり、将来的に介護も視野に入れておくべきだということで、8帖和室よりも広い洋間にしたいというお客さんの要望です。
デイサービス等の入浴サービスも広い部屋が必要です。
そのため、床材に何を使うか思案のしどころです。
車椅子対応ならば、建材床の硬いフロアーを・・それとも暖かさ、ぬくもりを感じるならば無垢のフロアーを・・
究極の選択です。
前述の通り、入浴サービスを考慮するならば、水にも強いものを使わねば・・
でも、建材は足にきます。
硬い床は毎日歩いていると、腰に来る。
特に、冬場は冷たいので、床断熱をしても、ヒヤッと感はあるでしょう。
とはいえ、介護が必要になったら、床を貼りかえるというのも考え物です。
健常者ならば、戸惑うことなく、無垢材をすすめます。(でも、狂うんだけど)
やっぱり、建材床か・・
床に敷く畳とかあるので、そういうのを併用するとか、じゅうたんを敷くとか・・
当面はそうやって工夫してもらうしかない。
バリアフリー工事って、考えていくと奥が深いものです。
部屋を極力暖めるために、既存のサッシに後付の樹脂サッシを入れ、土壁の間にはグラスウールを入れて、熱効率を高めます。
今までよりも暖かい部屋になること間違いなし。
どんな工事でも、こだわってしまうのは、性格か・・
さて、来月の17日に東京にて200年住宅の説明会があります。
「全国建築組合連合」(全建連)が国交省に提出した200年住宅の仕様の説明を受けます。
土台、柱は4寸5分(13.5cm)で国産の材料を使うというもの。
当然、金物を使うことになるでしょう。
この方法で建てたモデル住宅は、最大200万円の補助を受けられます。
震災対応の県産杉100万円+安田瓦85万円+バリアフリー25万円を追加すれば、最大400万円!
この秋から冬にかけての物件で試験的に取り入れてみようと思っています。
(伝統構法でないのは申し訳ないのですが・・補助金で勘弁してね。でも普通の建物よりも強いですから・・)
いよいよ200年住宅が始まるのであった・・
そして、それを改良して、伝統構法バージョンで国交省に提出するのが、伝統構法を残す一つの方法かと思っています。
もう一つは、国交省が全国の伝統構法を担う大工を集めて、モデル実験や検討会を開催していることです。新潟県(北陸?)代表として我が「越後に生きる家を作る会」の有志が参加。
東京の「伝統木構造の会」増田先生も出席。
この検討会と2本柱で、伝統構法を残すシナリオをつくる・・
う~ん・・いつの間にか全国のトップレベルと肩を並べるところまできてしまったのだな・・(と、書くとまたナルシストと言われそうじゃ)
山の木を真ん中に置いた家作りをしてきた甲斐があります。
また、これで、山の木が使えるのならば本望。
社長が姉歯事件のおかげで、伝統工法木組の家が建てられなくなると嘆いておられたのは・・・
覚えていらっしゃいますか?
その時、女医さんから「心配しなくても大丈夫!良い物は必ず残るから5年辛抱しなさい」と言われ
「5年ですか・・・」と肩を落とされていましたね。
私は「全国には社長のように伝統工法の建築で頑張っている人が沢山居るはず。みんなで手をつないで、国に働きかけていけば、解決の糸口になるのでは」みたいな励ましを言ったような記憶があるのですが。
今日の日記を読み、何か明るい光が見えて来たような気がして嬉しくなりました。
「良い物は必ず残る!」
信じよう
写真見たら土壁の家か!と思ったら本文にあるように土壁の家なんですね
築何年位なのでしょうか?
今回補強された助け梁も見事ですが元々の丸太梁も見事ですね!
8寸ですか? あと柱は3.5寸ですか?4寸?
家主さんはもう車椅子なのですか?
まだ車椅子でないのでしたら畳はいかがでしょう?
畳の嫌いなお年寄りはいないだろうし床断熱工事もいらないだろうし、いざ車椅子生活になったら畳を剥いでフローリング等に張り替えたらいいかと思います
あと土壁の厚さはどれ位ですか?やはり雪国で土壁だけだと寒いのですか?
200年住宅ですか・・・・・・
全国に築200年前後の家はゴロゴロあるのに最新の法律では欠陥住宅
築30年程度の家しか作れないハウスメーカーが突然200年住宅、しかも集製材+金物だらけ
日本の役人さんは本物の家を知らないだけではなく住みたくもなく、まして国民に与えたくもないみたいですね^^
「これが最後かな・・」
って思ってました。
新しくお客さんの家を設計するとしても、伝統構法をすすめることができないジレンマ。
今、設計している2物件も、構造は伝統構法でも、来年の10月以降に引き渡す場合は瑕疵保証制度上、金物を使わなければなりません。
工場に置いてある、たくさんの木材も出番のないままになってしまうのが、残念で、木に申し訳ない気持ちになってしまう。
昨日は、工場に干してある丸太の皮むきをしてみました。丸梁として使うかどうかも分かりませんが・・
でも、木をいじっていると、やっぱり諦められない。
この木を活かした家をつくりたい。
自然のサイクルに沿った物づくりを続けたい。
そういう気になります。
そんな中で伝統構法を残す方法は、まだある。
工夫をする。粘り強く交渉、研究、検討することで活路は開ける。
全国の棟梁達が一致団結して、伝統構法を残すことに賛同することを望みます。
国交省の呼びかけのもと、そんな場が用意され、少しづつ路線が見えてきました。
乙吉町S邸が激震の中、耐えていた。
まわりは、道路も家も崖にくずれているなかで、ぽつんと何も無かったように整然と建っている・・・
まさに林業と伝統構法を象徴しているかのような姿でした。
現在の日本の林業は崖プチ。問題は山積み。
それでも、知恵と技を駆使することで困難を乗り越える。
そんな、けなげな姿が目に浮かびます。
この経験を次の代に引き継いでいく、それが木を活かし、自然に負荷がかからず、耐震、耐久性に優れた方法だと伝える。それが使命と思っています。
わずかな、一筋の光を目指して日々努力するのみ。
土壁です。
柱は4寸。雪国は4寸があたりまえ。
丸太梁は2間半飛ばしていました。
概ね径が8寸(24センチ)でした。
これも、ほぼ当たり前の構造です。
お客さんは、まだ達者です。
でも、今からベットを置ける部屋にしようという考えです。
和室は他に2部屋あるので、ここは寝室感覚です。
そして、玄関に一番近く、いざとなれば掃き出し窓から外に出ることも可能。介護にはうってつけの場所です。
介護が必要となってから工事をすると、弱った体に負担がかかります。工事でばたばたして、かえって寿命が縮まったなんて話も多々あります。季節もいい時期にできるとも限りません。
だから、いまのうちに・・という考えなのだと思います。
「本物は必ず残る!」
でしたね。
伝統工法木組の家、本物の家です。