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中国人留学生をスパイに仕立てた人民解放軍「サイバー攻撃部隊」の手口 元公安警察官の証言

2022年08月15日 23時47分30秒 | 全般

以下は今しがた発見したデイリー新潮編集部からである。https://www.dailyshincho.jp/article/2022/08150700/?all=1

中国人留学生をスパイに仕立てた人民解放軍「サイバー攻撃部隊」の手口 元公安警察官の証言
日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、中国人民解放軍に利用された中国人留学生について聞いた。
中国人留学生をスパイに仕立てた人民解放軍「サイバー攻撃部隊」の手口 元公安警察官の証言
元公安警察官は見た 国内 社会

中国人留学生をスパイに仕立てた人民解放軍「サイバー攻撃部隊」の手口とは(※写真はイメージ)(他の写真を見る)

 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、中国人民解放軍に利用された中国人留学生について聞いた。

 警視庁公安部は昨年12月、中国人民解放軍人の関係者から指示を受け、日本製の企業向けウイルス対策ソフトを不正に購入しようとした詐欺未遂容疑で中国人元留学生王建彬(おうけんひん)容疑者(36)の逮捕状を取った。同容疑者は中国に帰国しているため、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配する予定だ。

「今回は、中国による産業スパイの典型的な事件ですね」
と解説するのは、勝丸氏。

「人民解放軍は、優秀な留学生がいると、その人物の実家を調べあげ、本人と接触するのです。『我々に協力してくれたら、両親の年金をアップしよう。君が中国へ戻った時は優遇されます。情報収集をすれば報酬を払います』と持ちかけるのです」

「61419部隊」
 仮に人民解放軍の要請を断れば……

「『君の両親が、どうなるかわからない。君も中国へ帰ったら、どうなるか保証できない』と脅かされるのです。こんなことを言われて、断れる人はまずいません。今回逮捕状が出た王容疑者は真面目な学生だったそうです。それでもスパイにさせられるのです。まさかと思うような人が、ある日突然スパイになる。これが中国の特徴なんです」

 王容疑者は2010年、日中貿易の仕事を目指して大阪市の日本語学校に入学、2012年、トップの成績で卒業した。その後、大阪市内の私立大学の経営学部に進学した。大学在学中に人民解放軍人の関係者からある依頼をされた。

「彼に依頼をしたのは、人民解放軍のサイバー攻撃部隊『61419部隊』に所属する軍人の妻でした。彼女と王は、彼が来日する前に勤務していた中国の会社の上司の紹介で知り合ったといいます。人民解放軍は、王が日本に留学することを知った上で、彼をスパイにするために彼女を接触させたのでしょう」

 軍人の妻からの最初の依頼は、日本のUSBメモリーを入手することだった。

「彼女にUSBを送ると、王のもとへ報酬が届いたそうです。中国へ日本のUSBを送っても、違法ではありません。最初は誰にでもできる簡単な、法に触れない依頼から始まって、次第に難易度の高い依頼へと変わっていくのです」

 2016年、王容疑者は軍人の妻から、日本国内のレンタルサーバーを契約し、IDとパスワードを送るように指示されたという。

「王が契約したサーバーは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や三菱電機、IHI、慶応大、一橋大など防衛や航空関連に関わる約200の研究機関や企業の機密情報を狙ったサイバー攻撃に使われました。人民解放軍によるサイバー攻撃では、日本の複数のサーバーが使われ、その一つが王のサーバーだったのです。日本のサーバーを経由することで、検知システムに不正アクセスだと認識されにくくするためでした」
JAXAをサイバー攻撃
 2016年春、王容疑者は大学を卒業、帰国した。同年11月、軍人の妻からさらに難易度の高い依頼が来た。

「日本の法人向けのウイルス対策ソフトを購入するよう指示されたのです。そのソフトは日本の企業だけにしか販売できないため、王は架空の企業名や担当者名を使いました。ところが、ソフトの販売会社は王が提示した企業の登記が確認できなかったため、不審に思って販売を拒否したのです。それで王は怖くなって軍人の妻に『これ以上は危険です』と伝えると、彼女は『国家に貢献しろ』と言い放ったそうです。もっともその後、軍人の妻から新たな指示はなくなったそうですが」

 警視庁公安部は、2016年から17年にかけて行われたJAXAなどへのサイバー攻撃を捜査。人民解放軍のサイバー攻撃部隊が使用した日本のサーバーのうち、王容疑者が提供した以外のサーバーは、日本に住む30代の中国共産党員のものだったことが判明した。2021年4月、この中国共産党員は偽名で契約したレンタルサーバーを中国のサイバー攻撃部隊に転売していたとして、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検された。

「公安部は、王容疑者が通っていた日本語学校の同級生も任意で事情聴取しました。中には、王と同様に人民解放軍に協力したと疑わしき者もいましたが、証拠不十分で立件できませんでした」

 こうしたスパイ事件は増えつつある。中国は2017年6月、国家情報法を施行している。

「これは、国民や中国企業に国家機関の情報活動への協力を義務化した法律です。これで中国の産業スパイ事件が一気に増えました。危機感を覚えた安倍晋三首相(当時)は、中国の産業スパイ対策を議論。昨年10月、岸田内閣で経済安全保障の担当が置かれることになりました。実体は産業スパイ対策大臣です。警視庁も同年4月、中国と北朝鮮を担当していた外事2課を中国専門にして、北朝鮮を3課に分離させています」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

 

 


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