以下は昨日発売された月刊誌WiLLに、LGBT、 女性の不安・恐怖を煽る最高裁判決、と題して掲載されている、p30~p40に渡る3段組みでの、百田尚樹氏と門田隆将氏の対談特集からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
前文省略。
以下はp35からの抜粋である。
GHQが仕掛けた時限爆弾
門田
政官財、そして司法。日本社会のあらゆる分野で腐敗が止まらない。
その原因を突き詰めれば、戦後民主主義教育にあります。
岸田総理は昭和32年、茂木幹事長は昭和30年、林外相は昭和36年に生まれた。
今回の"女子トイレ"判決を下した今崎判事も昭和32年生まれ。
各省の事務次官も軒並み、昭和30年代生まれです。
各分野でトップに立っている彼らが、学校でどんな教育を受けてきたか。
当時は日教組が教育現場を仕切っていたので、「国家とは何か」「国民の命を守るとはどういうことか」を教えられなかった。
それどころか、「日本は侵略国家」「国家は悪」と叩き込まれました。
私も昭和33年生まれなので、身をもって知っています(笑)。
その教育のなかでトップを走ってきた連中が今、指導層を形成しているのです。
百田さんは昭和31年生まれなので、私とは2つしか違いませんね。
百田
私が通っていた小学校では当然のように日の丸が掲揚され、君が代が歌われていました。
低学年の頃は毎年、元日に登校日が設けられていた。
生徒には紅白まんじゅうが配られますが、そのときも日の丸が掲げられていた記憶があります。
門田
素晴らしい。
日教組が強い高知ではあり得ませんよ(笑)。
百田
小学4年生のとき、昭和天皇が大阪にいらした。
昭和天皇をお迎えするための日の丸の小旗を、学校が生徒に配っていました。
私の印象では、その頃くらいから教育現場の空気が変わっていった感じがします。
門田
昭和40年代に突入した頃ですね。
百田
戦前を知る日本人の大半は、GHQに洗脳されていませんでした。
GHQの洗脳政策の本当の効果は、2、30年後に表れます。
門田
そこが興味深い点ですよね。
詳しくお願いします。
百田
サンフランシスコ講和条約で、日本は独立を果たします。
その直後、戦犯の赦免を求める国民運動が起こった。
占領下では「戦犯たちを助けよう」などとは口が裂けても言えませんでした。
ところがGHQが撤退すると、日本全国から4千万人の署名が集まり、国民の声が国会を動かした。
門田
最終的に全会一致で決議され、戦犯の名誉は回復された。
国会では共産党ですら決議に賛成しました。
百田
当時の人口はおよそ8千万人ですが、その頃は子どもの数が多かったので、4千万という数字は有権者の大多数です。
つまり日本国民のほとんどが、戦犯は東京裁判の被害者だと知っていたのです。
ところが、昭和10年代後半に生まれた世代と終戦直後に生まれた団塊の世代は、いわば白紙の状態でGHQによる洗脳教育を施されました。
「ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム」の洗脳を受けた世代が社会人になったのが昭和40年代。
マスコミや公官庁、一般企業でそれなりの肩書を得たのが昭和50年代。
その頃から、日本がおかしな方向へ進んでいった。
門田
GHQが仕掛けた時限爆弾が「起動」したわけですね。
「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」のウソが報じられ、靖國問題が騒がれ始める時期と重なります。
百田
毛沢東も周恩来も「南京大虐殺」などとは一言も口にしていませんでした。
中曽根政権になるまで、首相の靖國参拝には抗議など一切なかった。
GHQによって「日本軍は悪逆非道であった」という洗脳を受けていた日本人は、まったく事実に基づかない内容にもかかわらず、朝日新聞の捏造記事や近隣諸国の主張をあっさり信じてしまったのです。
移民政策は"覚醒剤"
門田
"偽りの教育"で優秀な成績を収めた受験エリートたちに、政界や官界、マスコミの中枢を牛耳られている。
「国家とは何か」を語ろうものなら、鼻で笑われるエリートの世界。
そこに住んでいるのが岸田総理であり、そのお仲間たちなのです。
彼らにとっては、日本国民という”下々の者たち”のことなど関係なく、自分たちがいかに特権のなかで生きていけるか、が重要なのです。
百田
政治家に限らず、自己中心的な発想が日本社会に蔓延しています。
その原因は歴史の不勉強、とくに自国の歴史への無理解にあるのかもしれません。
自国の歴史を学べば、自分たちも歴史の一部だと気づく。
素晴らしい日本を子や孫の世代にも受け継いでいきたいー。そう考えるはずです。
ところが、歴史を知らないと、百年後に日本がどうなっても自分には関係がないと思ってしまう。
門田
「自分さえよければいい」「今さえよければいい」という発想が顕著となるのは、移民をめぐる議論です。
百田
移民政策を推し進める政治家や経営者は、上流社会の住民です。
日本の治安が悪くなっても、労働者の賃金が下がっても、彼らの生活は変わりません。
門田
岸田政権は外国人労働者の永住や家族帯同が可能な在留資格「特定技能二号」の大幅拡大を決め、事実上の"移民大国"への道を進み始めました。
百田
移民政策は覚醒剤に似ています。
覚醒剤を打てば、眠気も疲れも吹っ飛んでバリバリ仕事ができる。
しかし、いずれ身体はボロボロになってしまう。
安い労働力を使ってコストを削減すれば、企業の利益は大きくなる。
税収も増えるでしょう。
経営者や政府にとっては魅力的かもしれませんが、そんなものを吹っ飛ばすほどの副作用が生じます。
日本が日本でなくなる
門田
フランスでは現在、移民系の住民が暴動・略奪の限りを尽くしている。
埼玉県南部ではクルド人による騒動も起こりました。
多文化共生が幻であることは誰が見ても明らか。
さんざん警鐘が鳴らされているのに、岸田政権は呑気に周回遅れで、そこに「突入」したのです。
百田
移民・難民の受け入れを先導していたメルケル元首相ですら、欧州の移民政策は完全に失敗だったと認めている。
欧米は「これ以上進んだら崖から落ちて死んでしまう」と気づき、ギリギリで引き返そうとしています。
にもかかわらず、日本だけが崖に向かって突っ走り始めた。
門田
都内で生活するなかで、私自身も日本社会の変容に気づかされます。
ここ数年、「副都心」と呼ばれる地域の風景や空気が変わってきている。
中国人をはじめとする外国人の増加が原因です。
副都心というのは、池袋から新宿を通り、渋谷に至るまでのエリア。
外国人が増えているといっても、人口にして数%にすぎません。
それでも、街並みをガラツと変え、目に見えるほどの治安悪化を招いてしまうほどの影響力がある。
百田
清の時代、中国を支配していたのは女真族です。
女真族の人口は中国全体のわずか3%だったといわれている。
元の時代のモンゴル人はもっと少なかったかもしれませんが、それで彼らは広大な中国大陸を統治していました。
中国に限った話ではありません。
白人による植民地支配を見ても、わずか数%の白人が有色人種を支配していた例はいくらでもあります。
日本人はもっと危機感を持つべきです。
さもなくば、日本が日本でなくなってしまう。
この国はヤバい
百田
私たちが社会人になった時代、日本経済は隆盛を極めます。
その後、30代でバブルが崩壊。
それから20年間、日本は不良債権処理などの国内問題だけに終始する。
門田
幸か不幸か、冷戦後の日本は対外的な脅威に哂されてこなかった。
正確に言えば、国民が「脅威」に気づかなかった。
それが危機感の欠如につながった側面もありますね。
百田
冷戦時代に最大の脅威だったソ連は崩壊しました。
北朝鮮は当時からミサイル発射をしていましたが、その性能はまだまだ悪かった。
中国のGDPは日本の10分の1にすぎなかった。
1人あたりGDPは100分の1です。
日本人が中国に抱くイメージは、「広大な国土と巨大な人口を抱えた貧国」というものでした。
私自身、中国がここまで恐ろしい国になるとは思っていなかった。
完全に油断していたのです。
門田
ベルリンの壁とソ連が崩壊したことで、世界の共産主義は総崩れとなりました。
ところが中国は天安門事件以降、時代に逆行するように思想統制を強化していった。
共産主義の代わりに、民族主義を利用することで、国内を一枚岩にしようと試みたのです。
1990年の初めから、大学生の軍事教練や江沢民による反日教育が全面的にスタートしました。
百田
門田さんは取材で中国を何度も訪れています。
門田
1980年代の初めから毎年のように中国に行っていましたが、最初は中国の人々に好感を抱いていた。
優しくて素朴な人たちが多く、他国を侵略して自国の版図を拡大しようなどという意識を持っているとは思えなかったのです。
知識階層も一般民衆も、好戦的なところは見られませんでした。
空気が一変したのは80年代の後半。
天安門事件の3ヵ月前にも私は中国に行ったのですが、人民同士がいがみ合い、街頭でも殴り合いのケンカが目につくほど社会が荒れていました。
驚きましたよ。
拝金主義が蔓延した結果、カネをめぐる争いがそこかしこで起こっていました。
百田
毛沢東が主導した大躍進では、6千万人の餓死者が出たとされています。
その後、文化大革命が起こり、社会がメチャクチャになりました。
共産党による悪政のなかで、中国人は貧困の辛さを思い知らされた。
だからこそ、カネの話になると目の色が変わるのかもしれません。
門田
直感的に「この国はヤバい」と思いましたが、その直後に天安門事件が起こる。
共産党政権は徹底的な民衆の監視、思想・言論の統制が必要だと思い知ったはずです。
その総仕上げが習近平政権。
習近平はデジタル技術を駆使しながら、民衆の統制を加速させました。
5億台以上の監視カメラを網の目のように張りめぐらせ、誰が何をしているかを逐一チェックする。
コロナ禍においては感染症対策を名目に、民衆の監視が徹底強化された。
百田
そう考えると、中国共産党政権はなかなか崩壊しませんね。
国内経済がどれだけ悪化しても、国民がいくら貧しくなっても、共産党は民衆の不満を力で押さえつける。
中国崩壊論が唱えられて久しいですが、内部崩壊は期待できない。
私たちがすべきは、第一に中国が対外侵略しないように封じ込めること。
第二に、侵略されても反撃できる準備をしておくこと。
それしかありません。
この稿続く。