座間郷総鎮守 鈴鹿明神社ブログ「社務日記」

神奈川県座間市入谷西鎮座、座間郷総鎮守 鈴鹿明神社の神事や日々の様子、神社の豆知識をお知らせ致します。

祭式作法の研鑚

2021年04月05日 | 神社知識・作法・歴史

今日は思いの外風も冷たく、参拝に見える方の数も土日に比べ控えめに見えます。午後の空いた時間でこの4月より奉職している新しい神職と共に、本殿にて祭式作法の練習を行いました。

神事における作法は実に細かく決まっていて、例えば『二拝二拍手一拝』で頭を下げる角度は90度、拍手の際は胸の前で合わせた手の右手を指一節分下げてから肩幅まで開き…といった具合です。

祭式作法は長年そのままでいると段々と自己流に、楽な姿勢に変わっていってしまうものです。それを防ぐために他人の作法を見て自分を戒める事や人に作法を教えるという事が良い刺激になります。

年度初めの物事が改まる季節、私達も自らの作法を見直したいと思います。


彼岸入り

2021年03月17日 | 神社知識・作法・歴史

今日は暦の上で彼岸入りの日となります。

お彼岸については何度かこちらで書いておりますが、簡単に言うと『御先祖様を敬う期間』というところでしょうか。春分(秋分)の日を中日とした七日間で、中日には宮中で『春季(秋季)皇霊祭』という神事が行われます。

『彼岸』の語は“悟りを開いた向こう側の世界”を意味する仏教用語で、お寺では彼岸会という行事が行われるそうです。

一般には“暑さ寒さも彼岸まで”の諺でお馴染みかと思います。

実際に今月頭の頃は日中10℃を下回る日が続いていたと考えると、随分春らしい天気になりました。これからは桜の時期でもあります。しばらく雨風が控えめであると良いのですが...


地鎮祭用竹の調達

2021年03月04日 | 神社知識・作法・歴史

次の土曜日はちょうど大安吉日に当たります。当日は家を建てる前のお祓いである『地鎮祭』のお約束が幾つかございますので、そのための竹を本日調達しました。

この竹は4本1組で、祭壇の周りに1本ずつ差し立ててしめ縄を張るのに用います。

使用しているのはあまり太くならない女竹と呼ばれる竹で、昔は少し探せば至る所に見つけられたと聞きます。しかし今は開発が進んで地鎮祭に適した竹が生えている場所というのが大変貴重になっています。

“しめ縄を張るためのもの”と考えれば本物の竹でなくとも良いのかもしれません。実際に人工の竹や紅白模様の柱など別の物を使ってしめ縄を張る神社もあると聞きますが、当神社では幸いにも竹林の地主の方のご厚意もあり、昔ながらの竹を調達する事ができています。

採ってみたら少し曲がっていたり、数日で葉が悪くなって落ちてしまうので長く取って置けないなどと自然の物ゆえの扱い辛さもありますが、可能な限り昔ながらのやり方を続けていきたいと思います。


境内稲荷神社のお祭り

2021年02月20日 | 神社知識・作法・歴史

当神社の境内には末社として2社の稲荷神社が鎮座しております。

先日の15日が二ノ午の日のためその日にお祭りが行われる予定でしたが、当日昼前後は大雨が降りましたので次の三ノ午、27日にお祭りが延期となっています。

元々参列者を招かない神職のみでのお祭りですから今日の様な快晴の日に行ってしまいたいところではありますが、祭日の決まっているお祭りですからそうもいきません。

境内の稲荷神社

稲荷神社のお祭りは『初午祭(はつうまさい)』と呼ばれ、“伏見稲荷大社の御祭神が和銅5年の初午の日に降臨した”という伝承に由来すると言われています。

そのため今でも全国の稲荷神社で初午祭が行われていますが、初午だけではなく二ノ午、三ノ午の日も祭日に数えられているのが面白い所です。これは全国に稲荷神社が多いために祭日がその分多くないと都合がつかないという実際的な理由もあるのではないかと思われます。

 

日本全国に稲荷神社は3万社以上あるとされていますが、各家庭や会社の敷地などにある祠を入れるともっと数は多くなるでしょうか。神道の中で、稲荷信仰は日本で最も広く信仰されていると言われています。

ここまで全国に広がったのは稲荷講など人伝えで信仰が広がったのは勿論、元々あった『田の神信仰(春に山から田へ神様が下りて恵みをもたらし、秋に山へお帰りになる)』と置き換わっていったなど幾つかの要因があると考えられています。

また家庭にあれば家内安全、会社にあれば商売繁昌、港町であれば大漁祈願と様々なお願い事を叶えてくれると言われるのも稲荷信仰の特徴でしょうか。今の時代段々と数を減らしてはいますが、皆様の身近にも稲荷信仰がまだあるのではないでしょうか?


雨水

2021年02月18日 | 神社知識・作法・歴史

今日2月18日は二十四節季でいう『雨水』(うすい)にあたります。

この雨水は冷たい氷も解けて水となり、雪も雨と変わるという意味で雨水と呼ばれているそうです。

境内では春の足音が徐々に聞こえ始めております。

週末は気温も上がり暖かくなりそうです。常であれば春の足音を聞きにご来社下さいと言えるのですが、今は気軽に言えない事が何とも言えずに歯がゆいです。


鎮物

2021年02月07日 | 神社知識・作法・歴史

今日は安産戌の日、安産の御祈願にご来社されるご家族様が複数いらっしゃいました。

また、お天気が良かったという事もあり、良いお参り日和になったのではないでしょうか?

さて、当社ではお家を建てる前の゛地鎮祭゛の際に『鎮物』(しずめもの)というものをお渡ししております。

当社の鎮物

この鎮物を土地の中心、若しくは建物の中心に鎮めて頂きます。

当社の鎮物は唐櫃(からひつ)型の焼き物で、稲穂・五色の切麻・護符・南天の葉・威儀物として、真鍮で造った人形・鏡・太刀・小刀・楯・鉾・貨幣が納められております。

稲穂とお米は、土地の神様へのお供えであるのと同時に、稲穂や五穀は地中にあっても何百年の後でもまた芽を出す神秘と食物のご加護に感謝して納めます。

神社の物、一つ一つには意味がございます。今の時代は調べようと思えばすぐに調べられる時代ですので、調べてみると面白い発見があるかもしれません。


絵馬

2021年02月06日 | 神社知識・作法・歴史

神社仏閣でお参りする際に、目に触れる『絵馬』

今年皆様は、絵馬にお願い事を書いて奉納されましたでしょうか?

『おみくじ』は、゛結ぶ゛と表現をしますが、

『絵馬』は、゛奉納する゛と表現をします。

古くは、神様は神馬(しんめ)という馬に乗って人間の世界にいらっしゃると考えられていて、神事に於いては生きた馬を奉納しておりました。

その馬が、土で作られた馬形(うまがた)や、木で作られた板立馬(いただてうま)を奉納されるようになり、さらには馬の絵を描いた板を奉納されるようになったそうです。

今では、馬に限らずその年の干支(今年は牛)の絵が描かれた物でしたり種類が様々になりました。

当社でも、その年の干支の絵馬をご用意をしており、残りも僅かとなりました。

まだ今年書かれてないようでしたら、明日はお天気も良く暖かいそうなので絵馬を奉納されてみてはいかがでしょうか?

因みに、冒頭で神社仏閣と申しましたが、お寺では平安時代に神仏習合の思想が広まり、観世音菩薩も騎乗して示現するとの考えが広まり、お寺でも絵馬を奉納されるようになったそうです。


初午祭

2021年02月03日 | 神社知識・作法・歴史

昨日、お陰様をもちまして節分祭が滞りなく斎行されまして、暦の上では今日から春になります。

また、今日2月3日は各地の稲荷神社では゛初午祭゛(はつうまさい)というお祭りが斎行されています。

この初午祭は、2月の最初の午の日に斎行する祭事ですので、その年により日にちが異なってきます。

この2月の初午に祭事を斎行する由来は、伏見稲荷神社の祭神が稲荷山に降臨したのが和銅4年2月11日(9日の説も)で、その日が初午だったという言い伝えがあったそうです。

当社でも地域の稲荷社を始め、企業様の稲荷社で初午祭を真心を込めて、ご奉仕させていただきました。

皆様のご多幸、ご繁栄を祈念申し上げます。


暦について

2021年01月28日 | 神社知識・作法・歴史

暦とは日本で昔から使われているカレンダーのようなものですが、大きく違うのは『暦注』と呼ばれる様々な事柄が日付と並べて記載されている事です。

暦注には普通の曜日や十二支を始め、大安や仏滅などの「六輝」、季節を区切る立春などの「二十四節気」、或いは日の出日の入の時間など多くの事柄が含まれています。

当社の暦では、「今年の干支の意味」「暦の用語と説明」「選日と雑説」「六輝の吉凶」「十二直の吉凶」「二十八宿の吉凶」、また生まれ年から引く「気学」による占いの頁が付いているのも特徴と言えます。わりと薄い冊子ですが情報量は多くあります。

本日でいうと、1月28日は「先負」「一粒万倍日」「奎」「閉」

「先負」は午後が𠮷。「一粒万倍日」は一粒の種を蒔くと万倍にも実を結ぶ意味から、開店、種蒔き、投資は吉とされ、逆に人から物を借りたり借金は凶とされる日。「奎」は神仏祭祀、柱立て、棟上げ、井戸掘り、芸事始め、婚礼は吉。移転、開店は控える日。「閉」は金銭の収納、建墓、トイレ作り、池を埋める、穴をふさぐは吉。建築、造作、婚礼、開店は凶。などなど様々な情報が記されております。

然しながらすべてを網羅して、良い日をと選びますと年に数日あるかどうかになってしまいます。様々な物事を行うとき、少しでも参考になればと思います。

以前社頭にて“厄年は境内の一覧表で教えてもらえるのに、良い年というのはないのか”とご質問をいただいた事があります。 

確かに厄年だけを表にしているのは申し訳ないのですが、この暦をご覧いただければその年の吉凶、また何に気を付けるべきかまで書いてあるのがお分かりいただけるかと思います。

この暦はもう社務所に出しておりますので、ご希望の方はお気軽に窓口へお尋ねください。


2021年01月27日 | 神社知識・作法・歴史

普段神職がお祭やご祈祷を行う際に、笏(しゃく)というものを右手に持ち奉仕をしている姿をよく見ると思います。

この笏の字は、中国では゛コツ゛と読み゛コツ゛が 『骨』を連想されるのでそれを避け、長さが1尺(30センチ)程であったことから゛シャク゛と読むようになったみたいです。

また、古くは裏に儀式の次第(流れ)などを記した紙を貼り、備忘の為に用いられていたそうです。それがのちに現在のように装束とあわせて使われるようになりました。 


暗剣殺・八方塞

2021年01月21日 | 神社知識・作法・歴史

年が明け早くも20日が経ち一年の中でも、この一か月が最も早く感じます。

さて、今年の初詣は分散でのご参拝をご協力を頂いており、これからお参りされる方も多くいらっしゃる事かと思います。

当社では、皆様に分かりやすいよう厄年の一覧の看板を、本殿前と社務所の前にお出ししております。

男性・女性・前厄・本厄・後厄と表にしているのですがそれに加えて

・八方塞(はっぽうふさがり)

 昭和6・15・24・33・42・51・60年 平成6・15・24年

 生まれの方が対象です。

・暗剣殺(あんけんさつ)

 昭和5・14・23・32・41・50・59年 平成5・14・23年

 生まれの方が対象です。

の2つの表も掲載しております。

この2つについては、一種の厄年としてお考えいただいて結構ですが、もう少し詳しくご説明すると。

・八方塞は、自分の生まれ年の周囲八方がふさがれた状態で、自ら災いを生じさせる可能性が高い厄年ですので、大事なことを行うには慎む方が良いとされております。

・暗剣殺は、思わぬ所より急に災厄を蒙ると言われる厄年です。外より災いを受けやすい年廻りですので、大事なことを行うには特に注意が必要とされています。

八方塞、暗剣殺いずれも八方塞除け・暗剣殺除けの御祈祷も承っておりますので、ご不明な点等がございましたら神社迄お問合せ下さい。


南天の実

2020年11月27日 | 神社知識・作法・歴史

日に日に冷え込みが厳しくなってきております。

境内には、いくつか南天が植えられており、今の時期赤く丸い実をつけております。

南天は難転とも言い、災難を福に転じてくれる縁起の良い植物と言われております。

災いが入ってきやすい方角の北東が鬼門と言われております。ですので古くから、家の敷地の鬼門にあたる所に南天を植えられていたりします。

また、南天の実には咳止めの効果があるとされ、のど飴の成分として使われていたり、お祝いの御赤飯には南天が添えられていたりしますが、これは腐敗防止の効果があるそうです。

この様な昨今ですが、南天のように『災いを転じて福となす』となるような、皆が安心して生活が送れる日々が来る事を、切に願っております。


懸税(かけちから)

2020年11月22日 | 神社知識・作法・歴史

冷え込みの厳しい今日の始まりでしたが、日差しが出てくるにつれて、暖かく過ごしやすい一日となったのではないでしょうか?

何度か当ブログでもお話をしておりますが、明日11月23日は新嘗祭が各神社で斎行される日でございます。

春の2月17日五穀豊穣を祈念し祈年祭が斎行され、秋の11月23日に春に祈願し神様のお恵みをいただいて、豊かな実りいただいた事を感謝をして新嘗祭を斎行致します。

皇居では皇居内の水田で収穫された陛下からの初穂を伊勢神宮の瑞垣御門の柱に懸けられ、この陛下の初穂を先頭に全国各地から奉納された初穂を瑞垣に懸けられます。

これを懸税(かけちから)といいます。

当社では、注連縄奉納同志会様からいただきました初穂、神奈川県神道青年会様からいただだきました初穂、また当社のバケツ稲で取れました初穂を懸税として本殿に柱に懸けております。

明日は今年収穫されました新穀を始め、様々なお供え物を神様にお供えし、感謝の真心を込めてご奉仕をさせていただきたいと思います。


白酒

2020年11月13日 | 神社知識・作法・歴史

先日、新嘗祭(にいなめさい)にお供えをする白酒(しろき)が届きました。

まず、新嘗祭はその年に収穫された新穀などを神様にお供えし感謝を奉告するお祭りです。

当社では、その新嘗祭のお供え物の一つに白酒がございます。

 

「延喜式」によると、神田からとれたお米で醸造した原酒を、そのまま濾して作る白色のお酒とあります。

また一方、黒酒(くろき)というもののあり、こちらは白酒に薬灰(久佐木という草根の焼灰)を加えて適度な灰色に着色したものであるとあります。

古来より宮中では、白酒と黒酒も新嘗祭に神様にお供えされ、天皇陛下自らも飲まれてきております。

 

ご覧の通り白いのが沈殿しているのが分かります

今年は新型コロナウイルスの影響を受けた年とはなりましたが、その中でも神様のお恵みによりまして、無事収穫を迎え旬のものを頂けることを今一度、感謝をしてみて下さい。


賽銭と鈴

2020年10月29日 | 神社知識・作法・歴史

この数日間、鳥居から始まり手水、狛犬とそれぞれ更新させて頂きましたので本日はお参りする際にある賽銭箱と鈴についてお話致します。

賽銭の゛賽゛とは、もともと神様へのお礼を意味しております。ですので賽銭とは願いが叶った際に、日々の平穏を感謝する時に神様にお供えする金銭の事を表します。

しかし、今のように金銭をお供えするようになったのは、実はごく最近の事です。賽銭は古くは神前にまく゛散米゛や洗ったお米を紙に包んでお供えする゛おひねり゛でした。この散米が貨幣の流通に従って゛散銭゛になり、いつしか゛賽銭゛になっていったそうです。

また、鈴は古くから神秘的なものとして、神霊を招くものとして使われてきました。巫女が鈴を振りながら舞い、神霊を招いて神憑りとなって神の声を人々に伝えたり、災厄を祓ったりされていたそうです。

古語拾遺では天の岩屋戸にお隠れになった天照大御神の心を引くために天鈿女命が鈴をつけた矛をもって舞ったことが記載されております。

巫女が舞う際に用いる鈴

鳥居をくぐってから、本殿でお参りするに至るまで、何気なく通りすぎていたり意識せずに行っていた事の意味を知るといつもと同じ参拝が、普段とは異なった心持、景色になるのかもしれません。