座間郷総鎮守 鈴鹿明神社ブログ「社務日記」

神奈川県座間市入谷西鎮座、座間郷総鎮守 鈴鹿明神社の神事や日々の様子、神社の豆知識をお知らせ致します。

狛犬

2020年10月28日 | 神社知識・作法・歴史

本殿や鳥居の左右で番をするように立つ一対の獣像...『狛犬(こまいぬ)』は神社独特のものです。

材質や姿形も様々で、稲荷神社だと狐像に置き換わっていたりもしますが、多くの神社で目にする事が出来ます。

狛犬は守護・装飾として神社に定着していますが、その起源は遠くエジプトやペルシャにあると言います。

向こうでは勇武の象徴として獅子(ライオン)が尊ばれていますが、その姿が中国や朝鮮を経て日本に伝わったのが始まりで、最初は貴人の寝台の帷(かたびら、カーテンの様なもの)を押さえる鎮子の意匠としてでした。

やがて魔除けの意味を込めて屋外に置かれるようになり大型化して、今の形になったそうです。

日本には獅子がいないせいか狛犬は架空の生物として描かれています。上の写真を見ても、実在の獣というよりは雲の様な巻毛の様なものに覆われていて麒麟や鳳凰のように異世界の者、という感じがしますね。狛犬の名称自体に“高麗(こま)から伝わった犬のようなもの”という意味があります。

今は左右で“阿吽”の形になっているのが一般的ですが、所や時代によって姿が様々で面白いものです。ご参拝の際にはよくご覧になってみてはいかがでしょうか。


手水

2020年10月26日 | 神社知識・作法・歴史

先日、当ブログにて鳥居について掲載させて頂きました。
本日は、鳥居をくぐった後に行う手水(てみず)についてふれたいと思います。

鳥居をくぐり参道を進むと手水舎があります。手水舎には゛洗心゛(こころを洗う)や゛浄心゛(心を浄化する)といった文字が刻まれている鉢があります。

ここで、手と口をすすぎますが、これは禊が簡略化されたものだと言われております。

古事記には伊邪那岐命が黄泉の国から帰ってこられた時に、身に着けているもを脱ぎ、水に浸かり穢れを祓ったのが禊の起源です。

滝に打たれるのも、茶室に入る前に手や口を清める蹲(つくばい)も同じ考えからきたものだと言われております。川や海での禊が、時代の流れと共に今のような禊を簡略化した手水が一般的になりました。

神域に入り、心身ともに清らかにして礼儀を尽くして神様にお参りをする。時代が変わり、形が変われどもその心は今の時代も受け継がれております。


鳥居

2020年10月24日 | 神社知識・作法・歴史

今日は、秋晴れの気持ちの良い晴天に恵まれました。

さて、神社とは神様をお祀りする神聖な場所で、その入り口に立っているのは鳥居です。

この鳥居は神聖な場所である神域への門で、神社を表す地図記号として使われております。

この鳥居が複数ある神社もございます。その場合は最も大きい鳥居が神域全体の門として参道の入り口にあり、一の鳥居と呼ばれ、本殿に近づき聖性が高まる段階ごとに鳥居が設けられております。これを二の鳥居・三の鳥居と呼びます。

鳥居の語源は諸説あり、゛通り入る゛がなまって鳥居になった説。

天照大御神が天石屋戸にお隠れになった際に、八百万の神が鳥を木に止まらせ鳴かせて、天照大御神のお出ましを願いました。その時の鳥の止まり木を鳥居とする説など。

鳥居の形にも種類があり、当社の参道の鳥居は明神鳥居といった種類にあたります。また、稲荷神社の鳥居は朱塗りのものが一般的です。この朱色の赤は、耕作に適した春の暖かさや、明るく正しい陽気を招くと考えられたからだそうです。

鳥居にもこのような入り口を示す意味があるので、入る前には一礼をしてからと言われるのですね。

鳥居をくぐる際は、これから神様の場所(神域)に入るんだという気持ちをもって、今一度立ち止まり心を落ち着かせてお参りされてみてはいかがでしょうか。


稲荷神社

2020年10月22日 | 神社知識・作法・歴史

当社の境内では、稲荷神社が2社ございます。

お稲荷さん、稲荷神社というと誰もが「赤い鳥居と狐」を連想されるかと思います。

弁天池隣の稲荷神社

鳥居付近の稲荷神社

この稲荷神社は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、保食神(うけもちのかみ)、御食津神(みけつかみ)を主なご祭神にされている事が多いです。

「稲荷」は「稲成り」、「稲生り」の意味でしたが、神様が稲を荷っている姿でイメージされるようになり「稲荷」の字があてられたといわれております。

したがって、古くは日本人にとってお稲荷さんは農業の神様でありました。時代が変わり商業が盛んになってくると商売繁盛、また漁村では漁業の神様として稲荷神社が、造られていき全国に稲荷信仰が広まっていきました。

一方、お稲荷さんと狐の関係には諸説ありますが、お稲荷さんが農業の神であることが深く関係があるそうです。

古くから日本人は「田の神」は、春になって山から降りてこられ、秋になり収穫を迎えると山に帰り「山の神」になると考えられておりました。

また、春先になると山から里へとおりてくる狐の姿をみて、「山の神」・「田の神」のお使い、、、お稲荷さんのお使いとして神聖視されるようになっていきました。

今はちょうど実りの秋。参拝の際は是非、稲荷神社で秋の実りに感謝されお参りされてみてはいかがでしょうか。


柏手(かしわで)

2020年10月20日 | 神社知識・作法・歴史

この数日の雨が終わり、秋晴れの気持ちの良い晴天に恵まれました。

さて、神社でお参りする際よく゛二礼・二拍手・一礼゛の作法でお参りされると思います。

これは敬礼作法(けいれいさほう)といい目上の方を敬う際の作法です。

最初と最後の二礼と一礼は頭を下げる作法になりますので、なんとなく相手を敬う際に行う作法だという事が想像つくかと思います。

では、二拍手(はくしゅ)はどういった作法になるのでしょうか?

実は古くか日本には目上の方に対し、手を打つ習慣がありました。

魏志倭人伝に゛倭人は偉い人に会ったときに手を打つ゛とあるそうです。柏手(かしわで)は神様だけでなく人に対しても行われていた事が伺えます。

それが現在となり、人に対して柏手を打つ事がなくなり、神様に対してだけこの習慣が残って参りました。

何気なく行っていた、拍手も頭を下げるのと同様相手敬う時に行う作法だと分かると、お参りの際の気持ちも普段と違ったものになるかもしれませんね。

 

 


玉串の新調

2020年08月30日 | 神社知識・作法・歴史

外は顔を上げられないくらいの快晴、大変良い天気になっております。

暑い中でも地鎮祭や井戸のお祓いなど屋外でのお祭りは普段通りご奉仕をさせていただいていますが、この時期お祭りに用いる榊の枝が陽射しに焼かれてしまうのが悩みの種です。

今日は特に御神前へのお供え物としての玉串を新たに採りなおしました。

新しい玉串

日に焼けた葉はこのような色に

榊は比較的強い枝葉を持っていますが、あまりに強い陽射しを浴びると写真の通り焦げたように葉が焼かれてしまいます。

お祭りの用意に手を抜いてはいけないという戒めのようでもあります。月次祭が近い事もありますので、怠りなく準備して参りたいと思います。


感謝

2020年08月26日 | 神社知識・作法・歴史

陽射しが強く、本日も大変暑さの厳しい一日になりました。

さて、神社でお参りする際は、まず御賽銭を入れ、鈴を鳴らして二礼二拍手一礼をし、静かにお願い事を思い浮かべる、、、といった流れでお参りされる方が多くをしめるかと思います。

この¨御賽銭¨の「賽」は 神様へのご恩にむくいる という意味があり、神様へ感謝の印としてお供えするのが、御賽銭ということになります。

神社では、毎年11月23日にはその年の収穫・実りに感謝する、新嘗祭(にいなめさい)が斎行されております。

昔から現在に至るまで、神様のお陰で出来たその作物を感謝の気持ちと共にお供えしております。それと同じで、お願い事をする為だけに、御賽銭を入れるのではなく、神様へ感謝の気持ちを込めて御賽銭を入れる。人間関係でも感謝の気持ちが大切ですから、より一層神様への感謝の気持ちは大切なことかと思います。


暦注 「一粒万倍日」

2020年07月17日 | 神社知識・作法・歴史

梅雨明けまでもう少しというところですが、今日は一日を通して雨模様となりました。

神社にいると暦に目を通す機会がしばしばあり、今日は「一粒万倍日」という日に当たっていました。

「一粒万倍日」はその日の吉凶を表すもので、『一粒の種を蒔くと万倍にも実が結ぶ』という意味から、種蒔きや投資、開店などを始めるには吉日、逆に人との物や金銭の貸し借りなどには凶日とされています。

六曜の記載があるカレンダーは割と目にする事はありますが、暦注となると記載のないカレンダーが多いかも知れません。もし興味がある方がいらっしゃいましたら暦などを手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 


巫女舞の練習

2020年07月14日 | 神社知識・作法・歴史

例大祭まであと半月ほどとなりました。

今回のお祭りでは御神輿の出御や屋台の出店は中止になってしまいましたが、本殿での神事は少人数に絞ってきちんと行います。

お供え物も野菜や果物、鯛などを含め例年通りに準備し、神前神楽も祭典中に行います。今日は午後空いた時間を利用して神前神楽(巫女舞)の練習を致しました。

舞は今でこそ動画や教科書を参考にする事もありますが、本来は人から人へ伝えるものです。複数人で舞う事が多いため、阿吽の呼吸が美しさに反映されると言えるでしょう。

まだ半月前と言うべきか、もう半月しかないと言うべきか。例年に比べ必要な準備が少ないとはいえ、やり残しの無いように注意して参りたいと思います。


大祓茅の輪・七夕短冊

2020年07月03日 | 神社知識・作法・歴史

先日6月30日に夏越大祓式を神職のみではございますが、斎行致しました。

その際に皆様からお預かりをした人形・車形共に、茅の輪をくぐり災厄を祓い無病息災を祈念致しました。

この茅の輪は今週の土日までお出ししております(天候によっては後ろ倒しになります)ので、無病息災を願いくぐって頂ければと思います。

 

また、本殿前にて9時より16時30分(7月7日当日は16時迄)の間、七夕の短冊をお出ししております。

是非お参りの際は、願い事を短冊に託してみてはいかがでしょうか?

 


御田植祭の準備

2020年06月08日 | 神社知識・作法・歴史

実は明後日10日に年中行事である『御田植祭』が行われます。

例年6月の中旬に行われており、氏子の方にご提供いただいている御神田にて、年末に注連縄を作るわら材のためにモチ米を植えるのに併せて、郷内の作物の無事と豊穣を祈る神事です。

榊や御供え物、神具に加えて幣帛として田圃に差し入れる幣串の準備等を行いました。

ただしこちらも例年であれば注連縄奉納同志会の皆様を始め多くのご参列の元神事を行い、その後は全員でお田植えをする...という流れであるところを、情勢を鑑み神事・お田植え共に最小限の人数で行う事になりました。

あとは当日の天気です。せめて空は晴れてくれると良いのですが...


御朱印

2020年05月21日 | 神社知識・作法・歴史

今日も昨日に続いて気温も低く大変寒い一日となりました。

最近は外出自粛という事もあり、落ち着いておりますがこの数か月前まではお天気のいい日には御朱印を受けられる方が多くいらっしゃいました。

さて、御朱印というのは元々、お寺に写経を納めた際にその印として頂いていたものと言われていますが、今ではお経を持参しなくても参拝の印として頂けるようになり、それが神社でも行うようになって今に至ります。

近頃は稀に、参拝をせず御朱印だけを受けられる方が見受けられますが、しっかりと神様に御挨拶をして気持ちを新たにして、お帰りの際に神様の御神徳として御朱印を頂く事が本来の形でなければなりません。

当社では今、感染拡大の防止として当面の間、書置き(紙)でのお分かちとさせて頂いています。お受けになられる際は社務所までお気軽に申し付け下さい。

 


衣替え

2020年05月05日 | 神社知識・作法・歴史

本日は立夏となり暦の上ではもう夏という事です。

神社の装束もこの立夏に合せて冬用の装束から夏用に衣替えを致しました。

今まで着装していた冬用の装束

夏用の装束

厚ぼったい衣から夏用らしい涼しげなものに替り気分も新たになりますね。

又、今日5月5日は子供の日。端午の節句であり菖蒲の節句とも言われています。

この日は菖蒲によって穢れを落とす祓いの日でもあります。

1月7日が人日(じんじつ)の節句、3月3日が上巳(じょうし)の節句と言われ、1月7日は春の七草を戴く事によって新しい息吹と共に強い生命力によって邪気を祓い、又3月3日は桃の花により穢れを落とすと言われています。

今は、特に国難とも言える時でもあり、この五節句の意味を考えながら今日は菖蒲湯に浸かって穢れを落としていただけたらと思っております。


桜の神様の話

2020年04月02日 | 神社知識・作法・歴史

今日は春らしい暖かい一日となりましたが、この陽光で満開を過ぎたのか桜の花が散り始めています。

散る姿も美しいものですが、楽しめる時間もあと少しになってしまいましたね。

参集殿前のソメイヨシノ。今が満開です

神道において桜の花と言えば『木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめ)』のお話が思い出されます。

神話によれば、天照大御神の孫にして皇室の祖たる『邇邇芸尊(ににぎのみこと)』がこの日本の国土に降り立った後に見初めて求婚したのが、山の神の娘で美しい桜の神である木花之佐久夜毘売です。

父である山の神『大山津見神(おおやまつみのかみ)』はそれを喜んで姉である『石長比売(いわながひめ)』と併せて二人を妻として邇邇芸尊に差し出しますが、石長比売が醜かったために邇邇芸尊は木花之佐久夜毘売だけを妻として石長比売を返してしまいます。

実は大山津見神から木花之佐久夜毘売には“花の如く栄えるように”、石長比売には“石の如く長久であるように”との願いが込められていたために、それ以来天皇の寿命は人と同じ儚いものになってしまった...というお話です。

 

これは古事記や日本書紀に書かれた神話ではありますが、寓話として見るならば“人の好意を無下にしてはいけない”、“大切なものは見た目だけでは分からない”...色々な教訓が見えてくる話でもあります。

ごく大雑把に話してしまいましたが、もしご興味があれば元の神話の方も見てみてはいかがでしょうか。


祝詞の清書

2020年03月30日 | 神社知識・作法・歴史

昨日は寒い中ではありましたが日曜日という事で幾つか屋外で行う地鎮祭のお約束がありました。

神社の神事で用いるものは殆どが木と紙でできたものですので、雨や雪で濡れてしまった場合そのままにしてはおけません。白木製のお供えの道具である三方や案は綺麗に拭き直して乾かし、装束類も泥を落として陰干している最中です。

濡れてしまった祝詞も同じように新しく書き直しています...とはいえ、元々祝詞は懐に入れている間にすぐ折れたり汚れたりしてしまうものですので、普段から頻繁に書いております。

今回は祝詞や道具を綺麗にするちょうど良い機会ができたという所ですね。まもなく新年度となりますので、心機一転して参りたいと思います。