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NIEのすすめ-新聞記事に意見をもとう-2

2010-03-17 06:29:21 | 社会科関連情報
NIEのすすめ-新聞記事に意見をもとう- ということで、一つの記事を紹介しました。


中国首相、人民元レート「妥当」 切り上げ圧力を批判

この記事で、どのような感想を持つか?
正解はありません。

考えることが大切なのです。

ここからは、自分でやってみます。

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たとえば、農家の人が、同じような方法で同じようなキャベツを生産したとしましょう。
そこで、収入にあまりにも違いがあるとすれば何が違うからでしょうか?

中国では、農業従事者1人当たりの実質所得は、2007年には4140.4元(約62000円)でした。月当たり、約5,170円です。(これでも、かなり向上したのですが…)

当然、キャベツの値段も、大きく異なるのでしょう。
工業製品なら、性能の違いが値段に反映されてしかるべきです。
しかし、キャベツはキャベツ。
なぜキャベツに値段の差が出るのか?

物価の水準が違うので、単純比較はできませんが、同じものを作って、値段が違いすぎるのは、レートの問題があると言えるでしょう。

日本も、かつては、1ドル360円の世界でした。今の4倍です。
一つ90円の日本製ラーメンが、かつては1ドルで4つも買うことができましたが、今は1ドルで一つしか買うことができません。

ラーメンの価値が上がったのではありません。

円の価値が上がったのです。

これは、1971年8月のニクソンショックにより始まりました。金ドル交換停止、そして変動為替相場制へと移行したのです。
1ドル=360円の固定相場がくずれ、急激な「円高ショック」がそれに続きました。

そしてその第2弾。
1985年9月、日、米、英、西独、仏の5カ国(G5)の蔵相、中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集まり、協調介入を通じてドル高を是正する「プラザ合意」。

日米欧の主要為替市場で協調介入が始まり、1ドル=240円台だったドルの対円相場は、2年後には120円台まで下落しました。

これにより輸出産業が打撃を受け、「円高不況」を防ぐための金融緩和政策が、土地や株のバブルを招きました。
その後のバブル崩壊が、日本経済を混乱させたことは記憶に新しいところです。

このような為替レートの変更は、市場原理に基づいて輸出入のコントローラーの役目を果たしてきたのです。


さて、中国に話を戻しましょう。
現在、1円は13元。
中国人の平均月収は、都会で3~4万円、地方で5千円~2万円
この人件費だから、ユニクロや百円ショップには安い製品が並んでいるのです。

しかし、このレートは適正でしょうか?

とても適正とは思えません。

オバマ大統領による人民元切り上げ要求もわかります。
2006年の対中国貿易赤字は2300億ドルに達し、同国の貿易赤字の28%を占めています。

1ドルが360円から90円までなったように、市場原理に基づけば、元はもっと高いはずです。
元のレートは、中国人民銀行(=中国政府)により、中国の産業振興に有利なように厳しく管理されているのです。

という原稿を書いていたら、メーテレ「学べるニュースSP!」で「人民元のからくり!?中国急成長の裏側とは」、と池上 彰さんが解説していました。

池上さんの言うとおりです。

人民元は今のままではいきません。

10年後、1円は何元になっているのか?
10年後の基軸通貨は何か?

楽しみです。

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