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東北地方太平洋沖地震を海外はどう報じているか・・・12日朝

2011-05-12 06:42:48 | 日本を見つめる世界の目
今日も、海外のメディアが東日本太平洋沖地震をどう報道しているかを見ましょう。

【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html

在日外国人、9割が「日本での生活を続けたい」
NPO法人・国際留学生協会(IFSA)が東日本大震災後に行ったアンケート調査によると、在日外国人の9割以上が、放射能汚染は心配だが、今後も日本での仕事や学習を続けたいと回答した。日本の中国語新聞「中文導報」が伝えた。

 同調査はIFSAが3月22日-26日にかけてネット上で行ったもの。IFSAに登録する在日外国人約1万7千人のうち、392人が回答した。調査対象は日本で生活する外国人(社会人、留学生、一時帰国中の外国人も含まれる)で、約4割が社会人、6割が学生。うち、中国大陸部、台湾、韓国からの留学生・社会人が9割以上を占めた。

 アンケート調査結果によると、地震と原発事故に関する情報について、日本と母国との間で違いはあったかどうかの質問では、73%が「ある」と回答した。「日本政府の情報はあいまいで、信じられない」「情報公開が不十分」などの意見がある一方で、日本国外での原発関連の報道を「過剰だ」と指摘する声もあった。また、多くの回答者が、母国にいる家族に心配しないよう説得するのがとても大変だとしている。

 アンケートでは、回答者の68%が、「今後も日本での仕事や学習を続けたい」とし、理由として「日本が好きだから」、「こんな時こそ日本の力になりたい」などを挙げた。また、23%は「日本での仕事や学習を続けたいが、放射能汚染が心配だ」とした。日本から離れたいと望んでいる在日外国人は、ごくわずかのようだ。(編集SN)





チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/

日本の震災復興は経済をけん引できるか
東日本大震災から2カ月が過ぎ、放射能汚染の問題は徐々に落ち着き、日本の景気回復や世界への影響が注目されるようになっている。スタンダード・チャータード銀行アジア部門の関家明エコノミストは、震災が日本、アジア、香港、世界に及ぼす影響について、「今回の震災復興は、阪神大震災のときのように日本経済を急速にけん引するとは限らない」との考えを示した。

日本の地震、津波、放射能漏れによる損失に関する最新データが次々と発表されている。日本政府、世界銀行、その他の研究機関の推計によると、今回の震災が日本にもたらした直接的経済損失は3000億ドルで、その規模は1995年の阪神大震災の2倍に達し、さらには金融危機を上回る。

関家明氏によると、3000億ドルという規模は日本の国内総生産(GDP)の5%を占め、香港人が1年半飲まず食わずで働いた分に相当する。現在の日本の名目GDPの約5兆ドルで計算すると、5%は日本の過去7~8年(金融危機の時期を除く)の経済成長率と同じだ。

そのほか、今回の震災による死者は1万2915人(4月9日時点)で、損失は阪神大震災の3~4倍に達し、1923年の関東大震災と比べると桁外れとなっている。被災地付近の経済区域はそれほど重要でないため、現有施設への影響は大きくない。

多くの人は、日本の震災復興が日本経済をけん引し、阪神大震災後の日本経済がV字型の回復をしたように、短期の災害をそれに伴う経済成長が補うことを望んでいる。関家明氏は当初このような見方を示していたが、震災から2~3週間後に別の考えを示した。

日本経済は主に輸出がけん引

関家明氏は次のように分析する。日本には需要不足や生産過剰の問題があり、主に輸出が経済をけん引している。地震後に破損した生産施設もあり、理論的に日本の生産・需給がアンバランスという状況を改善できるかもしれない。そのほか、破損が新しい需要を刺激するため、日本は震災復興を機に不況を脱するとも見られている。ところが、今回は天災の処理だけでなく、放射能漏れなどの人災も処理しなければならない。一般的に言って、人災による破壊は天災による破壊より深刻で、放射能漏れは今後の生活にさらに大きな影響を及ぼすと考えられるため、今回の震災復興が阪神大震災のときのように日本の不況からの脱出を助けるとも限らない。

アジアへの影響について、関家明氏は「震災後に世界の自動車、電子機器、化学工業の生産は部品の供給不足の影響を受けた。日本の貿易量と投資額はそれほど大きくないが、日本には重要部品があり、その影響力を甘く見ることはできないと気付かされた」と話す。

韓国が受益 影響がもっとも大きいのは台湾

関家明氏は、韓国とシンガポールが震災の受益者になると予想し、次のように述べた。韓国と日本は直接的な競争関係にあり、日本が生産する商品を韓国も生産でき、日本の供給不足を補っている。日本の石油精製工場はアジアの高級飛行機の燃料や石油製品を供給しているが、石油化学工業の発展に力を入れるのは東アジアでシンガポールだけであるため、シンガポールは受益すると予想される。今回の震災でもっとも影響を受ける地域は、日本の電子部品の供給に頼っている台湾である。



「日本よ 困難にめげないで」四川被災地からの祝福
北川中学校一年生の李瀟さん:「私たちも大地震を経験した。地震って別にそんなに怖いものではないから、あきらめないで強く生きていってほしい。必ず災害に打ち勝つと信じている」

北川中学校一年生の傅紅霞さん:「日本の皆さん、強く生きてください。地震で学校を失った子供たちは一刻も早く私たちのように教室に戻れるよう祈る」

北川中学校二年生の安梦萍さん:「四川大地震が起こった後、大勢の日本人からの援助をいただいた。私たちはいつまでも日本の人々を応援していく」

北川中学校一年生の張燕さん:「あんなに大きな地震に襲われた後のあなた方の心の痛みを感じ取って いる。同じ経験があったものですから。あなた方のつらいことを、私たちも経験した。私たちのように災難を恐れず、勝ち抜けてほしい。一刻も早く被災地を再建するよう祈る」

北川中学校一年生の李琳さん:「あなた方の心の痛みを理解できる。私たち北川の人々はあなた方の後ろ盾となる。かんばって、家を再建するのだ」

北川中学校一年生の張春梅さん:「あなた方の苦しみが分かる。私たちのように難関を乗り越えることを信じる。頑張ってください」

北川中学校一年生の唐宝山さん:「日本頑張れ!同じ大地震を経験した私たちのように困難を乗り越え、明日の幸せのために強く生きてほしい」

北川中学校教師の陳貴兵さん:「日本の人々にお見舞いの挨拶を申し上げる。一刻も早く日本を再建するよう祈る」

江油県民の陳艶芳さん:「日本のみなさん、困難にめげないでほしい。苦しい日々は遅かれ早かれ過ぎ去ってしまうものですから。中国と世界の人々は日本を見守っている」

北川県民の母さん:「日本で起こった大地震だが、私たちも心苦しい。同じような地震を私たちも経験したから。国が違うが、災難が同じだ。早く再建するよう祈る」

吉娜羌寨村の李学春さん:「日本を早く再建してほしい。これからの生活はより麗しいものになってほしい」

汶川住民の邢鵬さん:「日本の人々が早く困難を乗り越えてください。汶川のように早く再建してほしい」

汶川住民の趙さん:「汶川の再建は順調に進められている。日本もこのように早く再建するよう祈る」

汶川住民の張さん:「汶川で地震が発生した時、身内の人が何人も亡くなった。しかし私たちは何とか今日まで生きてきた。日本の人々も私たちのように強く最後まで頑張ってください」

汶川県小学生の謝世媛さん:「日本の子供たちは早く学校に戻れることを願う」

汶川小学生の阮暁曄さん:「早く地震の悲しみから抜け出して、素晴らしい明日を作ることを願う」

都江堰市民の張燕さん:「私たちのように強く生きてほしい。災難にあった人は、どうやって災難に直面するか分からないかもしれないが、もし心優しい人々に助けられたら、少しずつ回復できると思う。きっと私たちのように元の生活に戻れる。いや元の生活よりいいかもしれない。どうか頑張ってください」




大紀元http://www.epochtimes.jp/

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【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/

韓国経済専門家「押し寄せる中国、門戸開かねば日本のように」
「中国は巨大な氷河だ。氷河が溶けた水が集まってくるが、それをエネルギーとして活用するのか、ただ洪水に巻きこまれるかはわれわれが韓国的躍動性(dynamism)をどのように発揮するかにかかっていた。(エコ団地を造成中の)セマングム程度は中国の金持ちに渡すという覚悟で韓国の門をさらに開き、多文化・先進社会に進んでこそ生存が可能だろう」。

韓国における東北アジア戦略研究を行っているNEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドクグ)理事長は9日、中国が急浮上中の今の時代において、韓半島が取らなければならない生存戦略をこのように圧縮して表現した。彼は清華大学と共同で8日に行われた韓中安保戦略対話を終えたあと、一部の韓国特派員に会った。鄭理事長は、「産業技術分野で日本が先行し、韓国・中国が後についていく“雁の群れ型(flying geese model)”の隊列がこのところ乱れている。中国の技術水準が発展し韓国が日本を急速に追撃しながら出てきた変化だ」と診断した。以下は一問一答。

――セマングムに中国人がむやみに集まってくれば韓国のアイデンティティに問題が生じないか。

「土地を渡そうというのではない。中国の金持ちが集まり暮らしながら金を使うよう門をさらに開き多文化社会に進もうとの趣旨だ。同じユニフォームではなく多様な服を着ても一体感は可能だ。閉鎖的になれば日本のようになる」

――米国・中国の間でどのようにすべきか。

「米国との関係のために中国を敵対視すれば韓半島は小利のため大利を失うことになる。東アジアで“利益の均衡”と“力の均衡”をめぐり韓国は連米和中(米国とは連合し中国とは和合する)しなければならない」

――韓中自由貿易協定(FTA)は。

「予想より速い速度で進みそうだ。(無関税対象が100%に迫る)高い水準のFTAをしようとするなら時間がかかるだろう。(無関税対象が約90%の)低い段階のFTAでも早く進めるのがより良い」

――ソウルで6月2日に韓日中金融イニシアチブをスタートする目的は。

「金仲秀(キム・ジュンス)韓国銀行総裁より周小川中国人民銀行総裁がさらに強大な時代だ。中国の韓国債券保有が急増し韓国の金利に中国が影響を与えるためだ。毎年中国と日本で会い3カ国の外国為替保有額のスワップ可能性などを議論する計画だ」



菅首相が公式宣言 「原発拡大計画を白紙に」


朝鮮日報http://www.chosunonline.com/

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【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/

大切な一枚を求めて-被災地で続く写真洗浄活動
 【陸前高田】色褪せ、ほこりにまみれた何枚もの写真が、ブルーシートの上に広げられている。花束を手に微笑む着物姿の女の子。修学旅行ではしゃぐ男子学生の集団。ビールで一杯の細長い宴会テーブルを取り囲む、ほろ酔い加減の男たち。

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Reuters

岩手県大船渡市で先月、津波で汚れた写真の洗浄作業が行われた

 東北の小さな海辺の町、陸前高田では、3月11日の東日本大震災の津波で数千の住宅が倒壊、死者・行方不明者は2000人を数えた。津波は、地域社会を押し流すと同時に、思い出も奪い去った。思い出は、写真とアルバムの中にある。

 捜索隊は、被災後数週間で遺体回収を行いながら、散乱し、水浸しになった家族アルバムや泥に埋もれた写真をがれきの中から拾い集めた。ボランティアグループは、その数十万枚もの写真の乾燥、洗浄、選別という根気のいる作業を続けてきた。

 被災から2カ月が過ぎた今、陸前高田のような甚大な被害に見舞われた沿岸部の町では、生活を立て直す長いプロセスの第一歩となる仮設住宅への入居が始まりつつある。

 先週3日間、陸前高田のボランティアの手によって、回収写真の一部が初めて公開された。この活動は、写真の持ち主が、過去の思い出を少しでも形に残せれば、というボランティアの思いから行われている。

 「被災者がすべてを失ったと感じる時、古い写真がみつかったら、前に進む勇気が湧いてくるのではないかと思う」と独立行政法人、防災科学技術研究所のボランティア、ハギワラ・タツヤさんは言う。

 主催者が、町はずれの駐車場でアルバムや卒業記念アルバム、卒業証書といった思い出の品々を広げる光景は、フリーマーケットさながらだ。死亡、または行方不明となっている家族や友人が写っている写真を探す人だかりが、あっという間にできた。

 写真を探す人々から、悲鳴が上がった。「これ、私の写真!」と叫んだのは、カンノ・エツコさん。彼女は、ウェディング姿の若い女性の写真をみせた。花嫁は笑いながら、白い手袋をはめた手を口にあてている。

 孫がいる51歳のカンノさんは、1歳の孫娘をおぶって駐車場に来た。彼女によると、この写真は、26年前に大船渡の写真館で撮ったもの。撮影者は彼女に合図を送らずにシャッターを押したという。

 「この時が一番幸せだった」と彼女は写真を握りしめながら言った。「でも、これは私の写真。夫の写真が欲しかったのに」

 この写真撮影から数日後に結婚した夫は、津波で命を落とした。夫は当日、休みで在宅中、83歳の母親とともに津波に襲われた。津波は家をのみ込み、母親も犠牲になった。

 カンノさんの3人の娘、孫、夫の写真は、ほかの持ち物と一緒に津波に押し流された。

 「手に取り眺められる何かがほしい。探したけれど、何も見つからなかった」とカンノさんは言う。

岩手県陸前高田市の被災現場で発見された結婚式の写真。巨大な津波は町並みとともに、写真やアルバムに残された人々の思い出も押し流した
 ボランティアは、数週間前に写真洗浄を始めた際、水に濡れた「ひとかたまり」のスナップ写真から取りかかった。写真を並べて乾かす。一枚ずつ、絵筆で泥を払う。アルバムのビニールシートをぬれ雑巾で拭く。

 この作業は時間がかかるうえ、完璧というわけにはいかない。先週公開された写真は、回収分の約10%にすぎない。

 写真が見つかった人々は、所定の用紙に記入し、写真を持ち帰った。主催者によると、残った写真は、市内65カ所の避難所にトラックで運ぶ予定という。

 ボランティア活動を率いる組織のひとつである防災科学技術研究所は、集合写真をスキャナーで読み取りデジタル化し、ネット上に画像をアップすることを計画している。同研究所は、それらの写真を、陸前高田と近隣地域の津波関連情報とともにアーカイブに保管するプロジェクトにも取り組んでいる。

 タカハシ・ヨシトさんは、写真が運び込まれるや否や、駐車場にかけつけた。彼は、次々とアルバムのページをめくった。それから、写真が入っている箱に行き、一枚ずつ調べた。「ここにはない」と彼はつぶやいた。

 生命保険会社を退職した67歳のタカハシさんは、地域の指定避難所である陸前高田の新体育館に避難し、津波を免れた。

 3月11日、彼は、100人以上が避難する体育館で妻を探したが、見つけることはできなかった。ところが、数分後に体育館が津波で浸水。生き残ったのは、タカハシさんを含め、わずかだった。タカハシさんの妻は後に体育館で遺体として見つかった。

 「集合写真でいいから、妻の写真がほしい。ただ、妻に会いたい」とタカハシさんはうつむく。

 タカハシさんは、25年前に近所で行われた夏祭りの写真を見つけた。彼は、写真の端の方に直立不動で立っていた。白くなった髪は、まだ黒々としている。写真を丹念に眺めた後、彼はつぶやいた。「妻が写っていない」

 2日後、タカハシさんは戻ってきた。前日も探したが見つからなかった。でも探し続ける、と彼は言った。

 近くで女性が1冊のアルバムを取り上げ、「私たちの写真だ」と叫んだ。

 タカハシさんは一瞬、顔を上げ、動きを止めた。それから彼は、目の前に置かれた箱の写真を調べる作業に戻った。




【英国】
ロイター
http://jp.reuters.com/

トヨタの北米生産、6月には通常の70%に回復
5:00am

自民、原発事故調査委で独自法案
2:02am

汚染水、再び海に流出
2011年 05月 11日 23:05 JST

政府、東電を10年以上公的管理
2011年 05月 11日 22:30 JST

校庭の表土除去、地元判断で
2011年 05月 11日 20:43 JST

住民15万人を30年以上検査へ
2011年 05月 11日 20:42 JST

東電の原発賠償スキーム政府案、閣僚会議で「異論出ず」
2011年 05月 11日 19:57 JST

東日本大震災から2カ月
2011年 05月 11日 19:28 JST

政府が東電の賠償スキーム提示、株主・社債権者の責任問わず
2011年 05月 11日 19:11 JST

「足柄茶」に基準値超のセシウム
2011年 05月 11日 18:46 JST

福島産野菜の出荷停止一部解除
2011年 05月 11日 18:30 JST

両陛下、原発避難住民ら励ます
2011年 05月 11日 17:59 JST

浜岡、12日停止作業で最終調整
2011年 05月 11日 17:24 JST

3月景気動向指数速報は過去最大の落ち込み、震災で生産大幅減=内閣府
2011年 05月 11日 17:05 JST

原発事故「自民党にも責任」
2011年 05月 11日 16:44 JST
 自民党の石破茂政調会長は11日、党本部で記者会見し、福島第1原発事故について、政権担当時に原発建設を積極推進した党にも一定の責任があるとの認識を示した。「自民党が与党として原子力政策を担ってきたことは事実だ。間違いを起こさない政党はない。私たちも何か誤りがあったのではないか」と述べた。同時に「自民党としてどこが誤っており、それはなぜかをきちんと検証しなければ、政府を追及する資格がない」と指摘。谷垣禎一総裁ら党幹部と検証の在り方について協議したい考えを明らかにした。


東電の発送電分離は将来の課題、可能性奪ってはいけない=海江田経産相
2011年 05月 11日 16:35 JST

独メルク、東日本大震災で被災した自動車塗料向け顔料工場が再開
2011年 05月 11日 14:33 JST

3月18日の協調介入、日本の実施額は英・加など大きく上回る
2011年 05月 11日 11:52 JST

日赤が身元確認に保存血液提供
2011年 05月 11日 11:38 JST

ルネサスが生産再開を6月1日に前倒し、10月末に震災前の供給水準
2011年 05月 11日 11:09 JST

震災2カ月、宮城でやっと入学式
2011年 05月 11日 11:06 JST

米芸能人ら大震災の被災者支援
2011年 05月 11日 09:46 JST

原子炉の水位、今日にも判明
2011年 05月 11日 09:19 JST

津波警戒に大きな差
2011年 05月 11日 05:27 JST



【スイス】
スイス・インフォ
http://www.swissinfo.ch/jpn/index.html

福島原発事故、もし「フクシマ」がスイスで起きたら - 1 -
「スイスでフクシマのような事故が起きても、許容される年間の放射線量は1ミリシーベルトだ」とスイスの連邦保険局 ( BAG/OFSP ) 放射線防護課主任、クリストフ・ミュリット氏は強調する。
この1ミリシーベルト ( mSv ) は、外部被曝 のみならず食べ物摂取による内部被曝の場合も厳守される。特に妊婦、胎児、子どもの場合は絶対だ。



ミュリット氏は放射線学の専門家。原発の事故などによる放射線の被害からスイス国民の健康を守るのが任務だ。チェルノブイリの事故で汚染されたスイス国内の対策にかかわり、1999年には現地に赴き半径30キロの立ち入り禁止区域で調査も行った。

ミュリット氏に、福島原発のような事故がスイスで起きたらどういった対策を考えているのか、また現在の福島へのアドバイスなどを聞いた。今回のインタビューでは情報量が多いため、2回に分けお届けする。



swissinfo.ch : 福島の原発事故から2カ月が経過しますが、まだ収束しておらず、水素爆発などもまったくないとは言えない状況です。もし、スイスで福島のような原発事故が起きたら、どう対処するのでしょうか。
ミュリット : 放射線の当たらない家屋などに避難、あるいはその地域からの退去、安定ヨウ素剤の配布などを行う。3時間後に原子炉が爆発すると分かれば、基本的には退去だ。事故の初めが特に重要で放射性ヨード131を避ける必要がある。甲状腺がんを引き起こすからだ。世界の基準は、甲状腺の器官そのもので50ミリシーベルト以上の放射線が計測されないのが原則。これ以上は許されない量だ。

とにかく事故の第1段階では外部被曝と放射性物質の吸引を避ける。この2点が大切だ。被曝時間を制限する、放射線を浴びないような建物に避難する、また放射線を出す物体から距離を取ることだ。例えば放射性物質から1ミリメートル、つまり触ってしまう距離と1メートルの距離とでは、被曝線量が全く違う。100万倍違う。距離を取ることは肝要だ。

第2段階で少し落ち着けば、食料摂取などによる体内への取り込みが問題になってくる。スイスではこの内部被曝でも外部被曝と同様の被曝線量1ミリシーベルトの基準は守るようにする。以上はスイスが特殊というのではなく、世界の基本的対策はほぼ同じだ。ただスイスが厳しくしている点は、この年間の被曝量を1ミリシーベルトに限定し、特に妊婦や胎児、子どもには絶対にこの1ミリシーベルトを守る点だ。中でも胎児の場合は放射線によるダメージが大人の3、4倍だからだ。

しかし、放射能事故現場の作業員たちの最大被曝線量は、スイスでも250ミリシーベルトだ。一人一人が計器を携帯するのは義務で、250ミリシーベルトになったらアラームが鳴るようにしておき、鳴ると放水中であろうと作業の途中であろうと、その場を去らなければならない。この数値は欧州連合(EU)や世界保健機構(WHO)でも同じだ。

フクシマの原発内は毎時1シーベルト ( 1000ミリシーベルト ) の高い放射線が観測されていると聞く。つまり1人15分しか作業できないという訳だ。1000人の作業員がいれば、10人が15分作業して終了し、また10人が入るという方法を取らなければならないだろう。

非常時だから250ミリシーベルトだが、実は100ミリシーベルトが重要な基準値になっている。多くの研究が100ミリシーベルトから、ガンや胎児の奇形、知能障害などの危険性が高まると証明しているからだ。30年後にこうした症状が現れる場合もある。




クリストフ・ミュリット氏 (courtesy)
swissinfo.ch : 作業員の被ばくも大問題ですが、原発から4、50キロメートル離れた地域の住民の積算放射線量も問題になっています。この積算放射線量による影響とはどのようなものでしょうか?
ミュリット : 長期にわたって浴びた放射線量が、ある値を越すとこうした症状を引き起こすという目安がある。例えば500ミリシーベルトから1 シーベルト ( 1000ミリシーベルト) では、がんにかかる可能性が高まり、1シーベルトから2シーベルトではさらにこの可能性が高まる。5シーベルトで100人中50人が死ぬ。瞬間に浴びても500ミリシーベルト からリンパ球の減少が現れ、50シーベルトでは2、3時間後に死ぬというものだ ( 右欄参照 )

結局、長期間の被曝では、被曝後10年から30年後にがんに、2年から10年後に白血病にかかるリスクが高まると言われている。ただ、1シーベルトを浴びたから必ずがんになるというわけではなく、可能性が高まると言うことだ。



swissinfo.ch : 福島などで今後問題になるのは、食べ物や水などによる内部被曝の積算放射線量ですが、スイスの基準はどのようなものでしょうか。
ミュリット : スイスでは先に述べたように、国際基準に従い放射能事故の場合、一般の人の被曝線量は年間1ミリシーベルトに限定されており、汚染された食品消費量の総数がこの1ミリシーベルトを超えないように、含有放射能量が決定される。それは1キログラムにつき何ベクレル ( Bq ) が上限かという値になる。

具体的には二つ基準がある。世界の限界基準値とスイスの許容基準値で、後者は世界の基準値が高すぎるため、スイス独自で決めたものだ。これは健康管理という観点からではなく、食品の品質を消費者に保障する目安としてあり、世界基準の1~10% の数値にあたる。例えば放射性ヨード131では、世界基準値は食品全般で1キログラム中2000ベクレル、液状食品で500 ベクレル。これに対し、スイスの値は両方ともわずか10ベクレルにしている。

現在日本では野菜が2000ベクレル、液状食品が300ベクレルで、欧州連合 ( EU ) が日本に基準を合わせようとしているため、スイスの許容基準値も、もう少し高い値に変えざるを得ないだろう。

管理すべき食品中の主な放射性物質はヨード131、セシウム137、ストロンチウム90、だが、こうした基準値に沿って計測することで、内部被曝は制御できると思う。

ただ、その場合、それぞれ半減期が違うため、対策はさまざまになる。例えばヨード131は半減期が8日だが甲状腺がんを引き起こす。半減期が30年のセシウム137は筋肉に、半減期が30年のストロンチウム90はカルシウムと同じ働きをするため、骨に吸収される。骨に残ったストロンチウムは骨髄細胞を侵すため、白血病を発病させやすい。

そのため大切なのは、食品中にどの放射性物質がどれほどの量あるのか、さらにその国の食文化によって何を主体に、一年に何キログラムの放射線汚染食品を食べるかという4点。スイスでは乳製品の消費が多いので、こうした食品の放射線量レベルの上限は低くしている。日本では魚や米など消費量の多いものの基準に気をつけるべきだろう。




福島原発事故、もし「フクシマ」がスイスで起きたら - 2 -
スイスでもチェルノブイリの放射能がイタリア語圏のティチーノ州を汚染した。そのときの政府の対策を、昨日の第1版に続きスイスの連邦保険局 放射能線防護護課主任、クリストフ・ミュリット氏に聞いた。
内容には、日本の原発事故後の対策に応用できるヒントが隠れていそうだ。



swissinfo.ch : スイスもチェルノブイリの放射線、特にイタリア語圏ティチーノ州が汚染されました。そのときの対策はどういったものでしたか?
ミュリット : 当時ティチーノ州に放射能汚染された雲が着いたとき大雨が降り、放射能性物質がすべて牧草地に落ちた。スイス連邦保険局 ( BAG/OFSP ) は、これらを食べる牛や羊を殺さない方針を取った。

ドイツでは牛を全て殺した。しかしセシウム137を筋肉に含む牛肉は食用にならない上、焼却しても半減期が30年であるため、その灰の処理に困る。

スイスでは、殺さず牛や羊に前年の干し草を食べさせ、また羊の群れを汚染されていない西部のフリブール州に移動させた。セシウム137は確かに半減期が30年だが、体内に入るとおよそ半分が40日~60日間で排出される。従って羊肉の1キログラムあたりのベクレルの値が減少する。

こうして、年間の摂取量が1ミリシーベルトを超えないようなベクレルの値で肉を生産させ出荷を許可した。農家への補償もいらない上、家畜を殺さずに済んだ。



swissinfo.ch : しかし、たとえ羊をフリブールに移動させてもセシウム137は羊の糞尿中に排出され、最終的にまた牧草地にたまるのではないでしょうか?
ミュリット : 確かに排出されるが量の問題だ。まったく汚染されていない牧草地にセシウム137が多少排出されても問題にならない。またセシウム137は地下深くに染み込むため、草の根はこれを吸い取らない。ただ、このセシウムも染み込む途中で粘土層にたまる場合がある。従って30年間はフリブール州でもティチーノ州でもこの量を測り続けている。

ところで、現在の日本のような場合だが、もし汚染された土地で農作や牧畜を行う場合、二つの方法がある。一つは表層の土を取り除くことだ。そうすれば栽培は可能になる。ただその土をどこに持っていくかという問題は残る。もう一つは30センチメートル分の深さで表層の土と下の土を入れ替えるように掘り返す。そうすれば表層部の高濃度の部分が核散され、1キログラムあたりの放射能濃度が薄まる。

だが、こうした手段が取れず一番問題の多い場所が森だ。土を掘り返せない上、キノコは放射能を吸収しやすく、野生の動物や木の実など多くの生物が放射能を持ち続けるからだ。チェルノブイリのせいで、ドイツの森では今でも高い放射線量が観測されている。




クリストフ・ミュリット氏 (courtesy)
swissinfo.ch : 福島では農作のために土地をどうすればよいと思われますか?
ミュリット : 現在原発事故が収束してない段階では何もできない。ただ半径30キロ圏はとにかく触わらない。その後状況が安定してきた時点で、ガンマ線を出すセシウム137とアルファ線を出すプルトニウム239の量を各場所で計測する。その後、汚染を完全に取り除くのか、削減させるだけなのか、つまり土を取り除くか掘り返すかを決めることになるだろう。

場所によっては、農作が永久にできない所もあるだろう。例えば半減期が2万4000年のプルトニウム239が検出される場所だ。わたしだったらそれでも一応掘り返して、多少拡散させコンクリートなどで覆いをするだろう。だが、ここでは栽培はおろか人も住むわけにはいかない。

ところで、こうした農村地域にはまだ対処の方法がある。しかし、都会の場合は難しい。もし最悪の事態が起き、フクシマの原子炉3基とも制御できず、しかも風が東京方面に吹き雨が降ったとしたら・・・もちろん都民はすぐ避難するので問題はないが、放射性物質を即刻除去しなければ、建物などに染み込んでしまう。消防団が直ちに放水し洗い流す必要があるだろう。

福島県の学校の校庭でかなりの放射能が確認されたと聞いたが、これも放水して、水路を付けて流したらどうだろう。また、ほかの場所で生徒を遊ばせるなどしてはどうか。子どもたちは非常に放射線の被害を受けやすいからだ。



swissinfo.ch : チェルノブイリから国境を挟んですぐそばのベラルーシの村々では、事故後も村に住み続けたという話ですが。
ミュリット : ベラルーシの幾つかの村では事故の情報がほとんど入らず、また国が対策を行わなかったため村民はそこに住み続けた。そこでスイスを含め他国からNGOが入り住民を指導した。

住民は食べ物も体も、計器を使って放射線量を計る方法を学んだ。この遊び場は大丈夫だが、森は放射線量が高いのでその傍では遊ばないように子どもたちを指導し、汚染の少ない牧草地に牛を移動させもした。ある家族で妹の体のセシウム137の線量は低いのに兄の方は高い。なぜか。兄はキノコが大好きだが妹は嫌い。そうか、キノコは放射線量が高いのかと言う風に少しずつ学んでいった。

現在、現地の支援者が年間の被曝量基準を1ミリシーベルトないしは0.1ミリシーベルトに徹底するよう活動を続けている。

もちろんこうした対策は本来、国が行うものだ。そして、国がこうした事故後の対策を行う場合に気を付けなければならないのは、まず状況を分析し、それに応じて決定を行う。それは経済をマヒさせるものであってはならないだろうし、とにかく状況や場所によってさまざまに異なるだろう。



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