丸山康次郎／ものづくり中部の革新者たちⅢ

2022-10-16 06:40:59 | ものづくり・まちづくり

ものづくり中部の革新者たちⅢ　より　丸山康次郎を紹介します。

去る2022（令和４）年９月10日（土）に名古屋都市センター（金山南ビル内）　11階「まちづくり広場・企画展示コーナー」で行われた、第17回パネル展での学びを振り返ります。

ここから　http://csih.sakura.ne.jp/panerutenn.html

今回は、丸山康次郎　卓越した語学力のエンジニア　-メイキエンジンの父ー　

ものづくり中部の革新者たち I

丸山康次郎 (1877~1955)　卓越した語学力のエンジニア-メイキエンジンの父ー

■生い立ち
丸山康次郎は、 1876 (明治9)年、長野県上田市で生まれた。当時の高等教育機関であった専修学校 (1913年から専修大学となる) に進学し、卒業後の1909 (明治42)年に単身渡米した。
アメリカでは、ゼネラルモータース (GM) で自動車製造関係の業務に32年間従事し、 1940(昭和15) に帰国した。
戦後は、中日本重工業 (現三菱重工業) に勤務、スクーター・シルバーピジョンとそのエンジンの開発に心血を注ぎ、三菱技術陣の陣頭指揮をした。

■永久の平和のシンボル「シルバーピジョン」の開発
丸山康次郎は、米国から帰国の際に持ち帰った、アメリカ、サルスベリー社のスクーターの図面を、戦後まもない1946(昭和21) 年に中日本重工業 (現三菱重工業) が疎開していた岐阜県大垣市の工場に持ち込んだ。
当時、わが国の多くの企業が「売れる物」を、目の色をかえて探していたときであったので、丸山の持ち込んだスクーターの図面は、三菱技術陣の注目を集め、不十分な設備であったが、直ちに試作にとりかかった。試作には、丸山の30余年の米国生活で得たノウハウを随所に取りいれ、また、丸山自身も部品製作のひとつひとつに、そしてエンジンの製作においても日夜心血を注いだ。
1946(昭和21)年12月、スクーター1号機 C-10型は完成し、永久の平和を祈って「シルバーピジョン」 (銀の鳩)と名付けられた。エンジンは名古屋市中村区の岩塚工場、車体は名古屋市港区の大江工場でつくられた。
シルバーピジョン1号機のC-10型から1964(昭和39)年のC-140型、240型まで36万台が生産された。スクーターの語源は米語で「エンジンのついたスケート」の意味で、 1955年ごろが最盛期でオートバイ以上の販売台数を記録した。名古屋だけではなく、全国の街を走り回り、富士重工 (2017年から社名はSUBARUに変更) のラビットスクーターとはライバルで市場を争った。
【農業機械用空冷エンジン、「メイキエンジン」の誕生シルバービジョンC-10型のエンジンは、空冷単気筒、サイドバルブ式4サイクルエンジンで、排気量112cc、 1.5馬力/3500rpm、空冷NE10型と呼ばれた。このエンジンは1947(昭和22)年には、定置式の農業機械用にも用途を広げた。
これが、農業機械用空冷エンジンの代名詞と称されるまでになっているメイキエンジンである。メイキとは、名古屋機器製作所の略称「名機」にちなんだものである。
丸山康次郎は1955 (昭和) に亡くなったが、翌1956 (昭和51)年に、丸山の業績を称えるための、「メイキエンジンの「父」記念碑が名古屋市中村区岩塚の三菱重工業、名古屋機器製作所本館前庭に立てられた。
なお、記念碑は2019年11月に津島市の三菱重工メイキエンジン (株)に移設されている。
(冨成一也)

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