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韓国の保育・育児事情-2-

2011-08-17 06:12:18 | 教育関連情報
朝鮮日報で、韓国の保育園の事情が報道されています。

http://www.chosunonline.com/

信頼できない保育園、昨年の事故7000件以上
マくん(3)は黄色い車を見ると、必ず母親の陰に隠れる。母親のチンさん(36)が「大丈夫よ」と言ってなだめても、舌足らずな言い方で「保育園の先生嫌だ、保育園の先生嫌だ」と泣きながら繰り返すのだ。マくんは保育園の送迎バスと同じ黄色い車を見ると必ず怖がるが、それには理由がある。


 チンさんは夫と二人で飲食店を営んでいたが、店の経営が傾いたため、今年初めから一般企業で働き始め、息子は保育園に預けた。今年5月、保育園から職場に連絡があり、仕事を中断して駆け付けると、息子の唇がパンパンに腫れていた。園長は「マくんがきのうときょう、ほかの子にかみ付いたので、しつけの意味で唇を何度かたたいた」と説明した。驚いたチンさんは、監視カメラの録画映像を確認しようとしたが、監視カメラは落雷で故障し、1カ月前から作動していなかった。息子の唇の腫れは数日たつと青あざに変わった。そのためチンさんは、保育園の園長を暴行罪で告発した。「息子は以前にも保育園の先生のせいでピアノの角に眉の部分をぶつけ、8針も縫った。金を稼ぐために息子を他人に預けた自分が恨めしい」


 韓国で600万世帯といわれる共働き家庭のほとんどは、苦労して保育園やベビーシッターに子どもを預けている。韓国全体の保育園は2000年には1万9276カ所だったが、昨年は3万8021カ所と2倍近くまで増加した。だが、多くの保護者は「安心して預けられない」と不安を口にする。


 昨年1年間で保育園安全共済会に寄せられた保育園での乳幼児の事故は、3840件に達する。全国の保育園のうち、安全共済会に加入しているのは半数程度のため、実際の事故件数は7000件を大幅に上回ると推定される。事故の中には、乳児の突然死など死亡事故が8件、やけどが89件、転落事故が90件あった。 


 保育の専門知識がない無資格の職員が園児を虐待する事件も発生している。仁川市では昨年末、3歳未満の園児に乱暴な言葉を浴びせたりたたいたりしたとして、無資格で保育園に務めていた職員が警察の取り調べを受けた。

全羅南道務安では、1歳6カ月の幼児をたたいたベビーシッターが告訴された。3歳の娘を持つ会社員のチさん(女性)は「保育園やベビーシッターなども利用してみたいが、信頼して子どもを預けられる場所がなかなか見つからない。働く母親は増えているのだから、政府は少子化とばかり言っていないで保育施設を徹底的に管理してほしい」と話す。


 保育士が、劣悪な勤務条件などを理由に職場を離れる割合が高いことも、保育の質を低下させる原因となっている。保育施設1カ所あたり4.2人の保育士が割り当てられているが、半数(2.1人)は1年以内に別の施設に転職したり、退職したりしている(保健福祉部〈省に相当〉の全国保育実態調査による)。かなりの数の保育士が「いつ離職するか分からない」と考えているため、子どもの保育がずさんになるケースがある。こうした現状が、ともすれば子どもたちの安全問題に直結するのだ。ソウル市恩平区のある保育園では、ここ1年の間に3人の保育士が退職したが、園長(47)は「保育士が頻繁に退職するのは、勤務時間や給与など待遇が悪いためだ」と指摘する。


 韓国の保育士の平均月収は126万ウォン(約9万6900円)。国公立の保育園は平均155万ウォン(約11万9200円)、民間の保育園は118万ウォン(約9万800円)、家庭保育室は102万ウォン(約7万8500円)となっている。家庭保育室では労働時間は1日平均9時間30分で、1カ月に20日間勤務した場合、時給換算で約5400ウォン(約415円)という薄給だ。


 全北大学のイ・ヨンファン教授(児童学科)は「乳児にとっては、世話をしてくれる人との安定した愛情関係が非常に重要。子どもたちと長い時間接する保育士が頻繁に変われば、子どもたちに心理的・情緒的な問題が起きる可能性がある」と指摘した。



ベビーシッターの驚くべき実態
主婦のチェ・ジヨンさん(31)は今年の春、家族で「ソウルの森」に遊びに行った際、4、5歳ぐらいの子どもがごみ箱に張り付いていたアイスクリームのふたを拾ってなめているのを見た。チェさんは「それは食べちゃダメよ」と注意した。すると、木陰のベンチに座っていた中年女性の一人が「早く来なさい。早く!」と呼んだ。チェさんは「ベビーシッターたちが団体で遊びに来ていたようだが、子どもたちだけで遊ばせて、自分たちはおしゃべりに夢中になっていた。子どもの母親がこんな光景を見たらどんな気分になっただろうと思うと、開いた口がふさがらない」と話す。


 会社員のキム・ミジンさん(32)=ソウル・東部二村洞=は、書類を取りに昼間に帰宅した際、リビングの光景を見て驚いた。同じ団地で働くベビーシッター5-6人が集まり、皆で料理を囲んで話し込んでいたのだ。5歳になる娘が一人で泣いているにもかかわらず、ベビーシッターはおしゃべりに夢中だった。もう信頼して子どもを預けることはできず、結局そのベビーシッターを解雇した。だがキムさんは、実際に解雇を告げる際、嫌味などを言われることを恐れ、慰労金20万ウォン(約1万5000円)を手渡した。万が一子どもに何かされたら、という不安な思いがあったからだ。


 「子どもの行動範囲やわが家の事情を全て知っているので怖い。ベビーシッターの中には、しょっちゅう公園に集まって井戸端会議をしている人も多いらしい。月給はいくらもらうべきだとか、おばあちゃんのいる家は小言が多いとか、情報交換している」。キムさんは、万が一のために細心の注意を払うしかないと話す。もちろん、子どもの面倒を十分に見てくれるだけでなく、しつけや基本的な教育をしてくれる優秀なベビーシッターも多い。


 だが、働く母親の中には、ベビーシッターがどのように子どもの面倒を見ているのか不安で、家の中に監視カメラを設置するケースも増えている。一部のセキュリティー専門会社は「ワーキングマザー向けパッケージ」を用意しているという。3歳の息子をベビーシッターに預けている会社員のパクさん(31)も最近、リビングと子ども部屋に監視カメラを設置した。職場でもパソコンやスマートフォン(多機能携帯電話端末)を通じて、リアルタイムで子どもの様子を確認できるからだ。パクさんは「新しく雇った家政婦の了承を得て設置した」という。



管理ずさんな韓国の保育施設、その実態とは
6年前に出産し、共働きを続けてきたキム・ミファさん(35)=ソウル市在住=の「育児戦争」は、娘が生まれた瞬間から始まった。当初は済州島に住む夫の親に娘を預け、毎週金曜日になると飛行機で娘に会いに行っていた。


 娘は1年6カ月にわたり祖父母の元で育ったが、その後近所の保育園に通い始めた。だが、娘は全身に傷ができ始め、高熱を出して家に帰ってくる日が増えた。保育園は「大勢の子どもたちと一緒に過ごしているから、そういうこともある」と繰り返すばかりだった。娘は「保育園に行きたくない」と駄々をこねては泣くようになった。


 キムさんは結局、月110万ウォン(約8万3900円)でベビーシッターを雇った。派遣業者が「経験豊富だ」として紹介してくれたベビーシッターだったが、おむつを小まめに変えてくれず、子どものお尻はひどくかぶれた。それでも、すぐにベビーシッターを変えることはできなかった。「面倒を見る人が頻繁に変わると、子どもにとって精神的によくない」と思ったからだ。ベビーシッターを雇って1年になるが、子どもには次第に対人恐怖症のような症状が現れ始め、精神的に不安定になった。ささいなことでも激しく泣いた。キムさんは「私は娘の面倒も見ずに何してるんだろう」と自責の念にかられ、2008年に会社を辞めた。


 韓国では、働く親のほとんどが保育園(43.5%)かベビーシッター(22.1%)に子どもを預けている(2010年、サムスン経済研究所が働く母親1308人に対し実施した調査の結果)。誠意を持って子どもの世話をする保育園やベビーシッターも増えているが、管理がずさんなケースも依然として多く、不安を抱いている保護者も少なくない。

■消費期限を2年も過ぎた食べ物を提供


 学校教諭で現在は育児休業中のAさん(34)は少し前、復職の日が迫っているため、1歳7カ月になる息子の預け先を探そうと保育園5カ所を回った。評判のいい国公立の保育園2カ所はすでに空きがなく、民間の保育園3カ所は、とても子どもを預ける気になれないような所だった。ある保育園は子どものすぐ横にごみが山積みになっており、壁にはカビが生えていた。別の保育園は保育士の資格を持たない職員が子どもの保育に当たっていた。なんとか無難に思える保育園に預けることにしたが、全く安心できない。キムさんは「給食用のランチプレートを持たせているが、持ち帰ってくるプレートに残っている料理を見ると、献立表にない料理が頻繁に出ているようだ。監視カメラで確認したい気持ちだが、子どもが不利な扱いを受けるのが怖いので、ぐっと我慢している」と話す。


 給食の内容がひどい保育園も珍しくない。京畿道は今年6月、消費期限を過ぎた食材を使用していた保育園8カ所、実際と異なる原産地を献立表に書いていた保育園21カ所など、違法行為が確認された保育園72カ所を摘発した。この中には、消費期限を2年も過ぎたチーズや、1年2カ月も過ぎたポップコーンの豆を使用していたケースもあった。カタツムリが混じったご飯やクモが混入したスープを出しているケースも発覚し、この保育園は行政処分を受けた。


■「高い金を払ってくれる家に移る」と脅迫することも


 ワーキングマザーのBさんは、3カ月の産後休暇が終わると、生後100日もたたない子どもを、人材派遣センターで紹介されたベビーシッターに預けた。だが、問題が起きたのは1度や2度ではない。ベビーシッターは何度も熱いミルクを飲ませ、子どもの唇の周りには水ぶくれができた。熱い湯で風呂に入れ、子どもの体が真っ赤になったこともある。子どもが泣いてもそのまま放置し、自分は部屋で寝ていたりもした。そのベビーシッターは雇って4週目に、何の予告もなく突然辞めた。だがBさんは仕事に行かなければならないため、切羽詰まって地方にいる親戚に子どもを預けることにした。ベビーシッターを派遣した業者によると「そんなにしょっちゅうあるケースではない。ほかのベビーシッターを紹介する」と主張するだけだった。


 息子と娘の2人の子どもを持つキムさん(38)=中小企業代表=は今年初め、外出先から家に電話をかけて3歳の息子と話した際、非常に驚いた。電話の向こうではベビーシッターが、5歳の娘に対し「そんなに言うことを聞かないなら、捨ててやる」と叱りつけていたのだ。キムさんが「捨てるという言葉はひどすぎる」とベビーシッターに抗議すると「だったら今すぐ辞めてやる。ほかの人を探せばいい」と反発した。結局キムさんは、子どもの預け先がなくなるのは困るため、月給を20万ウォン(約1万5000円)値上げしてそのベビーシッターを引き続き雇うことにした。


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