やっと一昨日読了。
遅読なだけで時間はかかったがすごく面白かった。
どこが。
まず読みやすさ。
村上はストーリーテラーだ。
登場人物との交わすセリフの妙。
登場人物の「立ち上がり」。つまり生き生きとしていること。
心理学を駆使しているのかどうかは分からない。
しかしストーリー展開といい人物描写といいその表面上の場面の裏側に隠されたものの気配。
それらを漂わせながらページが進んでいく。
そして、
どうしてもチラチラ見え隠れするのが、S・キング「シャイニング」だ!
もちろん文体はあの、レイモンド・チャンドラーだ。
厳密に言えば分からない。その他の作家の影響も多分に受けているであろうが私はそこにフックがかかった。
「シャイニング」に重なるところがやはりある。設定だ。
これは村上春樹が意識的にも無意識的にも散りばめているのだろう。
主人公が親友の父親の家を借りるのだがその「屋根裏部屋」が重要な場所になるとこ。
そしてあの「スズメバチ」だ。現実にまりえの母親を殺した生物でありながら免色氏の暗闇メタファーだ。
「シャイニング」でもこのスズメバチが重要になる。
そして、重要人物である免色(メンシキ)氏。の大豪邸。←これがオーバールックホテルを彷彿とさせる。
最後、雨田邸がなにかしらの不審火で火事になり燃えてしまうところもオーバールックホテルの大爆発を彷彿とさせる。
だいたい小田原の山の奥にある街とは隔絶されたような家が、オーバールックホテルだ。
隔絶した者たち同士のこれから起こる惨劇…っていうのはないがそんな雰囲気を漂わせながら物語は進む、とこも「シャイニング」だ。
雨田具彦氏の絵画作品「騎士団長殺し」から「イデア」として出現した「騎士団長」は
ダニー・トランス(ジャック・トランスの息子)に内在するパーソナリティーであるトニーと重なる。
そのほかは村上ならではのエピソードが散りばめられているが。
しかしこの上下巻本はなにが言いたかったのか?
主人公を通して小さな死と復活の「再生」の話しなのだろうか?
スリリングに展開されるストーリーは飽きさせず、ぐいぐい引っぱってくれる。
いや。
読み終わった時の印象を素直に言うと、
勇気が湧いたことだ。
これは小さな死のような「絶望」の淵から、這い上がっていくような「勇気を取り戻す」物語なのだ。
もちろん異論もあるでしょう。
でも、
佐藤優氏がいう「優れた小説とは実に様々な解釈が可能であることだ」と定義している。
だから私の都合でそう解釈しました。
なぜなら、それが一番しっくりするから。少なくとも50手前を控えた現時点での私にとっては腑に落ちる。
とはいっても…褒めてばかりでもアレだから強いて言わせてもらえば、
主人公の行動描写に相容れないものがあった。
まず、騎士団長が鈴を鳴らしていたあの「穴」へ、怪しい重要人物の免色氏を連れて行くことだ。
なんでも人に頼るのは良くない。ましてやあの怪しい男に頼むのはどうかと思った。
困った時に何でもかんでもという訳ではないが人を頼りすぎるところが好感持てない。
極めつけはラストに離婚を突き付けられた浮気をした妻とよりを戻して終わるところだ。
とにかく女々しさが前面に出ていて男として共感持てなかった。
前の女房に未練タラタラなのに他の女性とは遊びまくっているのも嫌いだ。
聖人君子にならなくてもべつにいい。タフでなくてもいい。でももう少し孤独と対峙しろよな…と思っちゃた。主人公なんだからさ。
好きな登場人物は勿論、騎士団長。そして不思議な魅力の「まりえ」だ。
「勇気を持って恐怖を乗り越えて一人っきりで克服しなくてはならないこと」これが表面上のテーマなのか。
それで終わっても生き方に何かしらの影響を及ぼせるくらいの力がある。
なぜなら読了後、その言葉が行動規範の上位にくるようになったからだ。
遅読なだけで時間はかかったがすごく面白かった。
どこが。
まず読みやすさ。
村上はストーリーテラーだ。
登場人物との交わすセリフの妙。
登場人物の「立ち上がり」。つまり生き生きとしていること。
心理学を駆使しているのかどうかは分からない。
しかしストーリー展開といい人物描写といいその表面上の場面の裏側に隠されたものの気配。
それらを漂わせながらページが進んでいく。
そして、
どうしてもチラチラ見え隠れするのが、S・キング「シャイニング」だ!
もちろん文体はあの、レイモンド・チャンドラーだ。
厳密に言えば分からない。その他の作家の影響も多分に受けているであろうが私はそこにフックがかかった。
「シャイニング」に重なるところがやはりある。設定だ。
これは村上春樹が意識的にも無意識的にも散りばめているのだろう。
主人公が親友の父親の家を借りるのだがその「屋根裏部屋」が重要な場所になるとこ。
そしてあの「スズメバチ」だ。現実にまりえの母親を殺した生物でありながら免色氏の暗闇メタファーだ。
「シャイニング」でもこのスズメバチが重要になる。
そして、重要人物である免色(メンシキ)氏。の大豪邸。←これがオーバールックホテルを彷彿とさせる。
最後、雨田邸がなにかしらの不審火で火事になり燃えてしまうところもオーバールックホテルの大爆発を彷彿とさせる。
だいたい小田原の山の奥にある街とは隔絶されたような家が、オーバールックホテルだ。
隔絶した者たち同士のこれから起こる惨劇…っていうのはないがそんな雰囲気を漂わせながら物語は進む、とこも「シャイニング」だ。
雨田具彦氏の絵画作品「騎士団長殺し」から「イデア」として出現した「騎士団長」は
ダニー・トランス(ジャック・トランスの息子)に内在するパーソナリティーであるトニーと重なる。
そのほかは村上ならではのエピソードが散りばめられているが。
しかしこの上下巻本はなにが言いたかったのか?
主人公を通して小さな死と復活の「再生」の話しなのだろうか?
スリリングに展開されるストーリーは飽きさせず、ぐいぐい引っぱってくれる。
いや。
読み終わった時の印象を素直に言うと、
勇気が湧いたことだ。
これは小さな死のような「絶望」の淵から、這い上がっていくような「勇気を取り戻す」物語なのだ。
もちろん異論もあるでしょう。
でも、
佐藤優氏がいう「優れた小説とは実に様々な解釈が可能であることだ」と定義している。
だから私の都合でそう解釈しました。
なぜなら、それが一番しっくりするから。少なくとも50手前を控えた現時点での私にとっては腑に落ちる。
とはいっても…褒めてばかりでもアレだから強いて言わせてもらえば、
主人公の行動描写に相容れないものがあった。
まず、騎士団長が鈴を鳴らしていたあの「穴」へ、怪しい重要人物の免色氏を連れて行くことだ。
なんでも人に頼るのは良くない。ましてやあの怪しい男に頼むのはどうかと思った。
困った時に何でもかんでもという訳ではないが人を頼りすぎるところが好感持てない。
極めつけはラストに離婚を突き付けられた浮気をした妻とよりを戻して終わるところだ。
とにかく女々しさが前面に出ていて男として共感持てなかった。
前の女房に未練タラタラなのに他の女性とは遊びまくっているのも嫌いだ。
聖人君子にならなくてもべつにいい。タフでなくてもいい。でももう少し孤独と対峙しろよな…と思っちゃた。主人公なんだからさ。
好きな登場人物は勿論、騎士団長。そして不思議な魅力の「まりえ」だ。
「勇気を持って恐怖を乗り越えて一人っきりで克服しなくてはならないこと」これが表面上のテーマなのか。
それで終わっても生き方に何かしらの影響を及ぼせるくらいの力がある。
なぜなら読了後、その言葉が行動規範の上位にくるようになったからだ。