河出書房新社から出たので早速。
大森望も豊崎由美2人とも、信用している書評家です。
村上春樹のことを言っているのはラジオや雑誌などで色々知ってました。
改めて書物で読むのは初めて。
この二人がはしがきがきとあとがきでちゃんと意思表明しています。
どういことになるのかハルキストらにどう思われるのかということ。
自分達は明言しませんがいわゆる「本読みのプロ」に言わせてもらえばという本です。
例えば…
豊崎→ここで国民の皆さんに訴えたいのは、そういうふうに深読みすることが、ハルキの甘やかしになるということなのであります。甘やかしちゃ、ダメッ!ダメなものはダメ!深読みして斟酌してやることなんてないんですよ、相手は大金持ちの大物作家なんですから。(P121)
豊崎→(会話でいちばん大事なことは、じつは言い残すことなんです。いちばん言いたいことは言葉にしてはいけない)って発言してますけど、してるじゃん!
大森→それどころか、言わなくていいことまで言ってる。(P132)
豊崎→ところが、それも上滑りしていくばかり。(P134~P135)
大森→ジャンル小説のモチーフを使うんであれば、もうちょっとリスペクトしてほしい。(P138)
豊崎→・・・・・・・。ジャンル小説を小バカにしてんですかね、ハルキ先生は。
豊崎→もちろん、村上春樹が相手だったら何を書いてもいいことにはなりません。(中省略)…村上春樹の作品についてなら、ひとは何を書いても語ってもいいのです。誠実に精読した上でなら。
謎を謎のままにしておくことや投げっぱなしのエピソードなどは読めば誰でも気が付くところです。
それでも本を投げ出すか読み通すのかは我々次第ということです。
いつどこでも中断してもいいしもう買うのも止めたていいのです。
ただ、村上春樹がどうしてここまで世界規模で著名な日本人作家であるのかと売上記録とかもどうでも良くなるのです。
自分なりに誠実に読んで感じたことが大切なこと。
最後まで読み通せなくてもいい。放り出したっていい。
出版業界やマスコミに踊らされてもいい。
それで身銭を切って読み始めてみてグイグイ引き込まれたらそれでいいし、ある人にとっては退屈でなにがどう面白いのか
分からず読み続けるのが辛くて放り出すのだってよしだと思うのです。
自由なんです。
浪人時代に気持ちが腐って孤独な日々をくり返してた時に「中国行きのスローボード」に出合い30年以上の月日が流れました。
心がシンドクなって人間嫌いがピークに達するときに最後の心理カウンセラーになってくれた存在。
文章の力は間違いなくあるから引きつけられるのでしょう。
いや文章の相性が自分と合っているというべきか。
表題の本を読んでもまた長編が出たら買って読むだろうと改めて感じた。
すこし不安になったけど(嫌いになるのかなと…)ブレなかったのでほっとした。