泣きたいときは、
人目につかないところでと、父に訓えられた。
山に、泣いた。
男は嫌いだ。
オスはもっと嫌いだ。
涙は、人間の特権だから。
見せなくていいけども、大声出さなければいい。
傍の人に、驚かせなければ。
男なら、シクシク泣けよ？
人に知れずに、静かに。
そのほうが、男らしい。
俺がしたように。
誰にも、知られずに。悟られずに。
分かってほしい。
見て見ぬふりしてほしい。
田舎の、どす黒い山々の中へ。
暗闇が、似合う時がある。
街灯もないよ。
テレビも古すぎて。
ラジオも、電池切れ。
邪神も、神も、見分けがつかない。
おれは、薄汚れた、糞だから。
糞は、糞らしく。
見極めてやるよ。
偽物か、本物かは。
オカシナことになる。
お菓子がすきな、女子が多すぎるんだよ。
お砂糖は、悪魔の杖だよ。
こういう、
男に
成りたかったの。
好きだったよ。
男は、男に惚れるのが、真実なんだよ。
女子なんか、うざったい。
酒と、薬で、そして酒場の喧嘩で。
やさぐれ。
でも、神の囁きのような、曲をたくさん作って。
天使のいたずらの、ロックを奏でて。
死んだよ。
おれも、早く死にたいよ。
素敵な、男たちはみんな早いね？
おれは、下らない、男だからいつまでも生きているよ。
泣きたいけども、今だけは開き直るよ。
いいかい？
疲れるよ。
叫びだしてもいい。
恥ずかしいけど。
社会の、落伍者になるかもしれないけど。
生きるためには、叫んでもいいんだよ？
おれは、おれは、泣いていて。
分かったよ。
他人の、目は、基準にならないなと。
だから、今は、自由に。穏やかに。静かに。
気持ちよく生きている。
それは、文章から分かるはずだね。
生きていた、感触は。
朝起きて、歯を磨いていて、分かるよ。
床の、ほこりをぬぐっていても。
あなたの、気配は。
元気に、生き生きと。
見えるよ。
嘘じゃないよ？
