いつも飲み歩く後輩がひとりで酒場に行った。
よくあることだ。
その時常連の男から言われたらしく苦笑いして私にこうおしえてくれた。
90近くの母親と二人で同居しているその常連の男は毎夕方五時半から十時まで酒場にいる。
ほぼ毎日そのバーに来るのは寂しくてどうしようもなく飲み屋の女の顔や常連の男たちの顔を見に来たくなるのだと後輩に告白したらしい。
寂しくて結婚もしたいらしい。
私は後輩から聞いて、それなら来る場所がまず違うだろと少し声を荒げて言ってしまった。
時々、こういう話を聞く。
スナックやバーなど酒場は暇つぶしに行くところなのだ。仕事での鬱憤を晴らす場なのだ。
初老の男らの嫁さん探しの場ではない。
兎は寂しすぎると本当に死ぬのだろうか。
都市伝説だろうと思うが、自分の中のうさぎが現れ始めたら狼を出して喰らわせた方がいい。
バイクで旅に出ろ。冷たい雨に打たれながら走れ。濡れたアスファルトにスリップし縮みあがりながら走れ。クタクタになりながら古びたビジネスホテルのベッドに寝転べ。
うさぎが出たら狼を出せ。
それが出来ないならばブログを開設してここで泣け。のたうち回れ。醜い自身を曝け出せ。
そして素面になった次の日に思い切り後悔をし開き直れ。
決して他人には泣き顔や寂い顔を見せない弱みを見せないで。
年老いたお母さんの介護に疲れたらバイクの教習所へ行って免許取れよ。
ツーリング行く日を待ってるぜ。