日々気になる事を記します。共感してくださる方もそうでない方もちょっと立ち止まって考えて頂ければ、うれしいです。
「対処能力超えた」原子力安全委員長、反省の弁(読売新聞) - goo ニュース
福島第一原発の事故後、23日夜に初めて、報道陣の前に姿を見せた 班目 ( まだらめ ) 春樹・原子力安全委員会委員長は「電源の喪失は深刻で予想を超える早さでトラブルが次々発生、技術陣の対処能力を超えた」と指摘。
津波という想定外の自然災害に極めてもろかった原発技術の限界を認め、「震災時にも電源を容易に確保できるなどの耐震機能が必要だ」と、反省をこめて語った。
事故直後、同委員長は、菅首相に呼び出され、官邸などで原子炉の構造や事故時の対処法などを解説したという。12日、ヘリコプターに同乗して菅首相を現地に案内した。視察中は、原子炉建屋内部で事故を処理できると見込んでいたものの、帰京直後に水素爆発が起こるなど、「トラブルが重なり、多くの対処が後手に回ってしまった」と説明した。
炉心への海水注入は、津波による被害の判明直後に決断したが、圧力を抜く弁の開閉にも、電源が必要だったことなど、「予想外の障害が重なり、注入までに数時間を要してしまったことも悔やまれる」としている。
事故や放射性物質の放出データなどを評価し、わかりやすく伝えるという委員長の役割について、会見を拒否してきた12日間を謝罪、「官邸や文部科学省へ伝えれば良いと考えていたが、今後はできるだけ市民にも事故の軽重判断、評価を伝えたい」と語った。
想定外の大災害で一分一秒を争う事態の原発トラブル。
その大変な時、菅首相は斑目氏を呼び出し
そしてヘリコプターに同乗させたと言う。
緊急時に原子炉の構造を聞くという感覚は理解できません。
それもわざわざ官邸に呼びつけて・・・・・。
おまけに上空からの視察。
原子力に詳しいかどうか知りませんが
その時その時、自分は何をすべきかわかっていません。
国民は何を求めているか、
それに対して首相として何をするのか。
菅首相の依頼を断っていたら、結果は違ったのかどうかはわかりませんが
少なくとも菅氏も委員長も本来の自分の職務に
専念できた事は間違いないでしょう。
この辺も菅氏は首相の資質に欠けると言えます。
http://takedanet.com/2011/03/27_c745.html
原発 緊急情報(27) なぜ、そんなに違うのか?
(昨日、3月23日になって、メールのご返事が時間的にできなくなりました。申し訳ありません。全数、読んではいます。そこでご質問を中心にブログをすこし詳しくして書きます。)
今日は、「法律の規制値では厳しい数字が出ているのに、政府やテレビでは大丈夫、大丈夫と言っているのは、どうしてそんなに違うのか」ということを説明したいと思います。
多くの人がこれに疑問を抱いてどちらが正しいかと心配しているからです。
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すでに述べたことですが、単なる計算間違いがあります。
「20マイクロは大したことない。1回のレントゲンが600マイクロだから」
といった東大教授はかけ算ができずに間違っただけです。
20マイクロは1時間あたりですから30時間で1回分のレントゲンにあたります。
もし20マイクロでも大丈夫と言っていると福島市に住んでいる幼児は1ヶ月に24回のレントゲンを受けることになります。
このような計算間違いは人の命に関することですから、この際、テレビは責任を持って一度修正をしておいたほうがいいと思います。
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「54000ベクレルのホウレンソウは大丈夫だ。規制値の3000ベクレルは毎日、1年間、食べ続けた時の値だから」
と言った広島の放射線の専門家も割り算ができなかっただけで訂正が必要です. 54000のホウレンソウは水洗いした後の茨城産のホウレンソウです
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54000を3000で割ります. そうすると18になります。つまり規制値の18倍です. 365日を18で割ると20日になります。毎日、ホウレンソウを食べると20日で規制値を超えます
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毎日でなくても、1ヶ月に20回食べると1年分の規制値を超えることになります。
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「ヨウ素の半減期は8日だから、すぐなくなる」
と言う人が多いのですが、規制値はもちろん半減期を考慮しています。専門家が議論して決めている数字ですから、半減期は大切な数字で、それを入れているのは当たり前です
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特に、現在のように継続的に原発から放射線物質がでている時には、半減期はほぼ関係がありません。(つぎから次と新しいヨウ素が降っているから)
・・・・・・・・・さて、準備を終えて・・・・・・
一般人が1年に浴びてもいい放射線の量は、1ミリシーベルトと決まっています。これに対して、テレビの専門家は100ミリシーベルトまで大丈夫だと言っています。
この100倍の差は何でしょうか。
まず第1に国際的な取り決めです。例えば食品ですと日本だけが特別な規制をしていると輸出ができません。日本の食品を絶対に輸出しないと決めれば、日本だけの規制ができますが、それは無理なのです。食品以外でも日本だけが規制が緩いと外国人旅行客や外国企業の進出も難しくなります.
そこで今まで放射線についてはICRP(国際放射線防護委員会)、食品についてはWHO(世界保健機構)の規制を使っていました。この震災で規制要求に高くすることになりましたが、そうすると外国は日本産の食品の輸入を禁止すると思います。
2番目の理由は、放射線をあびる原因を一つだけに限定するとテレビで言っているように100ミリシーベルトぐらいでも安全ですが、その人はレントゲンを受けたり、今度の事故のように、空気からの被曝、水からの被曝、ホウレンソウからの被曝、牛乳からの被曝などいろいろなところから放射線を受けます。
これだけなら5種類ですが、例えば10種類の被曝原因があると100を10で割って規制値は10ミリシーベルトになります。
さらに人間にはいろいろな人がいて、赤ちゃんや妊婦、それに放射線に感度の高い人がいます。赤ちゃんは3倍ぐらい感度が高いので、10を3で割って、3mm シーベルトぐらいになります。
わたくしの知っている限りでは、日本の規制値の議論では3ミリシーベルトぐらいが良いということもありましたが、国際基準が1ミリシーベルトなので、1990年の国際勧告に従って1ミリシーベルトになっています。
ただ日本国内だけの法律ではこれの5倍から6倍ぐらいになっていますが、いずれにしても1年で5ミリシーベルトぐらいより大きな数字は非現実的です
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そもそも、この値のもとになっている「電離放射線障害防止規則」は昭和47年に制定されて平成23年の1月14日に改正されるまで、長い間の議論を経てますから、それが突然おかしな数字だというのも奇妙なことなのです。
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推定ですが、テレビに出た専門家は悪意はなかったと思いますが、規制値をそのまま言うと福島市の人が怯えてしまうのではないかとか、疎開する先がないとか、水が飲めなくなるとどうするかとか、ほうれん草の代わり何を食べるかということを心配されたのではないかと思います。
これは考え方の問題ですが、私はそのようなことは専門家が発言すべきことではなく、専門家をあくまでも自分の専門に沿って正しいことをいうべきだと思います。
また、「安全である」というのが風評を煽ることなのか、規制値をそのまま言うのが煽るのかは簡単ではありません。
わたくしが風評の専門家に説明を受けた時には、「風評とは正しい情報が伝わらない時に起こる」と教えていただきました。
煽るか煽らないかというのは専門家が考えることではなく、専門家は事実を述べるだけで、あとは行政とか政治がそれをどうするかを決めるべきだとわたくしは考えています。
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数字が大きく違う第三番目の原因は、今回の事故はどのくらい長く続くかという見方にあります。
1週間で終わるというならば、1年間に1ミリシーベルトという基準値は厳しいでしょう。
1ヶ月で終わるというならば規制値を12倍ぐらいはできます(12ミリシーベルトまでOK)。
さらに原発から出る放射性物質の大物は半減期が30年ぐらいありますから1年以上影響があるとするならば、最初から1年ぐらいの規制値を考えておかなければならないということになります。
これが「直ちに健康には影響がない。」という言葉になって繰り返し言われるようになりました。
確かに福島原発が爆発してから2、3日の時点では、すぐ収束すると考える人と、少し長引くと思っている人がいたと思います。
わたくしのスタンスは、すぐ終わっても長引いても、一応は安全サイドで考えておいて、すぐ終われば「それでよかったな」と思うというのがわたくしの考え方でした。
なにしろ、相手が放射線ですから、このような見方をするのが今までの規制の考え方でもありました。
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極端に心配する必要はありませんが、一度浴びた放射線は体の免疫力以外に回復するのは難しいので、できるだけ注意して生活をするという必要があると思います。
従って、すでに言っていますけれども、福島市の人は危険ですが、東京の人はまだ余裕があるというのが現状ですから、それを全体的に頭に入れて行動されるのが良いと思います。
(また時間を見てブログを書くことにします。また十分にチェックする時間がなく、誤字脱字が多く皆さんにご迷惑をおかけしています。どうぞご容赦ください。)
(平成23年3月24日 9時 執筆)
武田邦彦
http://takedanet.com/2011/03/26_cb62.html
原発 緊急情報(26) 赤ちゃんをお風呂に入れても大丈夫?
福島原発が爆発して放射線をもつ「粒(目に見えない小さな粒)」がホワーと原発の上に立ち上りました。イメージとしては小さな火山が噴火して火山の煙が立ち上ったようなものです。
福島原発は太平洋に向いていますし、風は西風なので、ホワーと舞い上がった「粒」は風にのってほとんどは太平洋にいったと思いますが、わずかの「粒」がどうも北西(福島)の方と、南に行ったのです
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つまり、福島原発から放射線が四方八方に飛んででたのではないので、そこを誤解すると(国がそのように説明したから誤解しても無理はないのですが)、判らなくなります
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ホワーと上がった「放射線の粒」は風にのって福島市などに行きましたし、遠くは利根川上流にも飛んでいきました。
福島市の「放射線」は20マイクロ(シーベルト)ぐらいになったのですが、その時の様子を詳しく書きます。この情景を思い起こせれば、「東京の水は飲んでもよいの?」、「子供をお風呂に入れても良いの?」ということもわかります。
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情景を目に浮かべるために、自分(読者の方)が「目に見えない粒」に変身して、風に乗り、福島原発から福島市まで飛んでいったとします。
上空から見ると福島市が見えてきます.そこで風が弱くなったので、徐々に下に降りてきて、地上1.5メートルぐらいで止まりました。
そこに文科省の車がきて「放射線」を測ります.そこで測っているものは「粒から光のようにでる放射線」です。
つまり、福島原発から放射線(光のようなもの)が飛んでくるのではなく、「粒」が飛んできて、その「粒」から放射線がでるのです。
文科省の車が行った後、読者のお一人がそこを通りかかるとします。「粒」は放射線を出し続けていますから、その人は、まず「粒からでる放射線で被曝」します。またその人は人間ですから、息をすって呼吸をします.その時に、「粒」はその人の肺に入ってしまうのです
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つまり、「粒からでる放射線(外からの被曝)」と「粒を吸い込むので、体内での放射線(体内からの被曝)」の二つの放射線をあびることになります。
おそらく、今の福島市役所は、「飛んできた粒」から放射線をあびること、その後、自分がその「粒」を吸い込んでしまう事を知らないのではないかと思います。
だから、マスクがいるし、雨が降ると放射線が上がるのです。
また外出するとその「粒」が衣服に付着しますから、家に帰ったら玄関の外でティッシュで拭かなければなりません。
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実はここで読者の方に謝らなければならないことがあります。
放射線の法律によると、「ある場所」の「実効線量(放射線の量)」は「外からのもの+体内からのもの」を合計することになっています.たとえばそれが3ヶ月で1.3ミリシーベルトになりそうだったら、「管理区域」にしなければならないなどとなっています。
この通達は文科省からでているので、同じ文科省の発表だから発表される数値はこの2つの合計と思っていたのですが、今日、調べたら、もしかすると「外から」だけかも知れないのです。
かなり調べましたが、まだ判りません。
もし、文科省が公表している放射能が外からだけのものなら、それを約2倍しないと正しい放射線の量になりません。
約2倍というのは、チェルノブイリの時には、「外から」と「体内から」の比率はおおよそ同じでした。だからもし文科省のデータが「外から」だけなら、2倍にしなければなりません。
福島が20マイクロなら正しくは40マイクロになります。もう少し調べます
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ところで福島市に降ってきた「放射線を出す粒」は人の肺に入るだけではなく、地面、ホウレンソウ、どんな作物、樹木、ネコ、イヌ、川、ビルにも降り注ぎます
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「粒」はえり好みしませんから、どこにでも同じく降ります。ただ、人間、ネコ、イヌ、ウシなどの動物は呼吸するので、体の表面につくと同時に肺に入るというだけ余計に被曝します。
このように「粒」がおおよそでもイメージできると、「なぜホウレンソウ?」、「なぜ水道?」というのが判りますし、「ホウレンソウはどのぐらい危ないの?」、「水道は飲んで良いの?」というのも判ります
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「放射線をだす粒」はどこでも誰でも何でも「平等」に降ります. 人間も、イヌも、土も、ホウレンソウも、小松菜も、川にも同じく降ります
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ということは、ザッと言って、「自分が汚染されると同じく」、ホウレンソウもウシも川も汚染されます.もちろん、「粒」は野菜の好き嫌いもないので、どの野菜がどうということはありませんが、「根菜類」は地下に潜っているので、汚染されません。
ホウレンソウが汚染されているのは、「粒」が降ってくるからです
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牛乳が汚染されているのは、ウシが呼吸するときに「粒」を肺にいれるからです。
水道水が汚染されるのは「粒」が川にも落ちるからです
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だから、ザッと言うと{「自分」+「食べた野菜」+「飲んだ水道水」+「飲んだ牛乳」}になります。汚染されたものを体に入れれば、自分が被曝した量が何倍かになりますので、できるだけ採らない方が良いと言うことになります。
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そうすると次のことも判ります。
「なぜホウレンソウ?」・・・「ホウレンソウだけ測定したから」
「なぜ水道水?」・・・・・・「川から水をとったから」
ということになります。
でも、良いこともあります。「粒」は平等に降りますから、自分にも川にも同じだけ降ります。だから「ドンドン汚れる」というのではなく「自分が汚れたと同じぐらい汚れる」ということですから、限度があるのです。
その点では限度があるから安心です
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また、赤ちゃんをお風呂に入れると水道水からの放射線をあびますが、人間の皮膚は放射線に強いので、飲むのに比べれば10倍で同じぐらいになります。
(非常時の被曝ですが、皮膚は10倍大丈夫とされています。)
だから、お風呂は大丈夫です。回数をやや少なくするのも良いと思います。
また「粒」は「こすると落ちやすい」という性質がありますから、お風呂からでたら良くタオルで拭いて上げるのも良いでしょう
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読者の方からのご質問が多いので、時間の許す限り書いていきます。特に、水、洗濯、台所で使う水、安心な食材、ベクレルとシーベルト、体外被曝と体内被曝、規制値がなぜ低い値になっているのにテレビに専門家は高い数字を言うのか?など数字が入る難しい問題も徐々に書いていきます
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(平成23年3月23日 午後9時 執筆)
武田邦彦
http://takedanet.com/2011/03/25_c10b.html
原発 緊急情報(25) どうすれば良いのか? その4
ここでは、これまで3回の「どうすれば良いのか?」のまとめをできるだけわかりやすく説明する積もりです.
福島原発が爆発して、膨大な放射線物質が放出されました。その時、危険性は「1倍から25倍」の範囲でした。つまり、1倍というのが3月15日、25倍が将来で、爆発規模で10倍はあり得るし、プルトニウムで2.5倍の危険性があると私は考えていました。
これは、政府、NHK等が繰り返していた「もし注水に失敗したら大量の放射線がでる」、「きわめて深刻な事態に陥っている」という文学的表現を、私の判断(過去の実例と理論など)に基づき数値で示したものでした。
それが今は「1倍から2倍」に入るようになりました。1倍から2倍ぐらいになると、具体的にどのような行動をとればよいかが決まります。そこで、緊急情報(22)「被曝限度」と(23)「地域ごとの被曝量」の表を出したのです.
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たとえば、福島の人の被曝量は、1時間あたりの量として(体内も含む)6マイクロから12マイクロですから、おおよそ10マイクロぐらいです。東京は1から2ですから2ぐらいと考えます. そして、汚染が1ヶ月で終わるとして(少し甘いが)管理区域(被曝量を測定し、健康診断を行う)として注意するのが7マイクロですので、福島市の人は「組織的に管理区域に入る」レベル、東京は「個人的に注意する程度」であることが判ります.
一方、女性(赤ちゃん)の場合は6マイクロですから、福島市の女性は1ヶ月以内に移動するか、何らかの対策をとる必要があります(放射線の法律によればということです)。
男性は68ですから、どの地域でも汚染された食品をとらなければ大丈夫です.特に年配の男性は問題がないレベルになりました。
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ここまで来ました。
でも、昨日の福島の放射線を見ると、もっとも高いところが90もありました(原発から30キロより外ですが)。そうなると、その地域におられる人は福島の9倍になりますから54となり、女性はもちろん待避しなければなりませんし、男性もギリギリになるので、1ヶ月たったら移動が必要です.
このことで判るように、15日あたりからご自分が住んでいるところの毎日の放射線の平均をとって、得られた値を、その期間の総時間で割るのです。それが2になるか10になるかがでると完璧に自分や自分のご家族の被曝量を計算できて、しかもそれが危険な状態かも判ります。
たとえば、15日から、2(マイクロ/時)、3,6,1,4と5日間の平均の値が判れば、2+3+6+1+4=16で、それを5でわると、“3.2”になります。それを緊急情報(22)の表と見比べると、「被曝量は管理し、健康診断を受ける必要」があることが判ります。
ただ、同じ表の「テレビの専門家のコメント」より値はかなり下回りますから「直ちに健康に影響」はでませんから、すぐ入院などは不要です.
ご自分の被曝量を計算しておけば、これからも放射線量を見ていればだいたい、見当がつきます.
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問題は、「体内被曝」です。これからは外部被曝が減ってきて、体内被曝が増えてきます.当面は「外部=体内」として外部の2倍にしておくのが良いでしょう.
というのは理由があります。外部と体内は「同じ原因」で起こるからです.
福島原発が爆発して飛散した放射線物質は「その場所に飛んでくるから」放射線の量が上がるのです.その物質は、衣服につき、土に潜り、野菜に乗り、川に降ります.だから、空気中に漂う放射線物質がそのまま、放射線の量にもなり、野菜の汚染にもなるからです.
次のブログで説明しますが、ホウレンソウとか水道水だけが汚染されているわけではありません。小さい粒が空気中を飛んで来るのですから、作物の種類にもよらないのです.
牛乳が汚染されているのは草を食べるからだと解説されていましたが、おそらくは今のウシは牛舎の中で昨年とった乾燥した草を食べているとしたら、飼料には放射線はないと思いますので、空気中の放射線物質を吸い込んだからでしょう。これは人間でも同じです.
少し飼育の状態を調べて見たいと思います。
福島県の人に悪いのですが、福島産の作物はすべて汚染されているはずです.残念ですが事実は事実です(福島と言っても、会津の方は汚染が弱いので少ないと思います.また、放射線レベルが2マイクロ(毎時)以上のところ、茨城の北、栃木の北なども汚染されている可能性があります。
(その地域の人には申し訳ないのですが、このような時には事実が大切ですから。空気中を飛んでくるので、どうしても汚染されます.)
(平成23年3月23日 執筆)
武田邦彦
http://takedanet.com/2011/03/post_7405.html
ショート警報 かけ算のできない東大教授
食品で、危険な兆候が見られましたので、言葉足らずですが短い警告を出したいと思います。
福島原発事故の最初の段階に福島市で1時間に20マイクロ(シーベルト、後は省略)の放射線が観測されました。
これに対して、テレビに出ていた東大教授が、「1回のレントゲンで600マイクロだから、それの30分の1。まったく問題がない。」
と発言しました。
東大教授は「かけ算」ができないのです。
20マイクロは1時間あたりですから、30時間たつと600マイクロになります。従って、福島市に住んでいる赤ちゃんは1ヶ月に24回のレントゲンを受けることになります。
このようなことをコメントするというのは、わたくしはやや犯罪とも言える気がします。
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本日、似たような事が民放でありました。
民放のある解説者がほうれん草の汚染について解説をし、「ほうれん草の汚染が基準値を超えているといっても、100ミリになるまでには80キロ程のほうれん草を食べなければいけない。」
といってほうれん草の安全性を強調していました。
もともと100ミリ等という基準値はありませんし、ほうれん草等の食品中の放射性物質の規制が厳しいのは、原発から放射線が漏れるような時にはほうれん草だけが汚染されているわけではないのです。
また、ほうれん草の中にはヨウ素だけではないので、30年の半減期を持つものが多く、ヨウ素の半減期を言っても意味がないのです。この解説者の言うことを信じれば、放射線の疾患になる人が出てくるでしょう.規制値は規制値なのです。
東大の先生が「かけ算ができない」とすれば、この解説者は「足し算ができない」といえます。
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このところ情けない解説が続くので原子力の技術者としてのわたくしの信念を申し上げます。
科学技術は人類に貢献するために行うのであって、決して人類の健康を損なっては、やるべきではないのです。
わたくしたち原子力に携わる技術者は原発から出る放射線を絶対に基準内に収めなければなりません。むしろ、自然放射線と違わないぐらいに減らして十分に安全な状態で原子炉を運転し、エネルギーを供給することこそが、わたくしたち技術者のプライドなのです。
この期に及んで、放射線の規制値の解釈をごまかし、被曝する量があたかも少ないようなことを言う原子力関係者がいることは本当に恥ずかしいことです。
わたくしたちは福島で失敗し、信頼を裏切ったのです
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せめて正しい情報を伝えるべきです。また、農作物が売れなくなって農家の方は大変でしょうが、魂のある農家の方なら自分の作ったもので消費者が健康を害することを望むでしょうか?
農家は被害者、技術者は加害者ですが、共に与えられた天職に対してプライドがあります。
(平成23年3月22日 午後5時 つい執筆)
武田邦彦