人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

熊野詣 PART3 --日本遺産の町 湯浅――

2024-05-16 17:12:15 | 旅行

湯浅の町といってもピンときません。場所のは和歌山市から南下して有田川を越した先にあります。もう少しイメージを膨らませるために『熊野古道』(小山靖憲著 岩波新書)を参照して、建仁元年(1201)の後鳥羽上皇第四回目の熊野参詣の足取りを辿ってみましょう。(後鳥羽院熊野御幸記)この参詣時には『明月記』を書いた藤原定家も随行していますので、参詣途中の宿泊地で頻繁に和歌会が開かれています。この10月5日に京都の鳥羽を出発した参詣記の行程は次の通りです。

まずは紀伊路。5日 鳥羽~天王寺(泊) 6日 阿倍野王子~平松王子(泊) 7日 井口王子~厩戸王子(和歌会・泊) 8日 信達一之瀬王子~藤代宿(泊)※現和歌山市付近 9日 藤代王子~湯浅宿(和歌会・泊) 10日 井関王子~重輔庄(泊) 11日 塩屋王子~切部王子(和歌会・泊)※現御坊市付近 12日 切部中山王子~出立王子(泊)※現田辺市付近 13日 秋津王子~滝尻王子(和歌会・山中泊)いよいよ中辺路に入ります。 14日 重點王子~湯河宿(泊)※現ひすいの湯付近 15日 湯河王子~発心門王子(泊)※国道311から離れ発心門という場所があります。 16日 内水飲王子~本宮(和歌会)※京都を発って12日目にやっと本宮に着きました。 17日 本宮(泊) 18日 本宮~新宮(和歌会・泊)※本宮からは熊野川下り。 19日 新宮~那智(和歌会・泊) 20日 那智~雲取・紫金峰~本宮※熊野川でなく山道で本宮に戻る。 21日 本宮~近露(泊) 22日 近露~磐代(泊) 23日 小松原~湯浅(泊) 24日 蕪坂~信達宿(泊) 25日 大鳥居~山崎(泊) 26日 鳥羽~帰京 --湯浅の宿は京都を発って5泊目。まだまだ序盤ですが、少し熊野詣の旅にも慣れてきたころかと思われます。

さてツアーでの湯浅は、日本遺産でもある重要伝統的建造物保存地区散策がメインです。この湯浅は醤油醸造の発祥地で有名であり、天保十二年(1841)創業の角長という醬油屋さんと金山寺味噌の太田久助吟製の二つの店で醤油と名物金山寺味噌を買い求めました。旅の楽しみは地元の名産品を土産で持って帰ることですね。この金山寺味噌を毎日少しづつなめて、都度、旅の思い出に浸っています。

そしてもう一つ忘れていけないのが、湯浅は高山寺の中興開祖である明恵上人の出生地であることです。湯浅の海岸から有田川を遡った金屋という地の出身でした。『明恵上人伝記』(平泉洸全訳注 講談社学術文庫)によりますと、明恵上人の名は高辨といいますが、母親は湯浅宗重の娘。そして湯浅宗重は平治の乱のときに平清盛を加勢したことで知られています。承久の乱のときに朝廷方の敗残兵、婦女子を匿った明恵上人ですが、これも因縁でしょうか。今回のツアーではゆかりの地は訪ねませんでしたが、明恵上人が育った地に足を踏み入れただけでも大満足でした。

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