木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

ダイシン百貨店

2010年03月17日 | 日常雑感
大森というのはれっきとした東京なのだが、川崎にも近く、下町の匂いする街である。
ここにダイシン百貨店というデパートがある。

不況にあえぐデパートが多い中、この百貨店は業績がいいらしい。
地元密着型で、スーパーに近い。

このデパートで凄いのは、とにかく品数が多いこと。
納豆は15種類、トマトは30種類、豆腐は50種類もある。
歯ブラシに至っては300種類もあるし、粉歯磨きや洗濯板、亀の子たわし、ハエトリ紙まで置いてある。

こんなものを買う人間がいるのかと思うような商品を大量に置いてあるが、それが逆に客寄せになるのだから、面白い。
売れ筋の商品を絞って置くというのが、コンビニなど現代店舗の常識なのだろうが、無駄という「損」の中に「得」は潜んでいるのかも知れない。
ダイシン百貨店の社長は「あえて変わったものを置いているのではない。年1個しか出ない商品でも必要な人がいるなら置いておく」と言っていた。
まったく誰も買わない商品であれば、商品として存続するわけはない。
自分が「こんなもの」と思っても、どこかで誰かが必要としているのだ。
百貨店が「百貨」を置かないで、「数貨」の売れ筋商品しか置かないというのでは、本末転倒なのだろうが、いつの間にか、本末が逆転してしまって「百貨」を置いていない百貨店のほうが主流になってしまった。
経済性と利便性を追求した辺りに現代型デパートの行き詰まりがあるように思えてならない。

調べてみると、ダイシン百貨店は1964年に開業。その後、イケイケ路線で340億の売上を誇ったこともあるが、おごれるもの久しからずで、その後、80億まで売上が大幅に後退し、経営陣が交代。
かつての勢いはなくなったが、今は地元密着型をめざし、黒字経営化に成功している。

今の世の中はせっかちで早急に結論を出さねばならないから、あまり悠長なことも言ってられない。
だが、焦ってもダメな時はダメ。
ダイシン百貨店も、回り道をしたが、本来の「主流」を行く百貨店に戻り、少しづつ成功を収めているのかもしれない。

ダイシン百貨店HP



人気ブログランキングへ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする