木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

シャネル&ストラビンスキー

2010年03月15日 | 映画レビュー
「シャネル&ストラビンスキー」。
タイトルからして、スタイリッシュな映画だ。
作曲家ストラビンスキーを自分の別荘に招き、シャネルがパトロンになったという史実から、映画はストラビンスキーとシャネルが恋仲にあったという大胆な仮説を打ち出し、ストーリーの核としている。
さらに、「春の祭典」と「シャネルNO5」は、お互いにインスパイアされ、出来上がったというストーリーとなっている。
描き方によっては、随分と高慢で嫌味な女になってしまうシャネルも、ぎりぎりのところで嫌味な女になっていない。
かといって、実は弱い女だったんだ、というオチにはなっていない。心理的な揺れもあったのだろうけど、映画では揺れはあまり描かれておらず、強い女として一貫して描かれている。
芸術への理解と寂しさからストラビンスキーに傾倒していくシャネルと、肉欲でシャネルに近づいていくストラビンスキー。
「俺は芸術家だが、お前は洋服屋だ」とストラビンスキーが怒鳴るシーンが、彼の内面をよく表している。
ストラビンスキーは、妻とシャネルのどちらかを選択できず、また、二人の女を器用に扱うこともできない。
大胆で自信家のシャネルに対し、ストラビンスキーは小心で几帳面。
酒で酔って、八つ当たり気味でピアノを弾くくらいしか、ストラビンスキーにはできない。
作曲は奥さんに校正させたあとで、完成。
少し、ストラビンスキーの描き方が可哀想だが、芸術家の私生活とはこんなものかも知れない。
意識して感動的な演出を抑えているのだろうが、淡々と物語は進み、突然終わる。観終わったあと、映像の綺麗さばかりが印象に残った。
お勧め度は、★三つ(五つが満点)。

シャネル&ストラヴィンスキーHP



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