木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

梁川星巌の肖像画

2009年06月30日 | 江戸の学問
中原中也は、帽子を被った写真が有名である。中也というと大抵の人が頭の中に思い浮かべる例の写真である。
この写真は非常に写りがいい。いかにも「汚れちまった悲しみに」を書きそうな純真な青年に見える。
もし、この写真がなかったら、中也の人気はこれほどのものにならなかったかも知れない。

梁川星厳。妻、紅蘭。
まるで中国歌劇俳優の名前のようであるが、れっきとした日本人である。名前の持つ語感から、美男美女を想像する人もいるかも知れない。
しかし、今に残る二人の肖像画は、もう少しどうにかならなかったのか、と思ってしまう代物である。
中国への憧れがあり、多分に唐化された絵であるとしても、あまりにも、という絵だ。
当時と今では美的感覚に大きすぎるずれがあるのだろうか。
妻の紅蘭の絵もひど過ぎる。
せっかくの肖像画なのだから、もう少し何とかならなかったのだろうか、などと思ってしまう。

梁川星厳。
寛政元年(1789年)に大垣に生まれ、安政の大獄がまさに吹き荒れようとする安政五年(1859年)に70歳で亡くなっている。記念館は、星厳生誕の地に建てられている。
幕末当時、星厳は詩の世界において、非常に有名であった。
吉田松陰や頼山陽とも親交が深く、尊皇思想のPR塔のような役割も果たした。
その知名度が今では低いのは、当時星厳が名を成した七言絶句などの詩が現代では全くマイナーな分野になってしまったからでもある。

星厳が著名であったのは、津の『有造館』督学(校長)も経験した土井贅牙と弟子との会話でも分かる。
あるとき、九州の広瀬淡窓が津藩にやってきた。
その際に、門人が贅牙に向かって「先生は淡窓に会いに行くのですか」と質問したが、贅牙は次のように答えた。
「余は、昨年に梁川星巌が来た際も会わなかった。星巌にすら会わなかったのだらから、淡窓などに会う訳がない」
非常にプライドの高さを感じさせる発言であるが、別の捉え方をすると、梁川星巌の評判はそれほど高かったのだという裏付けにもなる。

星巌は、奇人であることがことさらに強調されがちであるが、作風や思想を見ると、奇をてらわず、むしろ正統派といってもいいものであることが分かる。
彼が考えていた代表的な考えとしては『三教由来同一源』というものがある。
これは「その教えの源を遡っていけば、儒・仏・道の三教相違ならず」というもので、合理的な考え方である。

しかし、行動をみると、やはり奇人としての行いも多い。
新婚後まもなく、さしたる理由もなく家を出てしまい、二年間もの間、留守にしたこともあった。
妻の紅蘭もよくその奇行に耐えた。というよりも、むしろ奇行に自ら参加している、といったほうがいいのかも知れない。

星厳は、美食家であった。
大坂に旅した折り、時季はハモの頃。
当時、大坂ではコロリ(コレラ)が流行っており、ハモを食べるとコロリに感染すると言われていた。要するに生ものに菌が付着していたのであろう。
ハモが食べたくなった星厳は、友人からコロリへの感染が心配なので食べないように言われるが、星厳はどうしてもハモが食べたくなって、食したところコロリに罹ってしまったというのである。
なんとも人間臭い話である。

梁川星厳記念館 大垣市曽根町1-772 華渓寺境内  0584-81-7535
           (入館無料。会館時間などは問い合わせたほうがよい)
 



記念館裏手にある曽根城公園内にある星厳と紅蘭の像。ふたりとも「普通の」顔をしている。


星厳肖像画。まるで伝説の仙人といった趣。


なんか意地悪そうな顔の紅蘭。紅蘭は旧名を景と言い、星厳の又従兄弟であり、生徒でもあった。一回りも年の違う紅蘭は夫をよく理解した。夫唱婦随と言われ、5年の間、西国を中心に諸国を漫遊した。二人の肖像が美男美女に描かれていたら、JTBあたりの旅行会社のCFに出ていたかも知れない。

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激安弁当 200円 かけはし

2009年06月26日 | B級グルメ
最近、不況のせいで弁当類が安くなった。
外で食べると1000円近くするのに、弁当だと500円くらいが主流で、家計は助かる。
以前、260円弁当というのができて驚いていたら、最近、200円弁当というのを発見して更に驚いた。
場所は、新栄。中途半端なビジネス街である。
あまりに安い弁当は午後から力が入らないのではないかと思い、敬遠していたのだが、やっと今日になって買ってみた。
価格が価格だけに多大な期待は抱いてはいけないと思いながら……。
具の内容は、ワカサギのフライ、シュウマイ、ミニコロッケ、唐揚げ、野菜炒め、人工蟹肉のフライ、とそれぞれの量はミクロながら種類が多い。注文するとジャーからご飯を盛ってくれるので暖かいご飯が食べられる。
善戦である。
全体に量が少ないのかな、と思って99ショップでぶっかけ蕎麦と冷や奴を追加購入。
これでも、410円である。
量が少ないかな、と思った200円弁当は、そんなに量が少ない訳ではなく、かなり満腹になってしまった。
これでは、眠くなってしまって、午後から力が入らない。
なんだ、それ~。


200円弁当の全体図。


410円にグレードアップされた図。

この200円弁当は 「かけはし」にて購入。 名古屋市中区新栄3-3-25

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ミーシャ ホロコーストと白い狼

2009年06月25日 | 映画レビュー
映画「ミーシャ ホロコーストと白い狼」を観た。
事実は小説より奇なり、という。

この映画は、世界17カ国で翻訳され大ヒットとなった「少女ミーシャの旅」を原作としている。
ナチスにより両親を連れ去られた8歳の少女が単独で3年もの日々をかけてベルギーからウクナイナまで両親探しの旅に出るユダヤ版「母を訪ねて三千里」の世界である。
その距離は片道2400km。日本でいったら九州から北海道くらいの距離を往復することになる。
ほとんどが徒歩で、しかも町中だけではなく積雪のある山間部も通過している。
防寒着も着ていないのに凄い。
腹を空かせた狼と出会っても襲われることなく、いきなり狼がなついてきたとしても、事実なら納得せざるを得ない。
戦争という過酷な状況が火事場の馬鹿力を出させたのかなあ、と思って映画を観ていたのであるが、後に知ったところによると、この小説はフィクションだそうだ。

ええ~?!

もとは、ノンフィクションとして出版されたが、読者から疑問の声が上がり、その後、作者が「事実ではない」と謝罪した。
もっとも、作者はノンフィクションとして売り出したくなかったそうなのだが、出版社の意向により、ノンフィクションとして売り出したとのこと。真実はどうなのかよく分からないが、いかにも出版社の考えそうなことではある。

映画の予告なども、何となく実話に基づいているかのような印象を与えさせるのは、フェアではないなあ。
だからといって、映画の出来が悪いか、というと、そうではない。
映画の中では、経験した者でない知りえないようなリアリティさを感じさせるところが随所にあり、それがまた、この映画をノンフィクションぽくさせている。
フィクションとしてみると、ストーリーが確かに強引なのだが、史実を含んだファンタジーとして捉えると、納得できる。
ナチスに両親を連行された子供達は、みなこの映画のストーリーのような夢を見ていたのは事実であろう。
そういった意味では、この映画は確かに「真実」である。

押しつけがましい演出がないのもよかった。監督の感情はミーシャの生きる執念を刻々と描いていて、それが取りも直さず戦争に対するアンチテーゼになっていた。
戦争は、どんなことがあれ、正当化されるべきではない。

お勧め度は、65%。



「ミーシャ ホロコーストと白い狼」HP

主役子役女優マルチダ・ゴファールのインタビューHP

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江~どる

2009年06月23日 | 日常雑感
先日、TVのクイズ番組を観ていたら「歴ドル」という人々が出ていて驚いた。歴史に詳しいアイドルらしい。
今、「~ドル」というのが流行らしくて、調べてみると鉄道に詳しい「鉄ドル」、魚に詳しい「魚ドル」、旅に詳しい「旅ドル」など先に言ったもの勝ちのような状況である。
中には粘度作りが得意な「ねんどる」、アニメのお面をかぶった「アニ顔星人」、人を苛つかせる「イラドル」などよく分からないのもあるが、「歴ドル」「鉄ドル」「魚ドル」を名乗る人は相当努力しているのではないだろうか。
好きこそものの上手なれ、とは言うが、これらのキャラは「可愛いくせにマニアックに詳しい」というところが求められそうだからである。
歴史、鉄道、魚。どれも、マニアが存在する世界。
中途半端な知識では、逆に不評を買いそうである。
この「~ドル」というのは、先手必勝。
自分から早く名乗ったほうが勝ちであるが、中にはネーミングしにくいものもある。
キックボクシング好きやコーヒー好き、あるいはガーデニング好きなんてのはなかなかにネーミングしにくい。
犬好きなアイドルは「プードル」か。段々、オヤジギャグじみてきた。
ジャンルにも、成り立たないものがある。
野球やサッカーではメジャーすぎて今更名乗れない。将棋や碁、あるいはダーツやビリヤードのように競技と成立しているものでも当然ムリ。
そこで新しいものは・・・、と考えた。
歴史の線でいけば、刀に詳しい「剣ドル」、城に詳しい「城ドル」、徳川親衛隊の「徳ドル」なんてのはどうだろう。
「歴ドル」といっても古代史から近代まで詳しいというのは、かなり苦しいところなので、もう少し時代を区切って、江戸に詳しい「江~ドル」なんてのはどうだろう。
「江~ドル」これはいい。商標登録して置こうかな。
その前に、自分で名乗ってしまえばよい。
だが、「江~ドル」というよりは、どう見ても「江~おっさん」です。
ちゃんちゃん。


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ソースに火を入れる

2009年06月22日 | B級グルメ
知らなかったのであるが、串揚屋さんなどソースにこだわるお店では「ソースに火を入れる」らしい。
一から手作りにこだわるお店もあるが、市販のソースに手を加えても美味しさに大差はないそうだ。
素人である私などには、魅力的な発言だ。
もちろん、詳しいレシピなどは聞ける訳もないが、適当に作っていっても、市販のものよりは、改良されておいしくなるはず。
そう前向き(?)に考えて適当に作ってみた。
まず、オリーブオイルでニンニクを炒め香りが立ってきたところでニンニクを取り除き、白ワインを投入。軽く煮立てたら、市販の中濃ソース、トマトジュース、醤油、タバスコを投入し、よくまぜて完了。
こんな適当なレシピでも、なかなか美味しい。
このソースはシンプルにキャベツで味わうことにする。
キャベツは、冷水につけておくのがポイントとなる。
1時間ほど冷水に浸し、よく水分を吸収したキャベツをこのソースで食す。
なかなか、おいしかった。




手前が(半)手作りソース。向こう側は自家製ポン酢。

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きざみ蕎麦

2009年06月17日 | B級グルメ
関西に行くと、きざみうどん(きざみそば)というメニューがある。
このメニューは、なぜか関西以外ではほとんど聞かない。
きざみ、というのは薄揚げを刻んだ具である。
この刻んだ薄揚げが麺の上にトッピングされる。油揚げと違って甘くないので、個人的にはとても気に入っている。
新大阪に着くと、「杵屋」の立ち食いで一杯、大阪まで行って環状線ホームの立ち食いでもう一杯食べるのがお気に入りだったが、先日、新大坂へ行くとホームの「杵屋」がなくなっている。何でも、4月末で閉店だそうで、残念至極である。
以前はJR大坂駅北口の立ち食いが好きだったのだが、その店も北口開発に伴って随分前になくなってしまった。
杵屋、お前もか!という感じで残念である。
気を取り直したところで、大坂駅ホームの立ち食い「シオヤ」へ行くと、ここはしっかり健在である。
以前と変わらぬ味。かなりB級だけど、安心できる。
そういえば、天かすが入れ放題なのは、大阪ならではのサービス。そのサービスがある店も段々と少なくなってきた。
東京でいえば、ネギが入れ放題の店があるが、それと同じような感覚である。
それにしても、何故、きざみそばは、全国区にならないのであろう。
不思議である。



きざみ蕎麦。値段はたしか280円だったと思います。


サービスの天かす。カウンターの上に何個かドンと乗っかっています。

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路上のソリスト・所感

2009年06月15日 | 映画レビュー
「え?これ 『シャイン』じゃないの?」と主人公の路上生活者ナサニエルが出てきた途端思った。ジェイミー・フォックスの演技はうまいのだろうと思うものの、『シャイン』のジェフリー・ラッシュの名演技がダブってしまう場面も多かった。でも、どちらも実話だから仕方のないところだろうか。
原作は、LAタイムズのコラムニストによる。
昔、日本にも青木雨彦という人気コラムニストがいた。亡くなって十年にもなる。その知名度は低くなった。一方のアメリカでは日本とは比較にならないほどコラムニストの人気が高いようである。

映画のコピーフレーズは、「奏で続けていれば、いつかきっと誰かに届く~路上で起こった真実の物語」。名コピーである。この映画で述べられているのは静かな感動である。ハリウッド映画はこの手の映画作りがあまり得意ではない。ベタベタとしたものになるか、あっさりし過ぎたものになるか、過不足が起こりがちなのであるが、この映画はまあよい匙加減であると思う。
ただ台詞が陳腐。
「今は生活のために書いている。昔はそうじゃなかった」とコラムニストが語っているが、こんな感想は同じ仕事を長く続けて来た中年なら大概の者が思うこと。もっと内面を掘り下げられないものかなあと思った。
また、離婚した妻に対する感情も中途半端な感じ。「人生に悩むコラムニスト」という設定だけれど、その悩みがよく伝わって来ない。
コラムニストとナサニエルの関係は、『キリング・フィールド』にも似ている。
コラムニストが記事を書くためにナサニエルを利用しているだけに過ぎない、と同僚に言われる場面がある。
だが、善意の押し付けであっても、かなりコラムニストはナサニエルに対して時間と労力を掛けている。
この辺は、いかにもアメリカ的なのであろう。日本人だったら、もう少しドライで手間を掛けないのではないか。
アメリカでは義務と権利の関係に対する他者の目が厳しいように思った。

この映画は、予告編の出来が素晴らしく、実際に見てみると、人によっては、少し思惑を外されるかも知れない。だが、日常に奇跡はなかなか起こらないのが現実である。
だからこそ、奇跡を求めて映画を観るのかも知れないが。

お勧め度は、60%くらい。


路上のソリストHP

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ダイトミ閉店

2009年06月02日 | 日常雑感
家の近くにダイトミというスーパーがあった。
「あった」と過去形なのは、昨夜買い物に行ったら突然の張り紙で閉店が告げられていたからである。
おとといまではいつも通り営業していており、昨日もガラス越しには、野菜類が普通に積んであった。
会社帰りに、酒のつまみにタイムサービスで安くなった刺身を買うのがささやかな楽しみだったのに・・・。
大体、昨今のスーパーは終わるのが10時とか、24時間営業だとかになってしまい、タイムサービスの醍醐味が薄れて来たように思う。
話は戻るが、ダイトミは生鮮食品が安い割りに、刺身などはまあまあのものを置いていて重宝した。
時には豆腐10円などという破格の商品も出品されており、利用価値は高かった。
扱っているのも食品に特化しているし、不況には強いのではないかと思っていたのに、残念である。
それにしても、昨日は、近くにあるもう一つのスーパーがものすごく張り切っていた。
他人の不幸は、自らのチャンスということであろう。
でも、そっち若干お値段高めなんだよな・・・・。
困ったもんだ。

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