五能線は観光列車が通る有名な路線だ。そこを通る列車を撮りたいとのことなので千畳敷へ向かった。
私は岩場へ降りて海を撮り、列車の通過時間を気にしながら動いているのだが彼女は海には一切興味が無いようで背を向けている。
やってきた列車は意外にもピカピカの車両で田舎臭さはゼロ。
イメージしていた車体の色も五能線には合っていないような・・・・・
何だか思いっきりガッカリして、津軽半島へとハンドルを切った。
彼女がジュリーのファンだと知ったのは数か月前。だからCDを借りてきてダビングした彼の歌声が車内に鳴り響く。
彼女は007が嫌いだと云い出した。毎回違う美女を抱くのが理由だ。それは映画だから仕方がないとは思うのだが彼女には許せないことのようだ。
「俺のジェームスは007から命名したんだよね」と云うと「えっ、そうなの」と仰天する彼女。
「だって世界中の美女を相手にできるなんて夢じゃん」と説明するのだが、急に彼女は「ジェームスって言わないで」と機嫌が悪くなった。
本当にジェームスと云う名前の知人がいるとのことだ。
彼女はイギリスで暮らしたことがあるので英語はペラペラだしジェームスと云う知人がいてもおかしくは無い。
だから「その人は大きいんだろう? Big James」と呼べば良いじゃんと私。
「知らないわよ、大きいか小さいかなんて見たことないんだから」と必死の彼女。
「いやいや、違うよ。体格、身長だよ」と云った途端「ゲッ」と言葉に詰まった。
「俺の方はLittle で良いよ」と云った。これだって体格のことだ。
指摘されないように注意して「リトル」ではなくて「リル」と発音した。
「Prettyでも良いよ」と云った途端、ついに我慢できなくなった彼女は吹き出した。
可愛い可愛いJamesの姿がイメージされているのだろうね、きっと。