オッチャンとオバチャンの別れはサッパリとしたものだ。
モミモミもチュパチュパも一切無い。
一応、求められれば対応する用意はしているのだけれどね。
彼女に荷物を渡し「またね」と別れた後、私は自宅までの650キロと云う道を走らなければならない。
ガソリンを満タンしてコンビニで食料を買い気合を入れて運転席に座った。
何故かパトカーが多い。高速道路で捕まっている車を4台も見た。
途中のパーキングエリアで小銃を並べた若者と「今日はパトカーが多いね」と話をしただけで運転席に座りっぱなしだ。
私は自宅へ戻るだけなので、長距離運転ではあるけれど急ぐ旅では無い。
行き先を自宅に設定したナビには、到着予定時間は22時46分と表示されていた。
頑張れば今日中に帰宅できるけれど、せっかく遠くに来ているのだから車中泊して何処かへ寄っても良いかと鼻歌交じりだ。
最も緊張する千歳恵庭JCTで無事に道央道から道東道へと移り、急に少なくなった車に寂しさを覚えた。
日暮れが迫っていて、辺りは急に闇が深くなってきた。
そして、その時は突然訪れた。
左側から道路に何かが飛び込んだのだ。
ワンチャンかニャンコ? それともキツネかタヌキ?
反射神経が避けようと対応した瞬間、ガクンとショック。
そしてゴリゴリと云う異音。(これはヤッチマッタかも知れない)
先ずハザードを点灯させ、ゴリゴリさせたまま避難できる場所を探した。
何とか路肩が膨らんでいる路側帯を見つけて停めたのだが、突然の出来事にうろたえてはいるが、落ち着いている自分もいてJAFに連絡できた。
ナビで現在地を確認していたので「追分ICまで3.3キロの下り車線でバースト」と伝えられた。
高速道路公団と高速警察には連絡してもらうことにして、指示通りにフエンスを跨いで路外に避難。
夜空を眺めて(最後にヤッチマッタなぁ・・・・・)と思いながらの放尿。
とにかくT代さんを下した後で良かったと自分を慰めた。
最初前輪だけのバーストだったのに、後輪の空気も抜けてきて結局自力走行はギリギリの状態だ。
高速警察隊のハナシでは衝突してから自力で300m余走ったらしい。
先ずJAFに積み込まれた車を何処へ運ぶかが問題になった。
追分で高速道路から下ろしてもタイヤを修理できる工場も宿泊施設も無いとのことなので、結局搬送先としてサービス距離を大幅に超えるテルテルの会社に指定した。
テルテルに連絡して了解をもらうと「確かHONDA トータルケアに入会していましたよね」と云われた。
「そうだった?」と思いながら財布を探すと会員証が出てきた。
「それなら釧路までの搬送超過料金もHONDAが支払います」との嬉しいお言葉。
途端に元気になってJAFの運転手と和気藹々。
JAFさんは長距離を走ることで私が久しぶりの嬉しいお客様。
そして私は無料と云う事を知ってJAFの方と急に仲良しになった。