「今夜は豚汁だよ」とルンバが云う。
私の好物の一つだ。
私の身体に合わせて塩分を抑えた薄味だが、それにも慣れて美味しく感じる。
「良かったら納豆も食べてしまって」と云うので、冷蔵庫を開け残っている2ケの内から一つを手に取り、辛子と減塩醤油を加えてマゼマゼ。
何となく変な感じだが一生懸命マゼマゼ。
それを御飯の上に載せて食卓へ運び、口に入れる前に見たら、いつもの納豆の粒より小さい。
納豆を嫌いではない私は「超小粒」なのかも知れないと思いながら口の中へ。
そして気が付いた。
ネバネバが無い。ほとんど糸を引いていない。
違和感の正体はこれだ。
「お母さん、この納豆の賞味期限はいつなの?」と訊いたら冷蔵庫を開けて確認したルンバがケラケラ笑い出し「知らない方が良い」と云う。
これは絶対にヤバイやつだ。
私は糸を引かない納豆を3回も飲み込んでしまっているから、既に手遅れだ。
冷蔵庫に残っている納豆の賞味期限を確認したら、何と10月24日のスタンプ。
今は12月だから、ひと月半程前に賞味期限が過ぎていたことになる。
糸を引かなかったのは、体に良いと云われている納豆菌が多分全滅しているからだ。
もう飲み込んでしまったので手遅れだ。残りの糸を引かない納豆を全部食べ、何とか乳酸菌が助けてくれるかも知れないと淡い希望を抱いてヨーグルトをガブ飲みした。