冬場はとにかく電気の消費量が増える。
テレビや照明、トイレや風呂の脱衣室に置いてある電気ヒーターに限らず、灯油ストーブだって電気が無ければ使えない。
灯油ストープだけでは物足りないので暖房で使っている居間のエアコンはかなりの電力を消費することを考え、電気会社との契約は40Aだ。
ルンバがキッチンに立ち、IHで麺を茹で始めた途端、一瞬で世界が消えた。
暗闇の奥から「お父さんゴメン、ブレーカーが飛んだみたい」と云う声が聞こえた。
何もかもが黒で覆われているので、懐中電灯があったと思われる場所まで手探りで少しずつ進むのだが、記憶の場所には無いのか手に触れるのは違う形のモノばかり。
それで二番目の記憶を頼りに居間入口横に吊してあった小さな懐中電灯を目指す。
一週間程前に電池を入れ替えたのを思い出したのだ。
やっと探し当てて闇の一部に微かな灯りが灯った。
ブレーカーを0Nに戻してホッと一息。
また飛ばないように、とりあえずテレビを消し脱衣室の暖房も切った。
夕食後にトイレへ。
食事で腸が動いたようだ。
お座りして至福の時を過ごし、洗浄液が出るスイッチを押したらウィーンと云う音が聞こえシャーッと出てきたのが、何と冷水。
私は「ヒエーッ」と悲鳴をあげ悶絶。
洗浄水を温めておくスイッチが切れたままだったようだ。
私は急いで穴の周りの水滴を拭き取り、温水になるまでの数分をトイレ内に置いてある電気ヒーターで凍えた穴を温めた。