※ 前回の続き
さて、前張りを済ませて覚悟を決め、呼ばれるのを待つ。
しかし予定時間をかなり過ぎても、迎えが来ない。
点滴が落ちているのを見ている内にオチッコがしたくなってきた。
でも前張りで固定され後ろを向いているチンチンは、ワンコのように片足を上げても無理みたいだ。
それでボタンを押して「オチッコしたい」とヘルプコール。
慌てて走ってきた看護師さんの手には新しい前張り用の「人形代」
急患が入ったらしくて検査がストップしていると云われた。
何時になるか分からないので、前張りを剥がしても良いとのお許しが出たのでバリバリと剥がしてトイレへ急いだ。
それから2時間以上待たされてやっと新しい前張りを貼られ、車椅子で検査室へ。
検査台は、手術台と極似だ。恐怖感が増してきたが、ここまで来たら「五穀豊穣」だ。
いや違う。なんだったっけ・・・・そうだ「まな板の鯉」だ。
私を囲み5~6人が準備作業。人数が多い分さらに恐怖心が強くなった。
動かないように手を固定して「それじゃ始めます。チクッとしますよ」と云われて検査が始まった。
私は緊張と恐怖で全身が固まり「石」
突然先生が「ゴメン、痛かったでしょう」と云うのは動脈を突き刺し過ぎたのだ、きっと。
眼だけをキョロキョロと動かし、時々見えるモニターに映るガイドワイヤーの動きを追う。
「造影剤入れますからね、少し熱くなるかも知れませんよ。何か変だったら教えてください」と云われた直後、モニターに心臓の冠動脈のラインが映った。
機械の角度が変えられて「また造影剤が入りますよ」と云う声と同時に別のラインが見えた。
冠動脈は3本あるので、それを色々な方向から動画撮影しているのだ。
次は、別にお願いしていた脚の動脈撮影。
長い長い、長ぁ~~~いカテーテルをどんどん挿れられて、「今度は脚が熱くなります」と告げられ検査寝台が造影剤の動きを追うようにサーッと動くのだが熱くはならない。
その代わり数秒後に何と肛門が熱くなってきた。
「先生、肛門が熱いです」と叫ぶ私。
注入した造影剤が足の先まで行った後、静脈に入って戻ってきたのだ。
考えてみたら肛門はいつも締まっていなければならないので、筋肉の塊なのだ。
その筋肉に栄養を与える為に血管が沢山集まっているのだろう。
「今度は左脚だけ映しますよ」と云われて数秒後、「肛門の左側半分が熱い」と訴える私。
そして当然のように「今度は右脚です」で「肛門の右半分が熱い」と訴える。
(もしかしたら先生は楽しんでいるのだろうか)と云う疑念が湧いたが、
「検査は終わりましたよ」と云われてカテーテルが抜かれた。
結果、命にかかわるような状態までは達していないと云われてホッと一息。
私イチオシの看護師、S子ちゃんが迎えに来ていて車椅子に乗せられた。
一気に地獄から天国へ替わった気分だ。
ベッドへ戻ると「前張りを取りましょうか」と云うS子ちゃんに「是非お願いします」と云おうとしたところへ入ってきた別の看護師。
S子ちゃんへ「もう勤務時間が終わっているから代わるね」と云う余計なお世話。
「前張りを外します」と云うのを断り、バリバリと自分で剥がした。