昨日、年2回の「別府竹細工、伝統工芸士会」の集まりがあった。現在、日本中に約4500人の伝統工芸士がいる。その中で、竹に関係したのは静岡の駿河竹千筋細工、岡山の勝山竹細工、そして別府竹細工の3地区である。残念ながら、岡山の勝山竹細工は後継者が居らず、現在伝統工芸士は0になってしまった。別府には現在私も含めて、19人。しかし、高齢化現象は何処の産地も変わらない。昔は伝統工芸士になるのに、実務経験が20年以上で組合の推薦でなっていたが、推薦して貰うには20年くらいではなかなか推薦されず、実際工芸士になった時はほとんど現役から引退しかけていたという事になりかねない。
現在はもう少し、「若い人にも間口を広げ頑張って貰おう」ということで実務経験12年以上、その代わり国家試験になった。しかし、現状は竹細工を始めて、最初の12年間を生業として続けることが非常に困難なことである。意気揚々と竹の学校を出ても、まだ、技術的には未熟なので生活できるような収入を得る事が出来ない。独り者なら何とかやっていけるが、家族を育てるだけの収入を得る技術を会得するまでが続かないのだ。まして、今は物作りだけでなく、販路も作りながら一人でも経営者としての才覚もないと続けられない。しかし、これは竹の世界だけでなくどの世界にも共通することであるが、各自が創意工夫して生き残っていくしかない。
来年から、後継者育成事業で「竹の訓練生」に作品作りを教えることになった。物作りと同じように、どうやったら生業として生き残っていけるか?そんな経営面の話も交えながら、将来一緒になって竹細工をやっていけるような関係作りが出来れば良いのだが。