やっと、忙しいシーズンを終って、以前から溜まっている特別注文品の製作に掛かる。この写真の作品は、一昨年、鷹の餌を入れる「口餌篭」を製作したお客様からの追加注文で、「餌ふご」と言う。現品は無いので、東京の「民芸博物館」に飾ってある物を見に行って、こそっと写真を取ってきたり、博物館で穴が開くほど見た来た物だ。http://blog.goo.ne.jp/takae_1/d/20070224
こちらは鷹の餌を入れるのではなく、鷹が取ってきた獲物を入れる篭のようだ。取ってきた獲物を頭から逆さまに入れるそうだ。特殊な篭なので一般的には作品は残っていない、文献を探して大体の大きさと、博物館で見てきたのを参考に作ることになる。
シンプルで力強いフォルムの篭である。編むことはそんなに難しい事ではないが、プロペラのような形をした竹ヒゴを作ることが非常に大変だ。巾6センチほどの平らな形を作り出す事が難しい。考えて見て下さい。竹は丸いんです。巾6センチにするということは丸いノミで竹の身の部分を少しずつ削って行き、薄くして割れない様に押し広げる。此処までが一番難しい所だろう。後は出来上がったパーツを火であぶり曲がりを付けていく。
いきなり本番では大きさや形がわからないので厚紙で竹ヒゴの模型を何枚も作り試作していくのである。今はその状態である。これから本番の竹ヒゴで製作に掛かり、最後に口回りを漆で固めていく事になる。まだ、出来るか?どうか?判らない!今回、この復元モデルを担当しているのは工房一番の粘り腰の遠藤君が担当している。彼は工房に入って来た時、手が遅くて遅くて、大丈夫だろうか?と心配していたのだが、6年間こつこつ、コツコツと技術を磨いて来た。人より遅い分確実にモノにしていっている。職人には二通りのタイプが居り、閃きで作品作りできるタイプと、亀のように着実に進んで行くタイプだ。作品が出来上がった時にまたブログにアップします。