高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

若手?後継者への提言  02

2015年10月30日 08時49分21秒 | 後継者育成
http://blog.goo.ne.jp/takae_1/e/d1a54788d421ba36479369561e0ca63a
「若手?後継者への提言  01 」からの続きです

玉いれ籠には全国から需要がある。

しかし、作り手が減ってしまっているので、供給が追いつかない。

品物が無いため、仕方なく、竹籠からネットの籠に代わっていく・・・・・こんな図式ですね。

藤倉さんは、全国の竹の産地を回っています。

どこの地域も、昔は100軒以上の生産者が居たのだが、現在は5軒しか無くなった・・・・とか、

今は誰もやっていません・・・・・とか、

しかも、生産者の平均年齢は、80代という産地がほとんどだそうです。

今年も、一人亡くなった・・・・・だれだれさんは、老人ホームに入ってしまった・・・・などなど、

そんな現状を、目の当たりにしているそうです。

では、

若手後継者に方々は如何すれば良いのか?

「代わりに作れば良いのではないか!」

それほど、簡単な事ではありません。

先輩職人たちが作っているものは、安いのです。

安すぎるのです!

50年前から、ほとんど値段が変わっていません。

これらの実用品を作って居られた職人さんたちは、大量に物が流通する時代で、同じものを朝から晩まで作り続け、熟練した技術を持っています。

また、ほとんどの方が高齢で、年金を貰いながら生計の足しとして作っている方が多いのです。

材料の竹も、近くの竹薮から切り出して、ほとんど出費はありません。

そんな状況の中での生産者価格が付いているのです。

これを、現代の後継者の若者達に同じ値段で作れと言っても、生計を立てることが出来ないのです。

物価はこの50年でどんどん高くなっているのに、実用品の竹かごは、相変わらず50年前の値段では、当然、作ることが出来なくて為ってしまうのも、当たり前のことですよね。

現在、流通している実用品の竹かごは、もう少ししたら、この値段では流通しなく為ります。出来なくなるのです。

では、突然、値段が2倍・3倍に為って、消費者が納得するのか?

古い生産価格で作ることは出来ない、かといって、いきなり高い値段を付けても、買う人が居ない。

それぞれが、そのハザマの中で、どんな提案が出来るかに掛かってきます。

過渡期だと思います。

ある意味、これは大きなチャンスですね!

もう直ぐ、全国の竹細工職人は、高齢化によって、殆ど居なくなります。しかし、需要は在るのですよ!

さて、君はどんな作品が作れるのだろうか?


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若手?後継者への提言  01

2015年10月30日 08時48分33秒 | 後継者育成
私は、常日頃「職人の定義が変わってしまった。」と、言っています。

昔の職人は、「如何に早く、如何に綺麗に、如何に沢山の・・・・・」と、

問屋制度が確立され、全国の小売店に行き渡って居ました、

世の中も、同じものが大量に消費される時代だったのです。

職人は、制作することだけに専念して、励むことが出来ました。

所が現在は如何というと・・・・・

作ることと、販売することが、同じような比率で求められます。

職人であり、経営者としての資質を要求される時代に為ってしまったのです。

そこで、今回は私の友人でもあり、千葉県成田山で竹細工店を営む、藤倉商店の藤倉さんを別府に招き、

若手後継者たちに、現在のお客様の動向や、全国の産地の現状などを話して貰う機会を作りました。





ラガーマンでもある藤倉さんは、やはり、オールブラックスのシャツで登場。

スライドで籠の写真を見せながら、全国からはこんなに沢山の注文が入ってきます。

しかし、作り手が居ないのです。

使いたい人が居ても、作る人が居ない!

まだ、需要があるうちは良いのですが、品物が無いため、それぞれを使う文化が無くなってしまう!記憶が無くなってしまう!

もうそうなっては、滅び行くしかないのです。

例えば、玉いれに使う籠ですが、昔は100%竹籠を使っていました。



これが、金属のリングにネットがぶら下がった物が増え、知らず知らずのうちに、竹籠の玉いれ籠は減っていってしまいました。

しかし、絶滅したのか?というと、そうではないのです。

今でも、竹籠でなければダメだ!と、思う人はけっこう居るのです。

全国から注文は殺到し、納品が追いつかない状況だと云います。

つづく

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