自己と他者 

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BRICにおける成功のためのKFS

2006-05-23 00:25:37 | 日記・エッセイ・コラム・メモ

ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2006年5月号

タルン・カーナ(HBS教授)

クリシュナG.パレプ(HBS教授)

ジャヤント・シンハ(マッキンゼー・パートナー) 共著

『制度分析で読み解くBRICs攻略法』を読んだ。BRICsとはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の頭文字で、経済が急成長している国々をさしている。

 急成長を遂げるBRICs(エマージング・マーケット)。その恩恵(急速な購買力の増加、将来市場、安い労働力など)にあやかろうと、進出するグローバル企業。しかし結局、失敗し、国内市場が一番成長している企業が多いのではないだろうか、と提起している。例えばアメリカの対外保有資産は6兆9000億ドルで、イギリス:1兆6000億、カナダ:5140億ドル、BRICsは合計1730億ドルで2.5%の海外保有資産の割合に過ぎないという。イメージが先行しているだけなのだろうか。いや、ロシアではマクドナルドが、インドではスズキ自動車と成功企業も当然存在する。この成否を分けるのはなんだろうか。この論文では、新興市場国の政治・社会制度、開放性、GDP成長率などのマクロ指標に関心を払う経営者は多いが、あわせて「制度の穴」と呼ばれる、ロジスティクス・サービスや、グローバル企業に対応できる監査法人、人材斡旋企業、市場調査会社などの中間業者の有無、契約の履行、法律の整備などをきちんと調査している経営者は少ないとし、また、政治社会制度、開放性のほかにも、チェックすべき財市場・労働市場・資本(金融)市場それぞれ5つについての質問を、参入検討時のフレームワーク(KFS=成功のためのカギ)として、またアメリカ・イギリス、他BRICs4カ国の5つの状況を比較し、掲載ている。とても興味深い論文である。       

 経済学的にも制度学派が台頭してきている。この論文は経営者だけでなく、経済学者にも興味深い論文であると思う。