高井良ゼミナール

高井良ゼミナールのblogですー

毎週、定期的に更新していきますのでお楽しみに!

2024年高井良ゼミ 後期第7回

2024-11-11 12:15:16 | ゼミ日記

皆さん、こんにちは!

高井良ゼミのたかいらです。

暑い夏が続きましたが、ここ数日、急に寒くなりました。

体調を崩したりなさっていませんでしょうか?

また今日の午後から暑さが戻ってくるとのことですので、

どうぞ体調管理にお気をつけてお過ごしください。

さて、先週のゼミでは、私がStarterを担当し、「印象に残る映画」の話をしました。

 

私が紹介したのは、2021年に公開された「ONODA 一万夜を越えて」という映画です。

この映画は、日本の敗戦後、30年間もフィリピンのルバング島で「戦って」いた小野田寛郎大尉を

扱ったもので、原作も監督もヨーロッパ人(おそらくフランス人)によるものです。

諜報部隊のメンバーとして特殊な訓練を受けた小野田大尉は、日本の敗戦後も、

日本の無条件降伏や米軍からのメッセージを謀略と考え、自作のラジオを通して、

さまざまな情報を得ながらも、その枠組みのなかで、すべてを理解し、

自らの枠組みを組み替えることはありませんでした。

30年間の間に、部下を失い、現地の人々を多数死傷させています。

この映画は、この小野田大尉を断罪するのでもなく、ジャングルで30年間も生き続ける

生命力と部下との友情を克明に描写したものでしたが、明確なメッセージが示されない分、

むしろ観客が深く考えさせられるものとなっていました。

ゼミ生からは、本来ならば、このような映画を日本人が作るべきではなかったのか、という

問いや、戦争が恐ろしいのは、戦争で死ぬということだけではなく、戦争で生き延びた人間の

精神や考え方を歪めるところにあるのではないだろうか、という問題提起があり、

私の映画の紹介よりもずっと深いディスカッションができました。

世代の異なる学生たちと学び合えていることの幸せを噛みしめた一日となりました。

その後、久しぶりに広田照幸先生のテキストを読み、教育の「目的」と「機能」について、

ディスカッションしました。ゼミ生からは、学校教育の現状を考えると、教育の「目的」を

教師が理解していないように思えるという厳しい批判がありました。

理想とする「目的」と現実の「機能」の緊張関係のなかで、教育は、子どもたちを育てるものと

なるわけですが、大人がこの緊張関係を理解し、持ちこたえることができないと、教育と称する

営みは、子どもたちから、偽善や打算的なものとして見放されてしまいます。

こちらについても、ゼミ生のコメントが鋭く、私はただオロオロするばかりでしたが、

そもそも学力とは何かという問いとともに、教育にかかわる者たちは、与えられた答えを

機械的に適用するのではなく、つねに自分の頭で考え続けることが求められていることを、

改めて教えられたように思います。

オロオロしながらも、学びの多いゼミとなりました。

次週は、毎年恒例のゲスト講師、金子奨先生が来校されます。

今年度も深い学びを楽しみにしているところです。

それではまた次回お会いしましょう!


2024年高井良ゼミ 後期第3回

2024-10-07 11:47:49 | ゼミ日記

皆さん、こんにちは!

高井良ゼミのたかいらです。

10月になりましたが、まだ暑い日が続いています。

体調管理が難しい今日この頃ですが、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?

さて、今年の高井良ゼミは私を合わせて4人という少人数なので、Starterの廻りが早く

もう四巡目となりました。四巡目のテーマは、「未来の声に耳を澄まして未来の自分を語る」です。

輝かしい未来が待っている若き緑の日々を生きるゼミ生に対して、私は人生の坂道を下りつつあります。

この自分を受け入れながら、人生の晩秋の日々をいとおしみつつ、「一期一会」を大切に

生きていきたいという私の語りに対して、3名のゼミ生から温かいメッセージを

もらって、とても勇気づけられました。

その結果、私の坂道のイメージは、次のようなものに変わりました。

小さな野の花たちをいとおしみながら、「古い時計が時を刻むように」ゆっくりと一歩一歩

進んでいけたらと願っています。

さて、ゼミでは、韓国ゼミ研修旅行のプレゼンテーションを練り上げています。

5泊6日のさまざまな経験を10分のプレゼンテーションにまとめるというのは、

先週の石塚さんがコメントしている通り、大変難しいことです。

そのなかでも、ゼミ幹事の小峰さんががダイナミックな脚本を作り、岩木さんと石塚さんが

細部を造り込んで、ゼミ生主体のプレゼンテーションができそうなので、

私もわくわくしています。

海外に出かけて、たくさんの経験をして、それで終わりではなく、その経験から自分たちが

何を学んだのか、そしてそのことをこれからの学びや人生にどのようにつなげていくのか、

海外から戻ってきてからも学びを深めることができるのか、大学の海外ゼミ研修の良さだと

感じています。10月24日(木)のプレゼンテーションに向けて、来週もまた知恵を出し合い、

経験の省察を深めたいと思います。

それでは、今日はこの辺で!

 

次回は、小峰さんの担当となります。どんな未来のイメージが語られるのか、楽しみです。

 

季節の変わり目、皆さんもどうぞご自愛ください!


2024年度 後期第1回ゼミ

2024-09-23 18:37:52 | ゼミ日記

皆さん、こんにちは!

高井良ゼミのたかいらです。

この9月、コロナ禍以来、ずっと遠ざかっていました海外ゼミ研修に、ほんとうに

久しぶりに出かけてまいりました。

訪問先は、韓国! 円安の現在、韓国でも費用は並大抵ではありません!!!

物価は、コンビニも含めて、日本より高くなっていました。ホテルも、費用を抑えて、

いつもより庶民的なところに泊まったところ、お湯が出なかったり、手狭だったり、

ゼミ生に苦労をかけてしまいました。

それでも、今回は、ソウルだけではなく、公州を訪問し、この写真の公山城を見学するなど、

歴史と出会う貴重な機会に恵まれました。古代以来の日本と朝鮮半島との深いつながりを

改めて学び、もっとさまざまな史料をひもといてみたいと思わされました。

公州大学の先生とお話をしながら、先生が出された、白村江の戦いで百済と日本の連合軍が

勝利を収めていたら、今、東アジアはどのような世界になっていただろうかという問いに、

いろいろと夢想が膨らみました。東アジアの未来は、バラ色とは言えない状況ですが、

少子高齢化という同じ課題を抱える日本と韓国がお互いの知恵を出しながら、より安定した

関係性を育てていけたら、未来は少しでもポジティブなものになるだろうと思いました。

この川の下流に白村江があります。公山城に住み、そこから戦乱を逃れて、日本列島に

辿り着いた人々が、私たちの祖先だった可能性も十分にあります。はじめてお会いした

先生とまるで旧知のように歓談ができたり、面白いアイディアをいただいたり、こんな

経験ができるのも、どこかで何らかの文化や歴史を共有しているがゆえなのかもしれません。

後期第1回目のゼミでは、学生たちが今回の韓国ゼミ研修旅行で学んだこと、気づいたこと、

考えたことを発表してくれて、私も大きく頷くことが多々ありました。

韓国ゼミ研修旅行をコーディネートしていただいた成均館大学の張智恩先生のご尽力に

感謝しつつ、今回の経験から学んだことを、これからのゼミで、いろんな人にも伝わる言葉に

しつつ、プレゼンテーションを準備していきたいと思います。

公州はおすすめの場所でした。

それでは、今日はこの辺で! 

来週は、石塚さんの登場です。お楽しみに!


2024年度高井良ゼミ 第13回

2024-07-08 12:20:30 | ゼミ日記

皆さん、こんにちは!

高井良ゼミのたかいらです。

まだ梅雨の時候とは信じられないほどの猛暑のなか、

お元気でお過ごしでしょうか?

前期のゼミも今回を含めてあと3回、暑さとのたたかいになりそうですが、

ラストスパート、がんばっていきたいと思います。

さて、ゼミでは、お互いの一週間の話に耳を澄ませたあと、スターターは早4巡目となり、

お気に入りの曲を紹介するコーナーとなりました。

このコーナーは紹介するのも、紹介してもらうのも、いつも楽しみなのですが、

私が今年聴いてもらったのは、カーペンターズの名曲「青春の輝き」です。

カレンが最も好きだった曲と言われている、この曲の英語のタイトルは、

「I need to be in love」です。完璧な歌声を持ちながらも、すべてに完璧を求めて、

若くしてこの世を去ったカレンの心を歌っているような、この曲の歌詞は、

とてもせつないものがあります。

それでも、こんなにみんなに愛され続けている素敵な曲を残してくれたことに、

感謝の気持ちでいっぱいになります。

ゼミ生のうち、「青春の輝き」を聴いたことがあったのは1名のみで、

2年生の2名は初めて聴いたとのことでした。「青春の輝き」の真っ只中を

生きている彼・彼女たちの心に、この曲が響いたら、嬉しいです。

さて、今日のメインテーマは、「インタビューの理論」と「韓国の歴史」、

先に「韓国の歴史」をササッと終えようとしたのですが、う~ん、私の

話があっちにいったり、こっちにいったり、ものすごく長くなってしまい、

う~ん、反省することしきりです。

ゼミ生からさまざまな質問が出てきて、日本史、世界史の学び直しになり、

「韓国の歴史」を学んでいたはずが、いつしか日本という国は一体どのような

国なのかという話になり、ゼミを一時間延長した挙げ句に、「韓国の歴史」は、

日本による韓国併合前までしか進まなかったという次第になりました。

学生の質問の切り口に、感銘するとともに、韓国を学ぶということは、日本を

識ることであるということに気づかされました。

9月の韓国ゼミ研修が、実りあるものになるように、ゼミ生たちとともに、

私も、韓国の歴史と教育をより深く学んでいきたいと思っております。

次回のゼミでは、「韓国の歴史」を終えて、韓国ゼミ研修のスケジュールづくり、

そして、「インタビューの理論」まで、がんばっていきたいところです。

I know I’ve wasted too much time. (「青春の輝き」より)

ゼミの時間、これまで13回もありましたが、あと2回となって、

まさしくラストスパートとなっております。

次回は、小峰さんのお気に入りの曲、楽しみです!

それでは、尋常ならざる暑さのなか、くれぐれもご自愛ください。

今日のこの辺で。

 


2024年高井良ゼミ 第9回

2024-06-07 16:41:01 | ゼミ日記

皆さん、こんにちは!

 

高井良ゼミのたかいらです。

早いもので、今年度のゼミも第9回目となりました。

今年はメンバーが少ないため、ブログの担当がぐるぐる廻ってきます。

今週から3巡目となりました。Starterは、お気に入りの本の紹介です。

私は、次の本を紹介しました。

 

 

さまざまな事情で失業や病気、離婚、家族との別離などを

経験している人たちを対象におこなったライフヒストリーの

研究で、読み応えがあります。

かつて高井良ゼミでは、三池炭鉱閉山直後の大牟田市にて、

ゼミ合宿を行ったことがありましたが、その時、私に、このような

視点があったら、ゼミ生たちともに貴重な社会調査ができたのでは

ないかと思わされるような一冊でした。

社会のなかで厳しい立場に置かれている人々に対して、自己責任と

いうことばで、社会の問題から切り離して語られることが多い時代に、

厳しい立場のなかでさまざまなかたちでよりよく生きようとしている

人々の声を聴き取った、この研究は、社会学的想像力と共感を育てる

ものであると思いました。

皆さんも、ぜひご一読ください。

さて、ゼミのメインテーマは、石塚さんの自分史の読み合わせです。

石塚さんは、高校時代に、コロナ禍の直撃を受けながら、思わぬことで

加入することになった運動部での仲間作りから始まって、クリエーター

としての才能に目覚め、仲間を巻き込んでの作品づくりや文化祭の企画の

立ち上げなどを通して、唯一無二の高校時代を送っています。

コロナ禍で行動が制限されて「かわいそう」という一言でくくられるような

ものとは違った、一人ひとりの高校時代、青春があの時代にも息づいていた

のだということを学ぶことができました。

ライフヒストリーは、小さな物語を通して、私たちの社会に対する想像力を

育てるものだと、改めて思うとともに、石塚さんの高校時代がとても素敵なもの

であり、これを実現したのは、石塚さんの「引き受ける」という構えにある

ということを思いました。

その後、岩木さん、小峰さんからも味わい深いコメントがあり、続いて、

広田照幸先生のテキストを輪読しながら、そこから一人ひとりの学び方について

語り合い、9回目のゼミは幕を閉じました。

木曜日は、天候に恵まれることが多く、6号館の玄関を出た時に、爽やかな風を

身体中に浴びる瞬間が、私のお気に入りになっています。

来週は、小峰さんのお気に入りの本の紹介です。どんな本が登場するのか、

楽しみにしています。

それでは、皆さんも、どうぞお身体に気をつけてお過ごしください!

以上、たかいらでした。