【はじめに】
寒い冬のはざまに春の足音が聞こえてくる頃、私たちのゼミにとっては春の風物詩となりつつある冊子作りを行い、今年も「教師のライフヒストリーⅤ」を作成することができました。
今年のゼミは、浅井幸子先生から私へと担当教員がバトンタッチするところから出発しました。2002年度までこのゼミを担当し、「教師のライフヒストリー」「教師のライフヒストリーⅡ」の作成にたずさわってきたとはいえ、2年間のブランクの経て、再びゼミに復帰することには確かなプレッシャーがありました。 とりわけ、浅井幸子先生の指導力と包容力によって「教師のライフヒストリーⅢ」「教師のライフヒストリーⅣ」と作品の質、厚みに確かな進歩が生まれていましたので、この流れを断ち切ってはいけないという思いでいっぱいでした。
しかしながら、この思いは杞憂だったようです。もうすでに、この高井良(浅井)ゼミナールは、一つの学びのかたちを確立していたのです。私の仕事は、学生たちが励まし合い、学び合う姿を目の当たりにしながら、ひたすら力づけられ、感心させられるというものでした。このようにいうとおおげさなようですが、高井良(浅井)ゼミナールは、もはや担当教員の一存でどのようにでもできるものではなく、またそうするべきではないのです。これまでゼミ生たちが育ててきた学びの文化は、私的なものではなく、公共的なものであり、担当教員はこの学びの場の豊かさをこれからも継承し、育てていかなくてはならないと思うのです。
今年のゼミナールの出発にあたっては、ゼミ生たちが浅井幸子先生とともに育ててきた学びの豊かさを大切にしたいという一点だけをめざすことにしました。ゼミでは、大人になった4年生たちが、頼もしい姿を見せてくれましたし、なかでもゼミ幹事の渡辺君は、毎回作品を熟読して、深く、温かいコメントをしてくれました。また、まだ3年生であることが信じられないような、ゼミ副幹事の吉村さんの的確で表現力豊かなコメントには、感心させられることばかりでした。そして、もう一人のゼミ副幹事の荒井君は、コンパや合宿の手配を一手に引き受けてくれて、ゼミの運営にかかせない雰囲気作りに尽力してくれました。
こうした継続生の支えがあり、新規生もはじめて作ったとは思えないような作品を仕上げてくれました。また、この冊子には掲載されていませんが、毎回のゼミでのコメントはすばらしいものが多く、私自身、研究者として、教育者として、ゼミ生のコメントの温かさと的確さには教えられることがたくさんありました。
来年度は、幹事の吉村さん、副幹事の山岡君、羽田君を中心に、さらにパワーアップしたゼミになるような予感がしています。ひとの人生、とりわけ子どもたちの学び、成長の時間をともに生きている教師の人生には、汲みつくすことができないほどの豊かさがつまっていると思います。この豊かさから私たち一人ひとりが生きるためのたしかな道しるべを見出すことを求めて、来年度の歩みを始めたいと思います。
高井良 健一
寒い冬のはざまに春の足音が聞こえてくる頃、私たちのゼミにとっては春の風物詩となりつつある冊子作りを行い、今年も「教師のライフヒストリーⅤ」を作成することができました。
今年のゼミは、浅井幸子先生から私へと担当教員がバトンタッチするところから出発しました。2002年度までこのゼミを担当し、「教師のライフヒストリー」「教師のライフヒストリーⅡ」の作成にたずさわってきたとはいえ、2年間のブランクの経て、再びゼミに復帰することには確かなプレッシャーがありました。 とりわけ、浅井幸子先生の指導力と包容力によって「教師のライフヒストリーⅢ」「教師のライフヒストリーⅣ」と作品の質、厚みに確かな進歩が生まれていましたので、この流れを断ち切ってはいけないという思いでいっぱいでした。
しかしながら、この思いは杞憂だったようです。もうすでに、この高井良(浅井)ゼミナールは、一つの学びのかたちを確立していたのです。私の仕事は、学生たちが励まし合い、学び合う姿を目の当たりにしながら、ひたすら力づけられ、感心させられるというものでした。このようにいうとおおげさなようですが、高井良(浅井)ゼミナールは、もはや担当教員の一存でどのようにでもできるものではなく、またそうするべきではないのです。これまでゼミ生たちが育ててきた学びの文化は、私的なものではなく、公共的なものであり、担当教員はこの学びの場の豊かさをこれからも継承し、育てていかなくてはならないと思うのです。
今年のゼミナールの出発にあたっては、ゼミ生たちが浅井幸子先生とともに育ててきた学びの豊かさを大切にしたいという一点だけをめざすことにしました。ゼミでは、大人になった4年生たちが、頼もしい姿を見せてくれましたし、なかでもゼミ幹事の渡辺君は、毎回作品を熟読して、深く、温かいコメントをしてくれました。また、まだ3年生であることが信じられないような、ゼミ副幹事の吉村さんの的確で表現力豊かなコメントには、感心させられることばかりでした。そして、もう一人のゼミ副幹事の荒井君は、コンパや合宿の手配を一手に引き受けてくれて、ゼミの運営にかかせない雰囲気作りに尽力してくれました。
こうした継続生の支えがあり、新規生もはじめて作ったとは思えないような作品を仕上げてくれました。また、この冊子には掲載されていませんが、毎回のゼミでのコメントはすばらしいものが多く、私自身、研究者として、教育者として、ゼミ生のコメントの温かさと的確さには教えられることがたくさんありました。
来年度は、幹事の吉村さん、副幹事の山岡君、羽田君を中心に、さらにパワーアップしたゼミになるような予感がしています。ひとの人生、とりわけ子どもたちの学び、成長の時間をともに生きている教師の人生には、汲みつくすことができないほどの豊かさがつまっていると思います。この豊かさから私たち一人ひとりが生きるためのたしかな道しるべを見出すことを求めて、来年度の歩みを始めたいと思います。
高井良 健一