同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう?異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる著者が、失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開!「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。
年をまたいで、米原万里さんの「不実な美女か貞淑な醜女」を先ほど読了した。
それをやっと、読んだ。
以前から、かみさんが彼女の家に行ったりしていたので読みたいと思っていたが、かれこれ10年くらい読めずにいた。
そうこうしているうちに彼女は亡くなってしまった。惜しい。もっと活躍して欲しかった。もし生きておられたら、彼女は原子力関連の会議の通訳を多くされていたようなので、昨年の震災の原発事故の際に、どんなコメントをされただろうか。
これを読んで、なるほどと思ったのは、通訳という仕事は、非常に大変だということ。
人のしゃべることを、内容を相手が理解できる形で素早いタイミングで伝えていかなくてはいけないのはもちろんだが、通訳してもらう側と通訳される側のコミュニケーションを大会レベルで成立させるためには、通訳の事前準備が大変だということ。
原子力関係の会議であれば、(ロシア語なので彼女は原子力関係の仕事も多かったようだ)その分野の専門用語と、基本的な知識、発言者の履歴などを事前に頭に入れておかなくてはならない。
医学系なら、それらの分野の知識、農産物の貿易ならば、それらの分野の知識。
大変なことだ。
また、本書に書かれているが、会議の3日目くらいになるとその分野の専門家に近い知識が備わってくるそうだ。
また、4日目以降となると、ある分野では、通訳者のほうが詳しくなるくらいだそうだ。
さもありなんだ。
もちろん、大量にいる英語の通訳者の中には、ろくな事前準備をしない直訳型の通訳者が多いようだが、それはプロとはいえないだろう。
彼女は、本当にプロフェッショナルだ。
私も海外と技術協力プロジェクトなどをした経験があるが、コミュニケーションをとるというのは、大変な作業だ。
その作業を生業にするというのは大変だろうけど、興味深い仕事だろう。
いかに幾つかのブログを紹介しておく。
「不実な美女か 貞淑な醜女(ブス)か」を読んで - mmpoloの日記
米原万理のエッセイの第1作「不実な美女か 貞淑な醜女か」(新潮文庫)を読んだ。読書の途中、「環境問題に関するフォーラムを聴講していて、ロシア人の報告者の発言とロシア人の日本語通訳者によるその訳の、あまりの隔たりに感心したことがある。」として紹介されたエピソードに覚えがあった。
不実な美女か貞淑な醜女か(米原万里) - 徒然と(美術と本と映画好き...)
不穏なタイトルのエッセイですが...例えばパーティーのような席で
はムードを大切にする不実な美女の方がよろしく、重要な商談の場
ではお互いの言い分を正確に伝える貞淑な醜女がよいのなどと...
これみんな通訳(される言葉)の話。
米原さんはロシア語の通訳から物書きに転じた人で、『不実な美女
か貞淑な醜女か』はその出世作、読売文学賞を受賞したこの作品は、
大江健三郎にして『わが読売文学賞の歴史において最悪のタイトル』
と言わさしめたつわものです。