この本は、多分朝日新聞の書評かなんかで、タイトルに惹かれて予約したと思う。
ビブリオバトルの3世代3大会のグランドチャンプ本にも選ばれた『同姓同名』の著者が新たに仕掛ける、
多重推理しかも密室しかもデスゲームだけど……
下村ミステリはフツーじゃ終わらない!
「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。
それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。
やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。
犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。
「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」 [著]下村敦史
なにしろ、登場人物全員が同姓同名のミステリを書いた作家だ。今作も設定からしてどんでん返し。
ある社長の死をめぐり、謎の「ゲームマスター」に呼び出された関係者7人が山中の廃虚に閉じ込められる。
そこから連続殺人の幕が上がる……のではなく、犯人だけが助かると通告されて一同は、我こそが犯人だと自供しあう。
このデスゲームを生き残る「犯人」はいったい誰なのか。
タイトルに偽りなく、全員が犯人で被害者で探偵になっていくから驚きだ
物語は、7人が犯人だと告白して、7人が被害者だと言い、7人が探偵となって、他人の告白の問題点を指摘し、自分の意見を主張する。7人は、それぞれ、清掃員、ジャーナリスト、会社の課長、運転手、営業部長、社長夫人、遺族代表とバラエティに富んでいる。
その登場人物のそれぞれの主張は、今現実社会で起きている、兵庫県知事選挙などでのSNSやネットでの誹謗中傷合戦や事件を彷彿とさせる内容あるいは企業のリコール問題であるのが、タイムリーで面白い。
面白いので、350ページほどあるが、2日くらいで読了した。確かに面白いが、謎解き的には、結構複雑で100%はついていけなくて読み飛ばした部分はある。また、謎解きのユニークさなどはあまり感じなかった。
でも、ユニークな設定で面白い本でした。この著者は、他にもこのような内容の作品を書いているようなので、他の著作も読んでみたくなった。