硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

トヨタ プリウスを運転する。

2020-12-18 18:31:03 | 日記
新型プリウスを運転する機会を得た。

まず一言目に、車の進化というものに驚く。
ドアのキーシリンダーにキーを入れて、ドアのロックを開けるという動作や、ウィンドウを専用のノブを回してウィンドウをを下げるという動作が必要な頃から車に乗ってきた者として、いくつかの固定観念を捨て去らなければ、新型プリウスを運転することは出来ない。

キーレスエントリーには慣れたが、シートに座り次の動作を考えていると、メーターパネルが次の動作を表示した。なるほどと思い、プッシュボタンを押すと、次にギアの操作が表示される。しかし、エンジンが掛かっていない。腕を組みしばらく考え、もう一度やり直すと、それでも、エンジンが掛からない。なぜだろうと、考えて気が付く。そりゃそうだと自分に突っ込みを入れて苦笑い。ハイブリッドなのだから初動はモーターなのである。
シフトはシンプルなのであるが、Pのボタンが別にあり、それを押さなければパーキングにならないという構造に驚く。Pを押して、解除し、シフトを手前に引き下におろすとÐレンジにはいる。これで動くのか?と不安になる。それは、ガンダムを始めて動かすときのアムロレイの気持ちと同じであるように思う。

ゆっくりアクセルを踏むと、静かにするする走り出す。驚くほどスムーズである。
デジタルパネルを観ると、いつの間にか変わっていて、速度や、タコメーターの役割をするグラフが表示されていた。

恐る恐る、車道へ移ってゆき、車の流れに乗ると、沢山の情報が入ってきた。
まず、驚くべきことに、フロントウインドウにスピードとエンジンの回転グラフが表示された。つぎに、サイドミラーに何かが表示されていた。不具合ではなく、なにかのお知らせであろうと思い、そのまま走行を続けるが、こういう車を運転する時は、しっかりとマニュアルを読んでおかなければいけないと後悔する。

信号が赤に変わりブレーキを踏んでゆくと、すごく良く効くブレーキであることに驚く。
なんというか、一昔前のスポーツカーのタッチと同じかそれ以上であるように思った。
そして、ハンドル。人差し指と親指の間が少し膨らんでいて、普通の人なら必要ない形状であるが、わざわざのその形状にしたトヨタの意気込みを感じる。

そして、シートも少し硬めで、ホールド感も良い。これも一昔前のスポーツカーのようである。
信号が変わり、ゆるっとアクセルを踏むと、時速50キロくらいまで、するすると加速してゆき、エンジンへとチェンジした。そのスムーズさにも驚く。

小高い山を登ると一キロほどワインディングロードになるので、少しだけ、自身にスイッチを入れ、ブレーキやハンドリング、アクセルワークをレーシーに切り替えドライビングしてみた。
すると、驚くべきことに、その動きはスポーツカーそのものであった。
コーナーが迫ってくると、軽くブレーキをかけ、フロントに荷重をかけ、早くスムーズにアクセルが踏めるラインを予測しながら、ハンドルを切ってゆくと、時速40キロ以下である為でもあるが、硬めのサスペンションはわずかに沈むだけ。扁平率の低いタイヤは殆どよれることなくアスファルトを捉える。ボディも剛性があるのか、ひねる感じもせず、するりとコーナーをクリアした。

その時、思わず、「恐ろしい車」と呟いてしまった。

フルオプション車ではあるけれど足回りなどはノーマルであるのだから、驚くしかない。
もう少し幅の広いホイルにハイグリップタイヤを履かせて、ショートサーキットを走らせれば、すごく楽しいだろうなという感じが伝わってくる。

車を乗り終え、停車させると、メータパネルが、僕の運転をほめてくれていた。
なかなか憎いじゃないか。

プリウスという車が度々悪者にされている報道を観るけれど、こんなに素晴らしい車を悪者にしてしまうのはなんだか悲しい。
ここまで、ハイテクになったのだから何とかならないのだろうかとも思う。

そして、思ったのは、この車は「乗り手を選ぶ」と感じた。
多くの人は、誰でも乗れる車という認識であると思うが、僕はそうではないと思う。

まず、アクセルを踏んだ時の、あのスムーズすぎる加速に対し、身体が反応していなければ安全が確保できないと思う。

次に、アクセルとブレーキの位置である。
つま先をスライドさせるだけで、アクセルとブレーキの切り替えができるのだから、コーナーが連続するサーキットでは理想的な位置である。

しかし、そういった運転をしない人にとっては少し厄介である。

間隔が狭ければ、踏み間違いやすい。これは本当に痛感した。
その中でも、一番気になった点は、アクセルより少し高めにブレーキがあるので、股関節を使い、一度足を持ち上げるか、足首でしっかりとつま先を上げて動作をしないとブレーキペダルに足が乗らない構造になっている。
これは、介護予防運動を行ってきた経験からすると、下肢筋力の低下している人や、関節の可動域の狭くなった人には、少し難しい動作となる。
それは、きっと惰性で動作を行えば、ブレーキを踏んだつもりでアクセルを踏む危険性を含んでいる。

ハンドリングも、操舵性が抜群によいので、慌ててしまうと、本人が思ったよりも切りすぎてしまうのではないかと思った。
(逆に言うと、ハンドルから路面の状態が伝わってくるのだから、面白いのである。)

したがって、一昔前のスポーツカーよりも性能が上なのであるから、乗り手を選ぶと言う表現も、間違っていないと思う。

逆を言えば、開発者の心意気がすごく伝わってくるとてもいい車である。

それが分からない人は、この車は遠慮した方がいいと思う。

しかし、これがノーマルでしょ。Gz仕様ならどんなに凄いか、一昔前のスポーツカーしか経験のない僕にとっては、まったく想像がつかないなぁ。