「門を一度くぐれば、校則と教員の支配下にあるからな。それに不満があるとしても、組織の刷新を図るほどの権力は持ち合わせてないし、刷新出来たとしても統治する力もない。これが現実である以上、今は静かに従う事が学生としての正しい立ち居振る舞いだと思ってる。」
「沈黙と服従かぁ。」
「そのように捉えるから、堅苦しいと感じるのだよ。それよりも、社会というものは俺たちが思っている以上に理不尽な所だぞ。」
「そうだよなぁ。ネットニュースとか見てても、決して明るいとは言えないもんなぁ。」
「学校は所詮、城壁の中だよ。一国の王である釈迦がカピラヴァストゥ城から出家したのは、人生の真実を知ろうとしたからだよ。それを俺たちに置き換えるとしたなら、真実とは学校より理不尽な社会にあり、今はその真実を知るための修行の時と思っていた方が、この先良い人生を送れるんじゃないかと思う。」
「深いな。」
「深いだろう。そして、釈迦は修行の極致で、一切皆苦という言葉を説いた。一切皆苦とは、苦しみもありのままに受け入れる事なんだ。だから、静かに従うことも悪い事ばかりじゃないのさ。」
「深いな。」
「深いさ。」
そう言った後、松嶋は細い目で曇り空を見上げ、「そう、これもまた修行。」と呟いた。
「いい説法だったよ。ありがとう。じゃぁ、また後でな。」
「ふむ。また後で。」
クラスの違う松嶋とは玄関で別れ、靴箱から上履きを取り出すと、「川島君。」と僕を呼んだ。
「おっ、おはよう。」
振り返ると、真島きららがそこにいた。
「おはよう。真島さん。」
振り返ると、しばらくお見合いをする。真島さん、なんだか固まってる。
「・・・じゃ、じゃあ、また後で。」
ぎごちなくそう言うと、逃げるような足取りで喧騒な廊下の中へその姿を同化させていった。
「沈黙と服従かぁ。」
「そのように捉えるから、堅苦しいと感じるのだよ。それよりも、社会というものは俺たちが思っている以上に理不尽な所だぞ。」
「そうだよなぁ。ネットニュースとか見てても、決して明るいとは言えないもんなぁ。」
「学校は所詮、城壁の中だよ。一国の王である釈迦がカピラヴァストゥ城から出家したのは、人生の真実を知ろうとしたからだよ。それを俺たちに置き換えるとしたなら、真実とは学校より理不尽な社会にあり、今はその真実を知るための修行の時と思っていた方が、この先良い人生を送れるんじゃないかと思う。」
「深いな。」
「深いだろう。そして、釈迦は修行の極致で、一切皆苦という言葉を説いた。一切皆苦とは、苦しみもありのままに受け入れる事なんだ。だから、静かに従うことも悪い事ばかりじゃないのさ。」
「深いな。」
「深いさ。」
そう言った後、松嶋は細い目で曇り空を見上げ、「そう、これもまた修行。」と呟いた。
「いい説法だったよ。ありがとう。じゃぁ、また後でな。」
「ふむ。また後で。」
クラスの違う松嶋とは玄関で別れ、靴箱から上履きを取り出すと、「川島君。」と僕を呼んだ。
「おっ、おはよう。」
振り返ると、真島きららがそこにいた。
「おはよう。真島さん。」
振り返ると、しばらくお見合いをする。真島さん、なんだか固まってる。
「・・・じゃ、じゃあ、また後で。」
ぎごちなくそう言うと、逃げるような足取りで喧騒な廊下の中へその姿を同化させていった。