もうだいぶ前のことになるが、お茶会で一緒になった人から「墓じまい」という言葉を聞いた。想像はできるが、詳しくは分からないので、問い返すと「お墓をなくすこと」という。居合わせたもう一人の人もそうしたとおっしゃる。墓石は、ショウを抜いて、石やさんに引き取ってもらい。遺骨は「永代供養のお金を払って」お寺に収めたという。二人とも子供たちに迷惑を掛けたくないという理由からだそうだ。
これを聞いて、目からうろこが落ちた思いがした。前々から我が家は、一人一人に石碑を立てる習慣があり、大小合わせて総数20基以上あり娘も息子も遠くに住んでいるので、迷惑を掛けると思ってはいたが無くしてしまおうという大胆な考えは私の中になかった。
それで、主人と私は「墓じまい」と真逆のことをしてしまった。
2年前の豪雨の後、近所の人から電話をもらった。お墓は土が柔らかい。そのうえ雨水の通り道になったらしく、土台がむき出しになった。そのままにしておくと倒れてしまう危険性があるという。
じっくりかんがえることもせず、兎に角安全にと思い慌てて改修の依頼をした。その時一基だけ「先祖代々」と云う大きめの石碑を建てこれ以上は数を増やさないようにと考えた。数百万もかかる工事なので娘と息子に要望があったら、申し出るようにと連絡した。二人とも「墓じまい」については言及しなかった。
先日テレビで、「墓じまい」についての番組があり、かなり一般的になっているのを知り、ショックを受けた次第である。(E)