世界の三大食文化と云えばフランス料理と中華料理と日本料理ということになります。その日本料理の中の一つのジャンルとしお寿司を考えますと、他の二つと大きく異なる点があることに気付きます。それは他の二つが王様や貴族によって育てられた食文化であるのに対してお寿司は江戸時代に江戸の町人によって育てられた食文化であるという点です。江戸の町人と呼ばれた人々は、主に商店主や商品のブロウカーで日常の仕事は番頭さんと呼ばれた人に任せ自分はお金を使って趣味に興じ時代の流れや流行の変化を肌で感じて商売に生かしていた人たちです。彼らは俳句に興じ茶道や水墨画や和算と云う数学にも取り組んでいました。今日的に言う「高度な文化人」だったのです。この人たちが育てた食文化としてのお寿司や日本酒は日本が世界に誇れる逸品だと思います。
サンフランシスコのゴールデンゲイト・ブリッジを北向きに渡って最初に入る街がサウサリートと呼ばれる地方で、このあたりは全米でも有名な別荘地です。気候温暖、風光明媚、四季を問わず窓を開けると心地よい浜風(夏は涼しく冬は暖かい風)が入るからです。ここに日本人が経営しているお寿司屋さんがあって、江戸前ずしを握っていて寿司好きのアメリカ人でいつも混雑しています。アメリカの寿司屋さんは中国人経営のインチキが多いのですがここは本物で、それを当のアメリカ人がよく知っています。あるとき、此処に入ったら「カリフォルニア巻」という巻き寿司がメニューに出ていて、これはなんですか、と聞いて試に食べてみたことがあります。
巻きずしを巻くときと同じように簀子に最初から寿司ご飯を敷いてその上に海苔を敷いてその上にアボガドの棒切りを置いて、それを芯にして巻いた巻きずしのことでした。オソマツ君は決して美味しいと思いませんでしたが、家内は美味しいとかイケるとか言っていました。何でもそこの大将はこれが今アメリカ人に大人気だとか言っていました。約15年ほど前のオソマツ君の予想では、それほど人気はでないだろうと思っていましたが、予想は見事に外れて、今では日本の大きなスーパーで「カリフォルニア・ロール」と云う名前でアボガド巻が売られてているそうです。マイッタ、マイッタ、です。
オソマツ君は。「これは邪道だ」などと云って怒る気はありません。これを「江戸前」と云われては困りますが、「サウサ前」とでも云って呉れて、みんなが好きならそれはそれでいいと思うのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます