うちには、古い雑誌がいろいろ揃えてある。
読書の秋よろしく、昨日は酒を片手に古い雑誌に目を通していたら、
昭和48年発行(発酵といってもいいくらい紙も変色)のものの中に、そんなエッセー
があった。雪深い北国に、ウサギ獲りの名人がいたらしい。最初は少しまがった鉄砲で
撃っていた。左にすこし曲がっていたので、目標より右を狙って打つとよく命中、名人と呼ばれて
いた。あまりかわいそうなんで、それから雪の中に四つん這いになり、ケツから赤いリンゴをふたつ、
きんたまならぬ赤だまにしてぶらさげ、それをウサギがかじるスキをねらって足をつままえる、という方法に変えて
も「名人」の誉を保ったらしい。でもあまりに寒いので、名人は考えて、キャベツ5枚を雪の上におき、
そのきゃべつを器かわりにして、30度の焼酎を入れ、それをウサギが食べ、飲み、酔ったところを
みはからって、つかまえる、という方法で、ゆるぎない「うさぎとりの名人」の座におさまっている、という
話だった。半世紀近い日本の田舎には、さもありなん、という不思議なおとぎ話のようなものがあまたあったのだ、
と思うと、お酒がまたまたおいしく飲めた。
今朝、蕎麦を打って、探し物をしていたら、屋根裏から一枚の額がでてきた。2006年、つまり店をつくる前年に、
金沢のギャラリーで買った絵。おばあさんが赤い傘をさして、おじいさんを入れてあげそそうな素ぶり。
大学時代から金沢には縁があって、数えきれないくらいいってるけど、さすがに雪の季節にいったことがない。
今年は、10月にもいく予定だけど、冬にもいってみようかしらん。キャベツと30度の焼酎かけて・・