文化座の「天国までの百マイル」佐々木愛さん主演の劇を見た。
佐々木愛さんはもう随分前「労演」に入会していた頃に毎年見に行っていた。
友人が世話役を務める「広島市民劇場」に入会して最初の作品。
原作は浅田次郎さん。映画化されてヒットした「鉄道員(ぽっぽや)」を書かれた方だ。
四人兄弟の末っ子で倒産、離婚という不幸に見舞われたが心臓病の母を遠く離れた病院の心臓外科の名医の所まで自分の車で運ぶお話。
どこかに「これは実話に基づいている」と書いてあったがお話としては誰でも起こり得る話で、だからこそ共感したのかもしれない。
緞帳が上がった瞬間、男性俳優の演技が目に飛び込むと何だか妙な気持ちになった。
と言うのは独身時代、演劇部に入って何度か公演をした事を思い出し、まるで、自分が舞台に立っているような感覚を覚えたから。
きっかけは「労演」を見て興味を覚えたからだろう。
職場の先輩に誘われ最初は大道具や小道具の手伝いとして入部したのにいつの間にか「人が足りない」と言う理由でかりだされいつの間にか演技の練習までするようになりはまってしまった。
青少年センターや昔の公会堂、見真講堂などで公演したが、今思うとなぜ演技にはまったのか判らない。
超多忙な日々なのに時間を割いて合宿も参加した。
合宿はてきめんに効果が出る。アマチュア劇団にいた人が声を出す訓練をするので舞台から一番奥まで声がはっきり聞こえる訓練をする。これは血がにじみそうになった。
自分の役について徹底して討議する。そして、台詞を集中して覚える。
どの劇も民芸風な物悲しい物語だったような。
役どころは恐妻。首根っこを捕まえて夫を脅すような私には似つかわしくない役なのにいつの間にか男性の間では「あいつはヒステリーで怖いから誰も結婚しない」と言う噂が立ってしまった。
今日の物語の感動のシーン、病院までの100マイルを自分の再生にかけ母を生かそうと頑張る息子、その息子のために生きようと頑張る母。
息子を支える佐々木愛演じる水商売のおんなマリ。
最初から最後まで涙が出て止まらなかった。バックミュージックはPPMの「500マイル」
昔と変わらないハスキーボイスの佐々木愛さんのさすがに良く通る声にも感動。
昨年東京で初公演、今日で200回目の公演だった。
これからも懐かしい俳優座、前進座などの作品があり楽しみが増えた。