大好きな画家熊谷守一の展覧会に行ってきた。
これまで広島ではなかったのではないだろうか、年が明けて展覧会の開催を知って心がうずうずとしていた。
ここ数年、ボランティアが忙しく美術館に行く時間が無かった。
行かないと自然に興味が薄れていく。
今日は夫が病院に行くと言うので急きょ一人で出かけた。
あちこちに電話して友人を誘ったが今回はだあれもつかまらず一人で行った。
朝早く行ったら幼稚園生が団体で来ていた。
あとは静かで一人ゆっくりと堪能した。
守一を知ったのは絵手紙を習っていた頃。
モリカズ様式と言われるオレンジ色の線で絵を際立たせる手法が面白く見ていると今にも動き出しそうな存在感のある絵が印象的で忘れられなくなり本屋に画集を買いに行った。
私には高すぎて買うのがもったいなくてネットからコピーしてはそれをじっと見ていた。
心が落ち着き不思議な安堵感があった。
今回初めて生の絵を見て私は驚いた。
それは主に晩年期のモリカズ様式の絵の色だ。
鮮やかで色が奇麗だったことだ。
初期の油絵は暗く色もはっきりしない絵が多いが年とともに鮮やかさが増し絶筆とされるクロアゲハとフシグロセンノウの絵は本当に奇麗だった。
一人だと休んでは観、観ては休むを繰り返し帰るころには結構な人出になっていた。
以外にも若い男性も結構いた。
猫の表情が面白く座り込んで観ていたら一人の女性が声をかけて来て隣りへ座りおしゃべりを始めた。
一匹の猫を「ウシか?」と聞くので「猫だと思うよ。だって、猫ばかりでしょ」と言うと納得した様子。
「守一さんが盲目の猫を可愛がっていたのは有名な話だし」と、いうと「実は私はこの画家をはじめて知った」と言う。
それから延々と自分の母親の介護のことを話した。
それで絵を見に来て心をはらしているのだと。
美術館でおしゃべりをするのはためらわれたが黙って聞くだけの心はきっと守一の絵から影響を受けたのだろう不思議にいつまでも聞いていられた。
やはり画集は買わずに絵葉書だけ買って帰った。
参考までに