腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



昨日、ご年配の(といっても50後半か60代前半か)女性のお客様が店を覗き込んで

お客様「今、持ってないんだけど、あなたの所はカルチェは交換できる?」

店主「カルティエですか?」

お客様「そう、カルチェ」


流石、昭和のオバサマ。
こっちが“カルティエ”と言っているにもかかわらず“カルチェ”で突き通す気です(笑)

店主「交換と言うと、電池交換のことでしょうか?」

お客様「そう、電池」

店主「もちろん出来ますよ」

お客様「どのくらい日にちがかかるの?」

店主「混んでなければ5分か10分程度で仕上がります」

お客様「え!?そんなに早く?」

店主「はい」


と、ここまでは良かった。

お客様「カルチェ専用の電池も置いてるの?」

店主「え?専用と言いますと?」

お客様「カルチェの電池よ」

店主「カルティエは電池を作ってませんので、普通の電池ですが」

お客様「え!?普通の電池って何よ?カルチェの電池を入れてくれないの?」

店主「ですから、カルティエはバッグとか宝飾とか時計を作っているメーカーで、電池は作ってないんですよ。電池はSONYとかマクセルとかの国産電池です」

お客様「あら、そうなの?」


そうです。


 『カルチェの電池』はございません。


半年に一人くらいのペースでエルメスの電池とかシャネルの電池というお客様がいらっしゃる。

そんなのないですからね。


海外ブランドの時計はもちろん海外の指定工場で生産されています。
組み上がった時計に入れている電池は、海外の工場なのでもちろん外国製の電池が入れられています。

エバレディ(EVEREADY)とかレナタ(RENATA)などなど。
これです↓
 レナタの395。国産電池だと型番がSR927SW。


これらのアメリカ製やスイス製の電池は電圧がある間はいいんですが、電圧が下がってくる(電池が切れる)と割と早く液漏れを起こします。

 ほら、液漏れ起こしてます。


新品の海外ブランドのクォーツ時計を購入されたら、最初の電池交換は切れたらなるべく早く交換されるのが良いと思います。

その点、国産の電池は品質が良いので、すぐに液漏れを起こす心配はありません。
が、やっぱり電池が切れたらすぐ交換された方が安心です。
切れた電池を入れっ放しにしておくのが一番ダメ。


お客様「で、カルチェの電池交換はお幾ら?」

店主「1890円です」

お客様「あら! また持ってくるわ」

店主「お待ちしております」


もし、カルティエ製の電池があったら電池交換には5000円くらいいただくかもしれない腕時計修理専門店トゥールビヨン店主
ダイヤが散りばめられたピアジェ製の電池なら30万くらい?安すぎる?
というか、ダイヤが散りばめられていたらムーブメントに電池が入らないし。

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