個人的にはそんな思いを持つ、この美術館から作品がやって来ました。
展示が始まった直後にはBS日本TVでも本展を紹介、これは行かなくてはね、と当然に決めておりました。
さて、その新美術館。
”これを見ずに、印象派は語れない”ということですが、まあ、それならそれで構わないんですけど、確かに素晴らしい。
注目は”モネ一家”ということになるのでしょうか。
誰でも印象派の心象風景にして、美人画という時モナリザと並んでランクインする「日傘をさす女性」。
(私が知る限りで)3点、似たモチーフの絵があって、今回展示のものはモネの奥さん、カミーユ・ドンシューと息子ジャンが描かれたもの。
雲の様子とか、近くで見ると書き殴りなのですが、少し距離を取ると正にその瞬間の光が見えてきます…
凄いもんです。
参考までにこの奥さんが亡くなられた後、モネが人物像の習作(左向き、右向き)として2点描いていて、モデルは異なり、そして顔が描き込まれていないものとなります。
この3点のどれか、乃至は複数過去に拝見している訳で、結構confusingになっている自分に笑ってしまいます^^;
更にモネ一家、今回展示の中から今度は息子のジャン。誕生直後と庭で遊ぶ姿:
顔がブタさんみたい、なんて言ってはいけないんですよね…
シリーズで見ていくと、本当にこんな顔をしていた、と気が付きます
これらの名画がワシントンに残っている訳です。
アメリカ人コレクターの趣味、というのも出ているかな。家族を大切にするという、偽善的美風
そして、この親子が庭でくつろぐ姿をルノアールが描いた作品が今回展示(パンフレット参照)されているんですが、日本TVの番組で言っていた通り、マネがそれを描いている横でルノアールが邪魔?したんだそう。
添付はマネの作品(メトロポリタンにあるそうです)ですが、御覧の通り、マネの圧勝ですな
と、まあ、超長い前置きとなりましたが、その他実際の展示を拝見しての感想を…
ちょっと早いですが、今の時点で2011美術展No.1ですねえ
創始者、鉄鋼王メロンさんが、以下に続く美術品寄贈者に対して付けた条件そのものが効いているのでしょう。
最初に彼が寄贈した作品と同等乃至はそれ以上の美術的価値が無い作品は受け取ってはならない、というもの。
それに、彼の名前を美術館に付けてなならない、という2つの条件だったそうです。
さあ、日本の美術館に付けられた名前を振り返ってみましょう…
山種、出光、ブリジストン、松岡…
これらに対して、ナショナル・ギャラリーは如何にも国立の美術館そうな名前のプライベートな組織。
個人と社会への立ち位置に対する考え方の差が良く分かります。あっちは大人。
こっちは、ゴッホの絵を自分と一緒に火葬してくれ、なんて言ったおっさんも居ましたね…
それが素晴らしいんですね。
さあ、又薀蓄入りました。
もうフロアに入りますよ…
最初にコローとクールベから入りました。前印象派、ということ外せない、ということですね。
何れも素晴らしい作品でした。
それに、”雲の”ブータン…
そして、圧倒のマネ。
パンフレット、トップの絵などがそれでしたが、やはり実物を見ないと分からないことはあり、子供は鉄道線路を見下ろしていることが分かります。
で、印象派(前期)に移行します。
モネを中心にした作品群。上記で散々モネの話はしたので省略して…
今回の道化師はルノアールだと思いました。
桃でアンリ・フォンタン・ラトゥール(Henri Jean Théodore Fantin-Latour、あのラトゥールとは時代が違う)に完敗。
上述のように(同じ会場ではありませんが)モネ家族ではマネから”才能が無い”と言われる始末。
でもねえ、「踊り子」と「アンリォ夫人」で圧倒的な美しさを示しました。
こんな感じの作品だと、道化師がマイスター、と思えますな
知らなかった画家では上述のフォンタン・ラトゥールとバジール(Frédéric Bazille)。
「若い女性と牡丹」、黒人メードが差し出す花々が飛び出して来ました。
この後、後期印象派に入っていくと、もうご存知のテンコ盛り状態…
セザンヌ、ゴッホ…
この辺で置きましょう。
あ、最後に、
何より今企画展(というかナショナル・ギャラリーが、かな)が素晴らしいと思ったのは、殆どの作品に保護のためのガラスが掛けられていなかったこと。
生の色味が本当に堪能出来ました。
他では出来ないんでしょうかねえ…
といったこちらの企画展。入場料1,500円が100円割引となって、ぐるっとパス効果は計900円となりました。