さむらい小平次のしっくりこない話

世の中いつも、頭のいい人たちが正反対の事を言い合っている。
どっちが正しいか。自らの感性で感じてみよう!

インド珍道中 2度目のインド⑤ 『前橋!大丈夫か!!』

2024-11-19 | 2度目のインド
画像引用元 そうだ、世界に行こう インド旅行は危険!?観光時の注意点とリアルな治安状況について


こんにちは

小野派一刀流免許皆伝小平次です

以前連載した『インド放浪・本能の空腹』、あの時のインド訪問から6年後、私は再びインドを訪れました。

会社勤めをしておりましたので、2週間ほどの短い期間でしたが、まあまあ、色々な出来事がありましたので、その時の様子をまた日記風につづって行きたいと思います

前回は、カルカッタの喧騒と混沌、すさまじい勢いで迫りくる人のパワー、その衝撃は一人で味わうべき、と、一緒についてきた前橋君を先に、一人でタクシーに乗らせ市街、魔のサダルストリートに向かわせた、というところまででした

では、つづきです

****************************************************

 緊張のあまり身体を硬直させ、まるで競歩の選手のように早歩きをして、タクシーに乗り込む前橋を笑いながら見送ってから30分程が経過した。いよいよ、おれもあのカルカッタ市街に再び向かう時が来た。

『Sudder street』

 タクシーのブッキングカウンターで行先を告げる。

『Sixty Rupee』

60ルピーを支払う、荷物持ちの若い男が予約票を受け取り、おれの荷物を担いで外に出る、タクシーの『群れ』の外側の一台に案内される。荷物をトランクに入れるかと聞かれたが、必要ない、と告げ、受け取った荷物をかつぎそのまま乗り込んだ。そして窓を開け小銭を数枚、荷物持ちに渡す。

『Sudder street』

『OK』

 いよいよ車が走り出す。空港の近辺は、市街のあの渦巻くような喧騒も混沌もなく、広々として静かだ。ポツリポツリと建っている煤けたビルが、ここが間違いなくインドであることを物語る。そしてここがインドであることが間違いないと実感した瞬間、おれは思わず小さな声でつぶやいた。

『帰って来た……。』

(えっ? 帰って来た…?)

 6年ぶりにこの悠久の大地に降り立ち、おれの心にまず沸き起り口をついて出た言葉は、「久しぶりだ」とか「懐かしい」、とかいう感慨では無く「帰って来た」であった。なぜ、今、「帰って来た」と思ったのだろう。この不思議な感情に、おれはしばらく思いを巡らせ、戸惑いながら外を眺めていた。この不思議な感情を正しく、いや、恐らくは正しく理解するのはこの数年後の事である。いや、それも違う、「どこに帰って来たのか」、数年前に気づきながらも、それを言葉にできず、物語を書いた。「無人電車」という名の短編小説だ。その時におれは気づいていたのだ。いずれこの物語もこの場で語ろうと思う。

 車は次第に市街の中心に入って行く、徐々に混沌とした喧騒が広がる。

『混沌』『喧騒』

 この言葉がこの街ほど似合う街はないだろう。

 人、車、バイク、リクシャ、犬、牛、騒がしいインド音楽、クラクション、あらゆる音、あらゆる色、スパイス、香水、煙、あらゆる匂い、全てのものが交錯している、入り乱れている。

『カルカッタだ!!』

 おれはようやく「帰って来た」、ではなく「久しぶり!カルカッタ!」という正常な感覚を取り戻したようだ。

 タクシーがサダルストリートに入り停車する、数人の男がおれの車に直ぐに群がる。おれはチップなど何も要求しないドライバーに10ルピーほど渡し、車を降りた。ポン引き達がおれを取り囲む、おれは無視して前橋が待っているはず、のインド博物館を目指す。路上にへたり込んでいるジイサンが弱々しく手を差し出してくる、一先ずポン引きも物乞いも全て無視して大通りまで出る、そして、大きく左に、インド博物館の入口の方へ体ごと向けた。

 前橋は!?

 いない……。

『ありゃ、やっぱ無理だったか』

 凄まじいポン引きや物乞いの攻勢を交わし切れない、そう思ったらインド博物館前の地下鉄乗り場に降りて待つ、繰り返し前橋に伝えていた。おれは恐る恐る地下鉄の入口から階下を見下ろす。

 前橋は!?



 いない!!


 どうしても、インド博物館前に立っているのも無理、その逃げ道としていた地下鉄の階下にもいない!

『あちゃ~、これはヤバイかな…。』

 手の無い人、白目だけの人、指の溶けた人、両足を付け根から失い、スケートボード状の板に乗って迫り来るジイサン、そうした物乞い、しつこいポン引き、その攻勢をまるで囃し立てるかのように鳴り響くインド音楽、クラクション、様々な香り、慣れない旅人をたちまち飲み込んでしまう激流のような街、カルカッタ、最初のその衝撃を一人で味合わせたかった、失敗したのか! 前橋! 大丈夫か!!

 物乞いやポン引きの凄まじい攻勢に会い、もう何が何だか、最悪どこを歩いているのかもわからなくなったら、タクシーでもリクシャでもつかまえて、地球の歩き方に出ているホテルまで行って待っているようにと印をつけた、これが最後の作戦だったが、比較的ポン引きや物乞いの少ないインド博物館前にも、さらに安全な地下鉄の構内にも行けないのではとても無理だろう、初めてのインド、衝撃の体験をさせようとしたことを、おれは少しばかり後悔した。

 念のため、地下鉄の構内まで降りて探してみよう、そう思った瞬間、通路の陰から前橋がひょっこりと姿を見せた。

『こ、こ、こ、小平次!!』

 前橋!! なんだ!!  その顔! その顔! その顔! その顔は!!!

 おれが子供のころ、家で雑種の小型犬を飼っていた。当時は外に犬小屋を建て飼っているのが普通だった時代、おれがある日犬の散歩に行こうとすると、母親からスーパーで何かしらの買い物を頼まれることがよくあった。散歩の途中、スーパーに犬を連れて入るわけにも行かず、棒状のガードレールのようなものに散歩紐を繋ぎ、おれだけスーパーに入ろうとすると、犬は小声ながらもやや甲高い声で吠え、『ボクをおいてどこへ行くの!?』みたいな、ちょっと困ったような情けない顔をしておれを見ている。

『すぐに戻るよ!』

 それでも犬は困った顔で小声で吠える、急いで買い物を済ませ犬のところに戻ると、大きく尻尾を振りながら、嬉しいのだけれど、やっぱり一人置いて行かれてちょっと不満、みたいな顔をして、何とも言えない声でやや横を向き少し大きく吠える、その時の犬の顔、表情、前橋!!

『なんでボクを一人で行かせたの? なんですぐに来てくれなかったの? こわかったよぅ!』 

 今まさにお前、その時の犬の表情!! おれはその前橋の情けないやら嬉しいやら、複雑な表情を見て大笑いしながら言った。

『いやいや、良かったよ、ここまでも辿りつけなかったのかと思って少しだけ心配したよ』

『ああ、ほんと今ほっとした…。』

『やっぱり外にいるのは無理だったか…。』

『いやぁ、だんだん市街に入ってくると、度肝抜かれちゃってさぁ、最初から地下鉄だけ目指して、もう必死だったよ、ほんと、すごいな、この街』

 そう言われてみて初めておれは、何かがちょっと違う、と自分が感じていることに気づいた。

『確かに、街のパワーは相変わらずなんだけど、なんかね、うん、そう、あ、物乞いがさ、前より少し少ない気がする、まあ、たまたまかもだけど、前の時はさ、もうほんと、間髪入れず誰かが近寄って来て、ほんの数十メートル歩くだけで一体何人の人間に声掛けられるか、手を差し出されるか、あの時ほどじゃないんだよなぁ…』

『そりゃあれじゃないか、お前がこの街に慣れてから帰国したからそう感じるんじゃないか』

 物乞いが減った理由…、インドがいくら経済成長著しい、と言っても、数千年に渡りこの地域に住んできた人たちの本能など変わりようがない、厳しい身分制度の名残、それが急に無くなるわけでもなく、皆に成長の恩恵がある訳でもない、ウソかホントかわからないが、後日プリーで衝撃的な話を聞くことになる。

『ま、とりあえず会えて良かった、一人カルカッタも味わってもらって良かった、ホテル行ってチェックインして、晩飯にチキンチリを食いに行こうぜ!』

『チキンチリ?』

『めっちゃ辛いけど、めっちゃ旨いんだ、病みつきになる感じ、6年前によく行った店がまだあるかなぁ、ま、あとはインドを楽しもう!』

 無事に再会? を果たしたおれと前橋は、宿泊予定のホテルを目指し、つい今し方の前橋の、置いてけぼりの犬の顔について語り、大笑いしながらサダルストリートを右に折れた。


つづく******************************

ほんとにこの時の前橋君の顔、心の記憶に焼き付いて忘れられませんw 次回も前橋君がやらかしてくれます

 




コメント (6)
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矜持を失ったメディア 

2024-11-11 | 社会・経済


こんにちは

小野派一刀流免許皆伝小平次です

さて、アメリカ大統領選挙が終わりまして、結果トランプさんが圧勝で再選を果たしました

小平次としては良かったな、って思っておりますが、日本国としては色々大変だと思います

自国第一主義を掲げるトランプさん、日本がアメリカの属国から脱するには良いチャンスと思いますが、トランプさんと渡り合えるような肝の座った政治家もいませんし、いたとしてもこの国のトップではありませんのでどうにもなりません

さて、今回の記事は、トランプさんの再選によって世界が、日本が、どうなるかと言う話ではなく、選挙前の日本の報道のあり方を少し考えてみたいと思います

以前より申し上げている通り、日本のアメリカに関する報道は、殆どが民主党寄りのCNNの劣化版みたいなものになっており、選挙前の予測なども、トランプさんとカマラハリスさんの支持率が拮抗しているようなものばかりでした

中にはカマラハリスさんがわずかにリードしているみたいなのもありましたね

ところが実際のアメリカの報道では、もちろんどちらの陣営に偏向しているかにもよりますが、全体的にはトランプさんがリードしていると正しく報道されていたように思います

で、結果トランプさんの圧勝

日本の報道の自由度は結構下の方だ、というようなニュースを見かけますが、そうではなくて、ロクな調査も取材もせず、どこかの資本家の喜ぶような記事ばかりを好き勝手に報道しているだけで、その自由度はウソまで報道できる点においてかなり高いと思います

同時に、『報道しない自由度』も非常に高いのだ、と思います

こんなメディアとしての矜持も何もない報道ばかりの中、それを疑うことをしない多数の人達が、トランプさんを白人第一の差別主義者だとか、独裁者を目指している、とか思っているわけです

以前相互フォローさせて頂いている『夢母さん』から『わざわざトランプさんの吹き替えを俺様調にしている』とコメントを頂いたのですが、実際のトランプさんの肉声は、時に力強い時もありますが、特に今回の選挙戦では非常に穏やかでしたよ

夢母さんのおっしゃる通り、悪質な印象操作のように思います

でも、さすがにこの選挙前のカマラハリス押しの偏向報道には、今回は批判の声もかなりネット上では上がっているようです

「偏向報道」「情けない」米大統領選トランプ氏圧勝も予想外した日本メディア“ハリス推し”の背景とは

テレビや大手新聞の偏向報道しか見ない人達は、今回トランプさんがヒスパニック系や、若者、非大卒者の指示を多く獲得したことなど知らずに、『差別主義の独裁者』のように思っているんだと思います

実際、世界はどんな風に回っているのかは一市民の小平次にはわかりません

だからこそ、できる限り多くの情報を取りに行かないと、金持ちに阿るマスコミの偏向報道を信じ込み、やがては子々孫々に暗い未来しか継承できなくなってしまいます

最近はインドの報道などを翻訳しながら見たりもしています 


もう一つ、兵庫県知事の話

これは以前にも記事にしたんですが、斎藤元彦元知事、それはそれは、もう袋叩きのように一時期されていたんですが、ここのところ、俄かに斎藤さんの支持が爆あがりし始め、再選を果たす勢いになっているようです

小平次は兵庫県民ではありませんので、特に斎藤さんを支持するとかしないとかはないんですが、斎藤さんが何で辞任失職しなければならいのか、どうしてこう異常なまでに袋叩きにされるのか、ちょっと疑問を持ち記事したんです(今の真逆の現象もそれはそれで少し冷静に。。)

①酷いパワハラ知事だった
②業者などにおねだりをしていた
③阪神とオリックスの優勝パレードの信用金庫の協賛金をキックバックしていた
④公益通報者保護法違反

まあ、これらのことが大騒ぎになり、袋叩きされて、その後百条委員会も開かれ、議会で不信任案が可決され辞職失職、という流れですかね

で、
①について
これは、百条委員会に複数の証人を呼び、匿名で質問、聞き取りを行った結果、斎藤さんからパワハラを受けた、という人はいなかった、と委員会の奥谷委員長が記者会見で述べたわけで、現時点では冤罪

②について
これも、おねだりされた、側の業者や施設関係者が、報道されているような『おねだり』など無かった、と反論の声明を出していますので、現時点では冤罪

③について
これについては、協賛金を取り纏めた信用金庫の理事長が、怒りも込めて絶対にあり得ないと実名で声明を出しています
そもそもこれは、もし事実なら逮捕者も出るはずの事件ですので、警察が動くわけで、捜査が行われ、結果最終的に有罪となるまでは、理事長が否定している以上現時点では冤罪です

県内11?の信用金庫が、逮捕もあり得る犯罪を揃ってやるなどちょっと考えにくい、というのもあります

④について
これは法の専門家も意見が分かれるようですが、公益通報を正式に行ったのが今年の4月、怪文書?が出回ったのが3月、この時点で怪文書の作成者を特定するのは公益通報者保護法に違反はしない、で、その中身が、少なくとも確認の出来ない『パワハラ』、捏造と関係者(おねだり被害者)から否定された『おねだり』、ちょっと無理がある上、現時点で明確に否定されている『キックバック』、これらからすれば真実相当性は低い、と思われ、3月の怪文書は、外部通報には当たらないと思われます

で、この件、N党の立花さんがわざわざ知事選に立候補して斎藤さんの擁護に回っているんですが、他にも斎藤さんの支持者がどんどん増えていて、百条委員会の闇、みたいな動画もYoutubeでたくさん見られます

興味ある方は見てみてください

小平次はですね、斎藤さんを応援したいのでも批判したいのでもありません

あそこまで袋叩きに合う理由があったのか、辞任までする必要があったのか失職を選択せざるを得ない理由があったのか、それに対する疑問を投げかけているつもりです

数か月前の袋叩き、メディアの報道のあり方に疑問を持っている、ということです

今回、立花さんが言っている事で、普段はこの人嫌いですが、

『百条委員会の調査、結果が出ていない段階で、何をもって不信任案を出すのか』

まあ、そのとおりだな、と思います

一番言いたいのは、大統領選挙も、兵庫県知事の問題も、その他の問題も。ロクに結果も出ていない中で、メディアに煽られ白か黒かと直ぐに決めたがる人が大多数なんだな、ということ

で、それはとても危険だな、ということ


御免!

※一部、テレビとうさん改めオメガ猫さんからご指摘を頂き、正しい言葉に書き替えました(2024/11/12)

コメント (14)
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