さむらい小平次のしっくりこない話

世の中いつも、頭のいい人たちが正反対の事を言い合っている。
どっちが正しいか。自らの感性で感じてみよう!

釣り記事3連発 ② 聖地東伊豆ボート釣り

2020-06-28 | 釣り


こんにちは

小野派一刀流免許皆伝小平次です

本日は『釣り記事3連発』の第二弾 東伊豆でのボート釣りレポートです

5月中旬から6月初旬、この季節、これまでこの場所でなかなかの実績を残してきたシーズンです

1日にヒラメ4枚、大型カサゴ類多数、釣ったキスを活餌にヒラメを狙っていたら80cmクラスのカンパチを釣ったこともあります

前日は遠足へ行く子供のようにワクワクしながら床につきました

午前3時起床、首都高から東名、海老名のSAで朝食、小田原厚木道路から海岸線へとでます

いつもの釣り侍でホタルイカと青イソメを購入しようと立ち寄ります

店に入った途端

『マスクしてください!!』

と店主さん

えっと…、大海原で一人ボート釣り、マスクなんかしてきませんでした

『えっと…、無いんだけど…、これじゃだめ?』

シャツを伸ばして口を覆って見せます

『ダメです! そこに手作りマスクがありますので使ってください』

入口の棚にキッチンタオルみたいな紙に輪ゴムの自家製マスク、ありがたく頂戴し無事エサを購入、さらに南下します

ボート屋には6時の到着、今回は船外機付きボートを予約しています

まずは浅場でキス釣り、お土産と活餌の確保です

水深10m前後、目の前は砂浜の海岸、という浅場で竿を二本出します

ぶるぶる

すぐにキス特有の小気味よいアタリ、合わせますが乗りません

アタリは頻繁にあるのですがなかなか乗りません

キスのサイズと針が合っていないのかもしれません

ぶるぶる

少し竿先を送り気味に食い込ませると 乗りました

10cmくらいの活餌にピッタリのサイズです、が、送り込んだ分、針を飲んでしまってます

飲まれた針を外すと、魚へのダメージが強すぎてすぐに死んでしまいますので活餌にはなりません

その後数は釣れたのですがことごとく飲まれてしまいます

送り気味に合わせないと乗りませんし…

悪循環

それでもようやくうまく口にかかったキスをバケツに入れ沖へ繰り出します

まずは定置網周り

ここは水深60m前後、大型のカサゴ類の絶好ポイントです

ですが、小平次はここでヒラメやマゴチを釣ったことはありません

ですので貴重な活餌はまだ使わず、オニカサゴ仕掛けの3本針、上二本にはスーパーで買っておいた稚鮎、下針にホタルイカ、底まで落とします

落としてタナを調整していますと、ガッ、ガッ、! カサゴ類特有のアタリが出ます

少し送り、聴き気味に竿を立てますと強い魚信、竿先が海中に突っ込みます、大きく合わせ乗せます

なかなかの強い引き、ライトタックルで水深60mから巻き上げてくるのは結構大変ですが、巻いてきますとオレンジ色の魚体が見えます

『オニか?』

ランディング



体高もあり、でっぷりとして、なかなか立派なアヤメカサゴです

非常に美味な魚です

アヤメカサゴを〆ていますと、もう一本の置き竿にアタリが出ています

同じように合わせますと、重い、というより根掛かり? それとも定置網のロープ?

ポンピングで巻き上げますとどうにか巻くことが出来ます、何かは付いているようです

ほぼ抵抗もなく上がって来たのは…



ありゃりゃー

ラインにぐるぐる巻きついています

やむなくラインを切り海へお帰り頂きます

それから、ヒラメの実績が多い湾の南西側に向かいます

ここで活餌のキス君を落とし、さらに活餌の確保とよもやの大物がかかれば、とジグサビキを用意して底まで落とします

ジギングしてますと、何かがヒットします、小さいようです

上がってきたのは20cm弱の小サバ、三本のサビキ全部にかかってます

エサには少し大きいですがキープ

すると今度は目の前でナブラが立ちます

あわててジグサビキをキャスト、すぐに何かがかかります

また小サバかな?

上がって来たのはやはり20cm弱のワカシ、もう回ってきてるんですね~

と、今度は稚鮎、とホタルイカの置き竿にカサゴ類特有の大きなアタリ

合わせますと、乗りました!!

先ほどのアヤメカサゴよりも引きが強いようです

途中、何度か竿先が海中に突っ込みます、やり取りを楽しみながら巻いてきますと



やりました!

良いサイズのオニカサゴです

ボートがイケスに近づきすぎたので移動します

活餌の竿を巻き上げますと、キス君がボロボロになってます

アタリはでなかったんですが… コチ類かもしれません

そこから人工漁礁付近に移動、小サバをつけて落とし、ジグサビキも沈めます

ジグが着底し、大きく煽りますと、すぐに何かがヒットします

横走りしますので回遊魚のようです

上がって来たのは35cmくらいのサバです

この季節のサバは秋サバのように脂はないものの、〆サバにしますととてもさっぱりとして美味です

小平次は実は夏サバが大好きです

ここまででまあまあの釣果ですが、今回の本命、ヒラメやコチ類が出ていません

残り時間もわずか、最後は浅場で勝負、うまく口にかかったキスを活餌にアタリを待ちましたがノーヒット

納竿です

本命は出なかったものの、十分満足のいく釣りとなりました

楽しませてくれた魚と海に感謝し、頂きます!!



オニカサゴとアヤメカサゴの刺身

オニカサゴとアヤメカサゴのソテー

オニカサゴとアヤメカサゴの兜煮

その他、キスと小サバは天ぷら、ワカシは一夜干し、夏サバの〆サバ、すべてとても美味しくいただけました

海と生き物に感謝!!





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釣り記事3連発 ① 荒川でテナガエビ

2020-06-22 | 釣り



こんにちは 小野派一刀流免許皆伝小平次です

本日から釣り記事3連発をお送りいたします

一回目は、ずっと昔からやってみたくて、昨年初めてチャレンジ、思いのほか釣れた荒川のテナガエビ

今年も行ってまいりましたのでご報告です


昨年は2回ほどの釣行で、2回とも曇りでした、ですが今回は上記の写真のように快晴、気分の良い釣行となりました

場所は昨年同様平井大橋の平井側、石積み護岸です

昨年は2回とも干潮時で、石積みの護岸の水没部分がわずかしかありませんでした

結果的にはむしろそれでテナガエビがそのわずかな水没部分に集まり、仕掛けを落とせばアタリがある、というような感じになりました

しかし今年は満潮ではなかったものの、やや潮位は高め、水没部分が昨年に比べ多く、水深があります

エサは赤虫、ガン玉を重めにつけ、ウキ下を50㎝ほどで、まずはとにかく仕掛けを落としてみます

濁った水にウキが沈み見えなくなります、思いのほか深いようです

こうなりますと、おそらくはテナガエビも広い範囲に散らばっており、ポイントが絞りづらくなります

せめて透明度が高ければ石と石のすき間などを狙い撃ちできるんですがそれもかないません

あれこれ試めしてみますがなかなかアタリはありません

ようやく、すぅっとウキが動きます

エビを想定して、少し送り込んでから合わせますと、テナガエビ用の短竿に確かな魚信、釣り上げてみますと



魚です

チチブ類の仲間のようですが、小平次には種が特定できません… ヌマチチブかなあ

さてその後もその場所ではさっぱりでしたが、小平次の左手、上流側には水生植物と人工の堤防があり、干潮時には干潟になる場所があります



そこならば水深も浅く、ポイントが絞りやすいのですが、堤防の際に向けてルアーをキャストしている人がいたので入れなかったのです

ややもして、その人が場所を移動したのですかさずそのポイントへ

予想通り水深も浅く、泥水色の水面に石がゴロゴロしているのがわかります

ウキ下を短くし、仕掛けを落とすと、狙い通りすぐにアタリ、食い込むのを意識して合わせますと、乗りました!



今年初のご対面です

その後も同ポイントで釣り続けまして、まあそこそこの釣果



ほどほど釣ったところで納竿、帰路につきます

しかしこの釣りは何て言いますか、童心に帰るようで実に楽しいですね

釣ったテナガエビ君は、昨年同様、素揚げに塩、シンプルに頂きました



美味、美味

御免!

PS 表題の写真のように、広い河川敷、三密もなにも無いように思いますが、みんな一様にマスクをしたまま結構な運動をしてました。却って危険なように思います。まあ、コロナについては言い尽くしたので、せっかくの釣り記事、ここまでにしておきます


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インド放浪 本能の空腹⑲  『ウ〇コ』の山を乗り越えて

2020-06-09 | インド放浪 本能の空腹
プリー東側海岸線

インド放浪 本能の空腹⑲ 『ウ〇コ』の山を乗り越えて

30年近く前の、私のインド放浪、当時つけていた日記をもとにお送りしております。

前回、バブーとロメオ(オーズビー)、彼らの中学時代の先生を交え飲み会、日本語で男のアレは何と言うのか、と言う話題になり、そのまま KINTAMAの大合唱となり、大いに盛り上がった、というところまででした。

では、続きをどうぞ


*****************

 大いに盛り上がった宴の翌日、朝の7時におれは目を覚ました。今日もバブーとロメオが遊びに来る、とは言っていたが、何時に来るのか、ということは聞いていなかった。そんな大雑把な約束だったから、とりあえずこんな朝早くから来ることはないだろう、おれは朝食をとりがてら散歩に出ることにした。

 ホテルの前の通りを東へ向かう、昨日、ホタルを見た雑木林の方へ曲がる角に、一件の屋台が出ていた。大層な中華鍋みたいのに油を入れ、朝から何かを揚げている。覗いてみると、直系7cm位のボールみたいなものを揚げている。店の周りでは、数人の男たちがそれをほおばっている。

イメージ

 うまそうだな…。

 おれはそのボール状の食い物を食ってみることにした。
 1ルピー払うと、二つのボールが紙に載せられて出された。おれはまだ熱そうなボールに息を吹きかけながら、通りを右に折れ、ホタルの雑木林からその先の海の方へ向かって歩き出した。

 一口食ってみる…。

『▼〇!$$◆!◎✖✖%%#&!!!!!!!----!』

『ウエエー! オウエッ!!』

 体験したことのない味だった。美味い、不味い、と言う以前に、おれの食道から以下の臓器が全力でこの食い物の侵入を阻止にかかっている、そんなレベルであった。おれは店から少し離れ、見えないところで口の中のものを吐き出した。

『な、なんだこの食い物は…。』

 おれは残りの一個も道端に捨て、朝食は諦めて海の方へ向かった。

 通りの両側にある、掘立小屋の集落から、男が手にタライを持って通りに出てきた。男は、道の片隅にしゃがみ込み、丈の長い上着で下半身を隠し、なんと…、

『ウ〇コ』

を始めたのであった。よく見れば、通りの先の方にも2、3人、同じようにしゃがんで用を足している男たちがいる、さらによく見れば…道端はウ〇コだらけである…!!!!!

 ここで、日記を少し離れてインドのトイレ事情、否、ウ〇コ事情について少しふれておこう。
 インドではウ〇コをした後、紙でケツを拭くことはしない、タライなどに水をくみ、その水を左手で掬い、ケツを洗い、手で拭く、というのは有名な話だ。だから多くのトイレにはトイレットペーパーなどはおいていないことが多い。外国人向けに大きなホテルやレストランなどでは備え付けられていることもあるが、おれが利用するような場所にはないことが多いのだ。

 そのことは知っていたので、トイレットペーパーを1ロール持って来てはいたし、町の雑貨屋などでも売っていたので困ることはないはずだったが、おれは割と早い時期からインド式のケツ拭きにチャレンジしていた。

 最初から指先を使って拭いてしまうと匂いが残る、初めはうまくいかなかったが、その内、まず手で掬った水をケツには触れないように何度かかけ、あらかたの汚れを洗い流す、その後、掬った水でケツの穴を包むようにしてちゃぷちゃぷと濯ぐ、そして最後に人差し指でキュッ、と拭く、慣れればこうすることで、匂いが指先に残るようなこともなく、紙はおろか、ウォシュレット以上にきれいにすることができるのだ。

 おれは海岸までやって来た。
 やはり海はいい。
 とても広い海岸線だ。

 東側に、漁師の集落と、細長い無数の木端舟が海岸に並んでいる。おれはそちらに向かって歩き出した。
 漁師たちの姿はない、もう今日の漁は終わったのだろう。

イメージ(実際はもっと頼りなさげでした)
 

 近くで見ると、本当に頼りない舟であった。どこまで沖に出るのかはわからないが、命懸けだろう、だが、この頼りない舟がここの漁民の命を紡いでいるのだ。
 
 おれは少し、海に足をつけてみようと、波打ち際に向かって歩き出した。と、その時…

『▼〇!$$◆◎!✖✖%%#&!!!』

 舟のある場所から波打ち際まで、無数の『ウ〇コ』がころがっていたのだ。

 おれはすっかり波打ち際に足をつける意欲を失い、ホテルへの帰路に着いた。
 
 インドを旅する、それは、ゴミの山を乗り越え、ウ〇コの山を乗り越え進むいばらの道…、このときおれは、本当にそう思ったのであった。

 ホテルに戻ると、バブーとロメオが来ていた。

『散歩かい?』

 とバブー。

『コヘイジ、これから3人でバイクに乗ってコナーラクへ行かないか』

 とロメオ。

『コナーラク?』

 コナーラクは、プリーの近郊の街で、世界遺産になっている古代ヒンドゥー教の太陽神寺院、スーリヤ寺院があるという。プリーからは35キロほど離れているそうだ。地球の歩き方や他のガイドブックでも、大概プリーとワンセットで観光の案内が載せられいている。

 おれは今回のインドの旅において、そのような世界遺産など、そういう歴史的建造物や美術品、雄大な自然にも関心がなかった。ただ、どこか海に近い街で、住人のように過ごし、その街と少しでも同化したい、という漠然とした目的しかなかったのだ、だからこういうお誘いでもなければ、きっとこの先そんな観光をすることはないだろう。

『OK! 行こう!』

 運転はロメオ、真ん中におれ、おれの後ろにバブー、男3人、体を密着させ、とても軽快とは言えない加速で発進、ベスパもどきが太陽神のおわす寺院に向かって走り出した。

*******************

まあ、ウ〇コの山、は大げさですが、実際にあちこちでウ〇コは目にしました。それを話すだけで知人もウチの女房殿もインドへは行きたくない!と言います。右手でものを食べ、左手で排泄物の洗浄を行う、食って出す、という生き物のもっとも基本的な行動を自らの手でする、ここにあからさまな人間の原点を感じることをできるのがインド、そんな風にも思ったりしました。

※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外の「イメージ」としている画像はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です




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インド放浪 本能の空腹⑱ 『掘立小屋の宴』

2020-06-04 | インド放浪 本能の空腹
プリーの海岸(西側)

30年近く前の、私のインド放浪、当時つけていた日記をもとにお送りしております。

一日だけのホームステイの後、オーズビーの友人、バブーの伯父の経営するホテルへ。
夜にはオーズビーとバブーの中学校時代の教師を交え宴をしようということに

その前にオーズビーと中華料理を食べ、その後ちょっと一人で通りを歩いてみた、というところまででした。

では続きをどうぞ

****************************

 夕方の5時にオーズビーとバブーが迎えに来てくれることになっていた。10分前、おれはバルコニーに出て、ホテルの前の通りを見下ろし、オーズビーたちがやってくるの待っていた。
 5時を回ったころ、東の方からオーズビーがベスパもどきに乗ってやって来るのが見えた。後ろにはバブーが乗っているようだ。オーズビーがおれに気づき手を振る、おれも手を振り、階下へ降りる。
 
 入口のところで、バブーがスクーターを降り、オーズビーの後ろに乗るよう手招きしている。おれがそこに乗ったらバブーはどうするのだろう…、まあ、言われるままにスクーターに乗る、するとさらにバブーがおれの腰を押しながら後ろに乗る、3人乗りだ…、しかも全員ノーヘル、本当にインドは何でもありだ。

 3人も乗って、ずいぶんと窮屈なスクーターは東へ向かい、途中、海へ向かう道を右に折れる、そして最初の日にオーズビーと、卵焼きを食い、甕で作った水割りを飲んだ掘立小屋の「レストラン」の敷地に入る。看板も何も出ておらず、その外観からもここがレストランだとは地元の人間以外だれもわからないだろう。


イメージ

 店の入り口のところに、大柄で少し頭髪の薄い、中年インド人男が立っていた。

『彼がボクたちの先生だ』

 先生は満面の笑みを浮かべ近づいてくる。

Hello!Hello!Hello! Welcome!Welcome! ジャパニー!!

 おれは先生と握手を交わし、「店」の中へいざなわれる。一つしかない少し大きめのテーブルに、おれたちはL字型に座った。縦の線にオーズビーとバブー、横の線におれと先生、すぐにビールと簡単な料理が出され宴は始まった。
 先生は、興味深そうにおれに質問を投げかける、バブーも聞いてくる、大体は他愛の無い話であるが、外国人同士だと、つまらない話でも盛り上がるものだ。

『コヘイジ、キミは日本のどこから来たんだ?』

 どこから? 先生の質問に少し考える、Tokyo、Osaka、Kyoto、辺りは言えばわかるだろうが、おれは神奈川の片田舎、地名を言ってもきっとわかるまい、一応、隣市でもっとも都会である街を言ってみる。

Yokohama
Yokohama!Oh、ポルトcity!

 ポルトシティー…、ポルトシティー…、  あっ! Port City  か! またRをそのまま発音してるんだ。へえ、横浜は知られてるんだ。

 この時、バブーがオーズビーのことを『ロメオ』と呼んでいることに気づく。おれがオーズビーと言っても分からないようだ。本名ではないのだろう。『ロメオ』とは、オーズビーのスクーターの名前だそうだ。おれもオーズビーは呼びづらいので、ロメオと呼ぶことにした。このさい本名は今はいい。

 バブーと言う男は、最初の生真面目そうな印象とは違い、とにかく明るく陽気な男だった、その陽気さにつられ、男4人、一人は教師であったが、自然と会話は、女のこと、そして下ネタへと変わっていく。

 ロメオが言う。

『コヘイジ、カルカッタからの列車で、ボクは女の子を連れていたろう? あのコはボクの彼女なんだ、それであの夜、ボクたちはキミの知らないうちに3回もSEXをしたんだ』

『ええーーーーーーーー!』

 とおれは驚いて見せた。驚いたのは3回もイタシた…、ってことではない、ウソに決まっているからだ。あのラッシュ時の満員電車のような状況でできるはずもなく、夜が明け、空いてからもおれはしょっちゅう目を覚ましていたんだから…、  おれが驚いたのは、あの可憐で華奢な美少女、ロメオの娘だと思っていたくらいの子供だった、あんな子供が彼女! という驚きだった。

『なあ、コヘイジ…、日本語で…、男のココのことはなんて言うんだ…?』

 腕を枕に、少し傾きながらだいぶ酔いが回って来てるように見えるバブーが、自分の股間を指さして言った。

 おれは少し考えてから答えた。

『ダメだよ、バブー、それを教えるとキミはきっと日本人をこの街で見かけたら、その言葉を叫んでからかうに決まっている』

 バブーはまるで子どものように、本当に泣きそうな顔をして哀願するように続けた。

『コヘイジ~、ボクはそれを言わないよ、必ず約束するよ、お願いだから教えてくれよ~、インドでは男のココはBandoだ、日本語も教えてくれよ~』
『バンドゥ?』
『そう、バンドゥ!』

 他の2人も笑ってうなづく、  うーーーーん… 仕方ない…、教えてやるか、でも日本語で男のアレは色んな呼び名があるからな…。  おれはいくつかあるその呼び名から、万一バブーが日本人観光客相手にそれを叫んでも、あまり下品にならないような呼び名を選んだ。

『日本語で、男のココは…。』

『キン〇マ! だ!』

『OH!KINTAMA--!』
『OH!KINTAMA--!』
『OH!KINTAMA--!』

辺りもすっかり暗くなった夜、インドの片田舎の小さな掘立小屋で、中学校教師まで含んだインド人男たちの『KINTAMA』の大合唱が始まってしまった…。

 バブーがトロンとした目で言った。

『コヘイジ、明日、ボクがロメオのKINTAMAを料理してあげるから、食べに来ないか』

 つまらないジョークだが、おれは考えるふりをして、真剣な顔で答えた。

Sorry, tomorrow 、I'm very busy.、Can you cook his KINTAMA the day after tomorrow

  これには一同大ウケであった。おれもさらっと出たアメリカンジョーク的な言葉に自画自賛であった。

 その後、バブーは、胸のあたりで、ボインの仕草をして、女性のここは何て言うんだ、と聞いてくる。おれは当たり障りなく、「オッ〇イ」ではなく、「ムネ」だ、と教えてやった。

 夜も更け、楽しい宴はお開きとなった。飲食代は先生のおごりだった。

『インドを、プリーを楽しんで』

 先生はそう言って笑顔で去って行った。ロメオがホテルまで送ってくれる、と言ったが、夜風に当たりながら歩いて帰る、と、おれは二人に別れを告げ歩き出した。
 通りの両側の商店は、それぞれ薄暗い灯りをともしまだ店を開けていた。
 おれは、ホテルの近くまで来ると、そのままホテルには戻らず、海の方へ向かい左におれた。街灯のない真っ暗な道、ゆっくりと歩く。ふと、左側の雑木林に目をやる。無数の青白い小さな光が飛び回っている。

『ホタルだ…』

 インドにもホタルがいるのか…。実はおれがホタルを見たのはこれが初めてだった。おれはしばらくその幻想的な夜の闇の光を眺めてから、向きを変え、ホテルへと戻った。


 
******************つづく

このときの宴は本当に楽しかったですね。前にも言いましたが、私はこの6年後、バブーとこの街で再会しております。その時、私と会ってバブーが真っ先に言った言葉が『キン〇マー!、ムネ、ムネー! Day after tomorrowー!』でした(笑)。

※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です





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