同僚にすすめられて、お借りして読んだ。
一言感想:教育の科学的分析は、難しいが、難しいからといっても、科学的態度で
教育しなければマズイ。そして、日本は遅れている。
この本を読んで、記録しておきたいこと。
(1)読書をしているから子どもの学力が高い(因果関係)のではなく、学力の高い子どもが
読書をしているのにすぎない(相関関係)可能性があるのです。(P22)
(2)「読書をする」と「学力が高い」に相関があるかのように見えるが、実は第三の要因として
(例:親の子どもに対する関心の高さ)が存在し、前者については、「本を買い与えるという事実」があり、
後者については「勉強するように促すという事実」が存在するのではないか???(P23)
(3)教育生産関数を知っておくと便利です。これは、別名「インプット・アウトプットアプローチ」とも
呼ばれ、授業時間や宿題などの教育上のインプットが、学力などのアウトプットにどのくらい影響しているかを
明らかにしようとするものです(図5)。(P33)
(4)学力テストの結果がよくなったのは、インプットにご褒美を与えられた子どもたちだったのです。(P35)
これを知って、夏休みに、次男と1冊読んだら、百円あげるようにした。
(5)「あなたはやればできるのよ」などといって、むやみやたらに子どもをほめると、実力の伴わない
ナルシストを育てることになりかねません。とくに、子どもの成績がよくないときにはなおさらです。(P48)
(6)ミューラー教授らの論文タイトルどおり、「能力をほめることは、子どものやる気を蝕む」
("Praise for intelligence can undermine children's motivation")のです。(P51)
(7)習熟度別学級は、ピア・エフェクトの効果を高め、特定の学力層の子どもたちだけでなく、全体の学力を
押し上げるのに有効な政策であることを明らかにするものも出てきています。(P69)
(8)非認知能力(自己認識、意欲、忍耐力、自制心、メタ認知ストラテジー、社会的適性、回復力と対処能力、創造性、性格的な特性【神経質、外交的、
好奇心が強い、協調性がある、誠実)(P87)
(9)重要な非認知能力(「自制心」と「やり抜く力」)(P90-91)
(10)神戸大学の西村教授らは、「しつけ」という違った角度から研究を行いました。4つの基本的なモラル(=ウソをついてはいけない、
他人に親切にする、ルールを守る、勉強をする)をしつけの一環として親から教わった人は、それらをまったく教わらなかった人と比較すると、
年収が86万円高いということを明らかにしています。(P95)
しかし、教育を語る上で、年収の話を持ち出すのが違和感があるが、それも必要だと思うが、
学ぶワクワク感については、どう考えればよいのだろうか???