東京都議会での女性議員にセクハラ・ヤジを飛ばした問題で、鈴木自民党都議がまず名乗り出ました。しかし、残りの「生めないのか」などのヤジを飛ばした複数と思われる議員は、黙り込んでいます。だいたい、鈴木氏も最初はしらばっくれて、「自分は言ってない。なんですか、あんたたちは」とマスコミのインタビューに横柄に答えていたくらいです。こういう人たちは、黙って、嘘ついていれば保身につながるから言いたいことを言ったあとは隠れていればいいと思っているのでしょう。これが、都民に選ばれた議員と思うと、怒りが増してきます。
どうやら、このまま自民党は調査もせずに幕引きにするようです。みんなの党は当初のように、残りのヤジの声紋分析をして、言った本人を特定すべきです。「ほかのヤジはだれも聞いていない」などと、自民党の吉原幹事長は言っていますが、鈴木氏も何日もたってしゃあしゃあと出てきたのです。これは、ヤジを言われた塩村議員1人の問題ではなく、女性全員に関わる問題です。また、男性にとっても女性に対する侮辱行為ということでたいへんな問題です。このようなことを言う議員が、だんまりを決め込んでごまかそうという根性は絶対許せません。
セクハラ・ヤジそのものも許せませんが、周りで隠し合い、黙り込んでいれば何をしてもいいという根性がおかしいのです。そういう体質が、自民党内にははびこっているのでしょう。いったい、言った張本人は今、どういう気持ちでいるのか。1人が名乗り出たのだから、これでもういいだろ、とでも思っているのか。鈴木氏が名乗り出た後も、「なぜこんなことが、いつまでも問題になるんだ」と自民党内で言った人がいるそうです。呆れるばかりです。それにしても、いまだ出てこない「本人」は一時的な「記憶喪失」状態に陥って、その時のことをまったく覚えていないのかもしれません。であれば、大事な議会の場で、自分の言ったことも分からなくなってしまうだけでも議員失格です。
そういえば、中学に上がったばかりの頃、僕も「記憶喪失」になった(もちろん比喩です)ことが思い出されます。休み時間、教室で級友とふざけ合っていた時です。授業開始の時間になって担任の先生が来たのであわてて席に着きました。先生は教室に入るなり、「誰だ、こんなことをしたのは!」と怒り出しました。見ると、教師用の机と椅子が乱雑にとんでもない位置に動かされていたのです。「やった人間は、名乗り出なさい!」と言われても、誰も名乗り出ません。僕は、ひどい奴だな、やった奴はさっさと出てこい、と半ば腹が立ちました。
その後も先生の説教は続いたのですが、そのうち、休み時間の光景が徐々によみがえってきました。「あ、机を引き回してふざけ合っていたのは、俺たちだ」。休み時間中はおふざけの絶頂状態だったので、その時のことをまったく覚えていません。こうして冷静になってくると、はっきり自分たちがやったのがわかってきました。しかし、いまさら出られません。とうとう先生は説教をやめ、授業を始めました。僕は、授業が終わるまで気が気ではありませんでした。
授業終了後、僕たちは2人で自分たちがやったのだと先生に謝りに行きました。先生は、級友のほうは説教中にすぐに気づいたが、僕のほうはわからなかったと言いました。確かにそうでしょう、僕自身、あの時の記憶がまったくとんでいたので、まさか自分を「本人」だとは思ってもいなかったのです。
あの時のことを考えると、僕は休み時間中のことは、まさに「記憶喪失」状態にあったわけです。まあ、鈴木都議ほかセクハラ・ヤジ議員も似たようなものかもしれません。議場でやたら興奮(?)してヤジを飛ばしたけど、後になってみたらその時のことをまったく覚えていない。一時的、というより自己都合で身勝手な「記憶喪失」だったのでしょう。時間がたつにつれ、「あ、あれは俺がやったんだ」と気付いたけれど、いまさら名乗り出ていくわけにはいかない、名乗り出たら議員生命が危うくなる・・・。
中学に上がったばかりの、まだ子どもともいえるあの頃の僕らと、まさかこの人たちの精神レベルが同じ程度、いやそれ以下だったとは! 議場で記憶がなくなるほどの精神状態(?)にいたなんて・・・。当時、僕らはすぐ後で謝りに行きましたが、ヤジ議員たちはそれさえしなかったのです。ほんとにこんなので議員が務まるのでしょうか。それ以前に、こういう人たちは人間としても最低レベルです。お願いですから早く出てきて、さっさと議員を辞めてもらいたいものです。