「若冲展」は、前回開催(2009年・東京国立博物館)の時に見てきました。あの時も入館まで1時間以上待ちましたが、今回(東京都美術館)は平日でも3時間、4時間は当たり前ということで、開催は今日(24日)までだったのに諦めました。なにしろ前回、入館してからも満員電車並みで、前に進めないのです。係の女性が「止まらずに進んでください」と言っても、一番前が人で埋まっているので動きようがありません。仕方なく僕は、2層3層後ろのゾーンに下がって遠目で見て回りました。
なんといっても、’白い正装の貴婦人’というべき純白の鳳凰「老松白鳳図」(ろうしょうはくおうず)のエロティシズムの極致に、くらくらとめまいがしたのを覚えています。女体でありながら鳥、鳥でありながら女体、その艶めかしさ・・・。
当時の感想はその時のブログを読んでもらうとして、すごく気になったことがあります。前のブログにも書きましたが、観客の中に、車椅子で来られている人が何人かいたのです。健常の僕らでさえ、人の頭越しでしか見えないのに、車椅子の人の視線の高さでは、人々の丸腰の行列しか見えなかったでしょう。ここは日本を代表する博物館です。これでは、車椅子の人は作品を鑑賞することはできません。実際、その方々は展示作品の後方で諦めたように、ただ呆然として車椅子に座っていただけでした。
若冲の作品だけではありません。この博物館では毎回、世界・日本中の最高レベルの芸術品を公開しています。なのに、いつも車椅子の人は、じっくり鑑賞できないのです。何か申し訳なく思いました。僕はよく美術館に行きますが、バリアフリーは当然として、せめて混雑時期には、障害のある方優先の一定の鑑賞時間帯(開場直後または閉場間際のわずか30分でも)をつくるなり、最前列に車椅子用の通行路(スロープなど)を設置するなりすればいいといつも思います。これは、ほかの美術館の人気開催展でも同じです。これで本当に日本の誇る美術館といえるのか・・・。
ここしばらく上野の森に行ってないので、今はどうなのか? 変わっていないのだろうか? 世界でも最高峰の芸術を車椅子でも鑑賞できるようにしてもらいたいものです。
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