四睡図鐔 後藤栄乗


四睡図鐔 無銘後藤栄乗
桃山時代を象徴するような、後藤宗家六代栄乗(えいじょう)の華やかな鐔。後藤家では小柄、笄、目貫の製作を専らとしており、鐔はきわめて少ない。初、二、三、四代にはなく、五代以降にわずかにみられるのみ。桃山時代から、時代の要求からであろうかようやく製作されるようになるのだが、それでも基本は小柄笄目貫の三所物である。
この鐔は、漆黒の赤銅地を魚子地に仕上げ、極端な高彫に厚手の金色絵を加えて鮮やかな対比の色調を美観の要とし、中国の古典を文様風に描き表わしている。
図柄は虎を手なずけた豊干禅師と虎、詩人の寒山と拾得の四者が、無防備な自然のままの姿をさらけ出して眠る様子。禅の教えをそのまま表現したものとして古くから絵画の題として好まれている。裏も古代中国の人物図で、瀧を好んで詩をあらわした李白であろうか。いずれも風景画ではあるが、明らかに文様表現になる描法。表裏の図柄の関連性は特に求められておらず、違った図とする例は時代の上がる鐔にままみられる。この点も実は時代を推測する要素である。


四睡図鐔 無銘後藤栄乗
桃山時代を象徴するような、後藤宗家六代栄乗(えいじょう)の華やかな鐔。後藤家では小柄、笄、目貫の製作を専らとしており、鐔はきわめて少ない。初、二、三、四代にはなく、五代以降にわずかにみられるのみ。桃山時代から、時代の要求からであろうかようやく製作されるようになるのだが、それでも基本は小柄笄目貫の三所物である。
この鐔は、漆黒の赤銅地を魚子地に仕上げ、極端な高彫に厚手の金色絵を加えて鮮やかな対比の色調を美観の要とし、中国の古典を文様風に描き表わしている。
図柄は虎を手なずけた豊干禅師と虎、詩人の寒山と拾得の四者が、無防備な自然のままの姿をさらけ出して眠る様子。禅の教えをそのまま表現したものとして古くから絵画の題として好まれている。裏も古代中国の人物図で、瀧を好んで詩をあらわした李白であろうか。いずれも風景画ではあるが、明らかに文様表現になる描法。表裏の図柄の関連性は特に求められておらず、違った図とする例は時代の上がる鐔にままみられる。この点も実は時代を推測する要素である。