鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

立鶴図小柄 鼎印光興 Mitsuoki-Otsuki Kozuka

2012-04-10 | 鍔の歴史
立鶴図小柄 (鍔の歴史)


立鶴図小柄 鼎印光興

 ただ佇むだけの鶴。一切の背景となる要素を採り入れず、鶴の後ろを振り返る姿と表情のみを描き表わした作。だが、仔細に鑑賞すると、背後には叢に石目地が打ち施されており、足元にも叢に点刻が配されている。高彫に片切彫色絵という定型化された彫口ではなく、翼の輪郭にも抑揚があり、表面処理と微妙な線刻、銀の白から赤銅の黒へと連続鵜する色絵のぼかし、顔の素銅の調子とその目玉の輝きが巧みに表現されている。何て素敵なんだろう、ただ佇む姿だけなのに。