鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

許由図鐔 蘭々亭友寿 Tomotoshi Tsuba

2012-04-03 | 鍔の歴史
許由図鐔 (鍔の歴史)


許由図鐔 蘭々亭友寿(花押)

 友寿は水戸金工一柳友善の一族。鉄地に写実的で正確な構成になる肉彫や高彫像嵌の手法で事物を彫り描くを得意とした。この鐔でも密に詰んだ鉄地をくっきりと彫り出し、古代中国の帝位継承にまつわる伝説を表現している。自らに降りかかった皇帝位の話。それを聞いてしまった耳が汚らわしいと川で耳を洗うのが許由。この伝説にはさらに続きがあり、この川の水を自らの牛に飲ませていた巣父は、牛にこの水を飲ませることすら汚らわしいと、川から立ち去ってしまったという。清廉潔白をであらんとする意識を明確にする図柄であり、水戸金工に限らず、武家の持ち物には好まれて描かれた図である。72.5ミリ。